いろはにほへと ちりになれ!

藤丸セブン

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二十五限目 顧問が欲しい

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 顧問とは、ある組織に関与し、意思決定権を持たないが、意見を述べる役職やその役職に就いている者のことである。
「えっ!?コモンってカードゲームのハズレ枠じゃねえのか!?」
「む、甘い。コモンカードにも強力なカードは五万とある」
 
 <二十五限目 顧問が欲しい>
 
「つーわけでよ。補習部に顧問っていねぇよなぁって話になった訳よ」
「・・・つーわけでの前を教えてくれませんか?」
 時刻は夜十二時三十分。時刻は、から入ったからどうせ放課後だと思っただろう。残念!今回は深夜です!
「む、そんな大した内容は話してない。顧問がいないって気づいただけ」
 こんな夜にいつもの三人が話しているが、別にお泊まり会などをしていた訳ではない。三人で電話をしているだけである。
「何を言うかと思えば。ふわぁ。おやすみなさい」
「あ!こら!寝るな!まだ大事な話の最中だろうが!」
「む!寝るなぁー」
 二人が騒ぐが六花は気にせず電話を切りベットに寝転がる。こんな時間である。六花はもう眠りに着くところだった。そしてベットの中で目を閉じていると急に電話が鳴ったので出て見たらあの内容である。幾ら優しい六花でも付き合う事はしなかった。
 そして翌日の放課後。
「ちゅー訳で顧問を作ろうぜ!」
「はぁ。昨夜の続きですか」
 どうやら顧問の話は忘れていなかったらしく最後の授業が終わったと同時にいろはは六花にそう言った。
「私たちは非正規の部活ですよ。というか部活ですらないんですよ?顧問なんていらないじゃないですか」
「正規ににする為に顧問がいるんだろうが!!」
「む!そのーとり!」
 二人の言葉に六花は口をあけて驚いた。二人がこの部活?にそこまで執着していたとは思わなかったからだ。
「で、何のアニメの影響ですか?」
「バレたかー」
「む、部活を存続させる為に顧問を探す会。この間やってた」
 が、我に帰って考えてみると急にそう言い出したのには何か訳があると分かる。そのきっかけで一番考えられるのがアニメだろう。
「はぁ。どちらにせよ部活にはなれませんよ?だって部活の立ち上げは」
「分かってるよ!部員が五人以上いるんだろ!!」
 そう言っていろはは六花の机に一枚の紙を叩きつけた。それは部活設立の申請書だった。
「おや、行動が早いですね。どれどれ」
 六花がが申請書を見るとそこにはいろは、六花、波留の名前だけでなく日華に舳螺の名前もあった。
「成程。巻き込んでしまおうという魂胆ですか。お二人は了承してくれたんですか?」
「おうよ!来れたら来てくれるってよ」
「来ないやつじゃないですか。まあ知っているなら良いんですけど」
 そんな事を言いながら申請書を読み進めていると、大事な事に気がついた。
「あの、何で部長の名前が私になってるんですか?」
「「?」」
 六花の問いかけに二人は同時に首を傾げた。
「お二人には確認とった癖に私には一言も無しで部長にしようとしないで下さい!部の部長って確か色々やらなきゃいけないんですよね!?」
「おん。まず顧問探しだろ。そんで三ヶ月くらいに一回活動報告出さなきゃいけないんだっけ?」
「む、文化部はそう。運動部はいらないけど。後は文化祭の出し物とか、部長会議。予算申請くらい?」
「結構ありますね!?それを全て私に押し付けてまで部活が設立したいと!?」
 若干キレながら言った六花の言葉に二人は元気よく頷いた。しかもとても綺麗な瞳で。
「馬鹿なんですか!?それで私が受け入れるとでも!?」
 全く同じ目で二人は元気よく頷いた。
「引き受ける訳ないでしょう!!」
「じゃあ、補習部の申請書は受け取ったから、後は顧問の先生さえ見つければ部活成立ね」
 これぞ即落ち二コマ。これは漫画ではなく小説なので読者に分かりにくいのだけ申し訳ないが、六花は部長になった。理由は簡単。二人に頼み込まれたからだ。
「自分の性格が嫌になります」
「えー?私は好きだぜ!ろっちゃんの頼まれたら断れない性格!」
「む。大体頼めばやってくれる」
 こうして三人の顧問探しが始まった。
「顧問?俺サッカー部の顧問なんだよ」
 体育教師に断られた。
「私は軽音部の顧問してるから、ごめんねー」
 数学教師に断られた。
