魔王様は学校にいきたい!

ゆにこーん

文字の大きさ
165 / 310

万死に値する!

しおりを挟む
 舞台劇が山場をむかえていたころ、ロームルス学園に隣接するパラテノ森林を一組の男女が歩いていた。

「ねえどうするのよ! あれじゃヨグソードを奪えないわよ!」

「落ちつけザナロワ、そう興奮するな」

「はぁ? どうしてアブドゥーラはそんなに冷静でいられるわけ!?」

 時空剣ヨグソードを狙い王都へと侵入していたガレウス邪教団の幹部、アブドゥーラとザナロワである。二人は忌々しそうに表情を歪めながら森の奥へと足を進めていく。

「あの二人は一体なんなのよ、どっちも化け物じゃない!」

「ヨグソードを手にしていた少女はアルテミア正教会の教主だ。あの凄まじい身のこなし、まるで本物の勇者アルテミアだった……」

「それより相手役だった女の子よ! 剣術も魔法も尋常じゃなかったわ、なにより持っていた剣がヤバすぎるわよ!」

 上位魔人である二人は、一瞬にしてウルリカ様とアンナマリアの実力を察知したようだ。

「私達だけじゃ勝てないわ、ラドックスとリィアンも呼びましょう」

「しかし四人がかりでも手に負えるかどうか……いや待てよ」

 不意にアブドゥーラは立ち止まると、ロームルス学園の方へと振り返る。

「なにもあの二人を倒す必要はない」

「はあ? なに言ってるの?」

「俺達の目的はヨグソードの奪取だろう? あの二人を倒さずとも、ヨグソードさえ奪ってしまえばよい」

「あんな化け物共からどうやって奪うのよ……」

「混乱に乗じてヨグソードを奪取すればよいのだ」

 そう言うとアブドゥーラは足元に巨大な魔法陣を展開する。怪しく輝く魔法陣からは、霧のような魔力が溢れ出してくる。

「魔物を召喚しロームルス学園へと放つ、そうすればロームルス学園は混乱に陥るだろう。その混乱に乗じて俺達はヨグソードを奪取する、そして速やかに撤退するのだ」

 魔法陣は輝きを増し、溢れ出る魔力は渦を巻く。いよいよ魔物が召喚されようとしたその時──。

「邪教の者よ、そこまでにしてもらおうか」

「……貴様は第一王子か」

 木立の影から姿を現したのは第一王子アルフレッドである。
 驚くアブドゥーラとザナロワ、しかし二人の前に現れたのはアルフレッドだけではない。

「ほっほっほっ、ようやく追いつきましたな」

 アルフレッドの背後からノイマン学長まで姿を現したのだ。アルフレッドは腰元の剣に手をかけ、ノイマン学長は黄金の杖を構え、アブドゥーラとザナロワの前に立ち塞がる。

「第一王子に賢者ノイマンまで、一体どうなってるのよ!?」

「愛しき少女の舞台中にもかかわらず途中で立ち去る不届き者がいたのでね、不審に思って跡をつけてきただけだよ」

「俺達は認識阻害の魔法で守られている、跡をつけることなど出来ないはずだ」

「やはり認識阻害魔法を使っておったか、しかしお主等の認識阻害魔法などウルリカ様愛の前には無力ということですな」

 夢中で舞台に食らいついていたにもかかわらず、アブドゥーラとザナロワの怪しい動きを見逃さなかったらしい。アルフレッドとノイマン学長のウルリカ様愛、まったくもって恐るべしである。

「ところで聞き捨てならぬ話をしておりましたな、ロームルス学園に魔物を放つと……?」

「お前達は学園祭を台無しにするつもりか……」

 二人は怒りの形相でアブドゥーラとザナロワに迫る。

「ウルリカ様は学園祭を楽しみにしておりましたな、その学園祭を貴様等は台無しにするつもりか!」

「許されざる蛮行、決して捨て置けぬ悪行だ! 愛しき少女の楽しみを邪魔する不届き者共は──」

「「万死に値する!」」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

Radiantmagic-煌炎の勇者-

橘/たちばな
ファンタジー
全てを創世せし神によって造られた、様々な種族が生息する世界──その名はレディアダント。 世界は神の子孫代々によって守られ、幾多の脅威に挑みし者達は人々の間では英雄として語り継がれ、勇者とも呼ばれていた。 そして勇者の一人であり、大魔導師となる者によって建国されたレイニーラ王国。民は魔法を英雄の力として崇め、王国に住む少年グライン・エアフレイドは大魔導師に憧れていた。魔法学校を卒業したグラインは王国を守る魔法戦士兵団の入団を志願し、入団テストを受ける事になる。 一つの試練から始まる物語は、やがて大きな戦いへと発展するようになる──。 ※RPG感のある王道路線型の光と闇のファンタジーです。ストーリー内容、戦闘描写において流血表現、残酷表現が含まれる場合もあり。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...