「あら可愛い子羊ちゃん達。ごめんなさいねぇ、ブゥアタクシは帰宅部の顧問しているから、顧問は出来ないのよ」
 髭面で上半身裸でピンク色のブラジャーを付けてふんどしを装備した女(?)に断られた。補習部の顧問は簡単には見つからなかった。
「む、今バケモノいなかった?帰宅部って部活じゃないし」
「立ち止まってはいけません。というか何であんな人に声かけたんですか馬鹿なんですか?」
「いや。職員室の前に立ってたから。ってかあれ誰よ?」
 いろはの問いかけに答えられる人はいなかった。その後その男(?)は駆けつけた警察官に連れて行かれたらしいが、それはまた別のお話。
「ひとまず顧問をやっていない先生に頼まないといけませんね。誰かいましたっけ?」
 三人は頭を唸らせながら先生達を数えていく。
「あ、ちっちゃんがいるぞ」
 そんな中いろはがそう呟いた為、その人物の元へと一同は向かった。
「嫌なのだわ」
 そうして顧問を頼みに来たが、一言でバッサリ切られてしまった。
「そう言わずに頼むよちっちゃーん!」
 しかしいろはは折れない。さて、ここでこの人物に対して解説をしなくてはならないだろう。彼女の名前は千葉智奈(ちばちな)。今年配属になった新任教師で年は二十三歳。担当教科は美術で垂れ目が特徴の女性だ。
「嫌だと言ったら嫌なのだわ!あと敬語を使いなさい!更に言えば先生と呼びなさい!」
「む、お願いちー」
「人の話を聞いていたのかしら!?先生と呼びなさい先生と!」
 生徒であるいろはと波留に隠す様子もなくキレ散らかす智奈を見て六花は「まあまあ」と言いながら二人を後ろに下げた。
「千葉先生は今年教師になったばかりなので顧問を務めてませんよね?何人かの先生にはお願いに行ったのですが、他の先生方は皆既に顧問を持っておられまして。頼めるのは千葉先生しかいないんですよ」
 六花の説明とちゃんとした態度に智奈は少し怒りを落ち着かせて話を続ける。
「六谷さんの言い分は分かったのだわ。でも嫌なものは嫌。帰って欲しいのだわ」
「そんな!嫌と言う事は無理では無いという事ですよね?何か補習部の顧問になりたくない理由がおありなのですか?」
「成績ビリがいるからか!?」
「む!ドヘンタイと遊び人をボコボコにして暴力沙汰になったから!?」
「違うけど尚更やりたくなくなったのだわ!!!」
 目に少し涙を浮かべて智奈は更に強い拒否反応を示した。まあ今のは二人が悪い。
「少し黙っていてくれますか?」
「おっけー」
「む、まかセロリ」
 二人のあまりに軽すぎるコメントに不安を覚えながらも六花は交渉を続ける。
「えっと、じゃあ何が嫌なのです?補習部の顧問が嫌なのではなく部活の顧問をやるのが嫌なのですか?」
「・・・それは黙秘権を行使するのだわ」
「言ってる様なものですよ。でもいずれは何処かの顧問になるのでは?」
「ならない可能性もあるし、なるとしても今ではないのだわ」
 智奈の言い分が大体分かった。つまりは。
「シンプルに部活の顧問をやりたくないんですね?」
「うっ!」
 図星の様だ。まあ実際部活の顧問をする事でやる事が増える。つまりは仕事が増えるという事とイコールだ。やりたくないという気持ちも分からなくはない。
「いやー。でもいつまでもそんな事言ってる訳にはいかないだろ。ちっちゃんももう成人だぜ?社会人だぜ?もっと社会人としての自覚をもってさ、立派な大人にならないと」
「うるさいのだわうるさいのだわ!そんな事ウチも分かっているのだわ!だからこれ以上は聞きたくないのだわママ!!」
 どの口が言うのかと言いたい言葉に智奈は目を塞いで、ボロを出した。
「ウチ?」
「む、ママ?」
「あっ、いや。今のは。その」
 焦る智奈を前に、いろはと波留はニヤリと笑った。
「ちっちゃん。この事、他の人に話してもいいか?あとはっちゃんがしてた録音ネットにあげてもいい?」
「む、やられたくなかったら。分かるよね?」
「やめなさい!」
 悪ノリをする二人に涙目の智奈が腰を抜かしていると二人を背後から六花が叩いた。
「千葉先生。今ここの顧問になればこれからここの顧問だからたという理由で他の部活の顧問を断れます。そして私達の部活には顔を出さなくていいですよ。なんせ自己学習するだけの部なので。これは先生にも良い取引ではありませんか?」
「う、うぅ。なるぅ。顧問になるのだわぁ」
 こうして補習部に顧問が誕生した!
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