魔王様は学校にいきたい!

ゆにこーん

文字の大きさ
262 / 310

炎の巨人

しおりを挟む
「お久しぶりですウルリカ様──って、かわわっ!?」

 現れるや否やミーアは大興奮、ボッと燃えあがり火の粉をチラチラ。ウルリカ様の可愛らしい水着姿に、メラメラと興奮しっぱなしだ。

「なんて可愛らしいお姿、今すぐギュッと抱きしめたい!」

「むむむぅ……熱くてヒリヒリするのじゃ、少し火力を抑えるのじゃ」

「もしかして水着姿を見せるために、アタイを人間界へ呼んでくれたのですか?」

「うむ、違うのじゃ」

「あ、そうでしたか……」

 あっさりと否定されてしまい、歓喜の炎はションボリ鎮火。一方のウルリカ様は、ようやくヒリヒリから解放されてホッと一安心。

「それではなぜアタイを人間界に?」

「アレの相手を頼みたくての、妾は熱さでヒリヒリするから近づきたくないのじゃ」

「巨人族……ではありませんね、巨人に似た別の生き物でしょうか」

「それに約束しておったからの、次に呼び出す配下はミーアと決めておったのじゃ!」

「わぁ、覚えててくれたのですね!」

 魔界で温泉を楽しんだ際、ウルリカ様とミーアは約束を交わしていた。その約束をウルリカ様は覚えていたのだ、もちろんミーアは大喜びである。

「妾は周りの雑魚を片づけるのじゃ、ミーアはアレを始末するのじゃ。熱いから遠くで戦っておくれなのじゃ、頼んだのじゃ!」

「分かりました、お任せください!」

 次の瞬間、ミーアの巨体はパッと消え失せる。どこへ消えたのかと思いきや、突如としてアブドゥーラの眼前に出現。なんとミーアは瞬間移動の如き速度で、アブドゥーラとの距離を詰めたのである。

「──なっ!?」

「それっ!」

 ミーアはアブドゥーラの顔面を鷲掴み、ドンッと空高く飛びあがる。驚異的な速度と跳躍力、いずれも巨体を持つ生物の常識から逸脱している。
 当然ながらアブドゥーラは何も反応出来ず、ただ無抵抗に連れ去られるのみ。

「この辺りでいいかな、ほいっと」

「ぐおおぉ……がはぁ!?」

 辿りついた先はだだっ広い荒野、第二次防衛線は遥か彼方だ。すなわちミーアはひとっ飛びでアブドゥーラを戦場から引き離したのである。
 アブドゥーラは無造作に放られ、全身を打ちつけ堪らず悶絶。だが数秒後には体勢を立て直し、拳を構えミーアと相対する。

「この俺を投げ飛ばすとは、信じられん膂力だ……しかし俺に退くという選択肢はない、いざ尋常に勝負といこう!」

「おっ、まだまだ元気いっぱいだね! さあこい、遠慮や手加減は無用だよ!」

「舐めるなよ、ウオオオォ!!」

 青白い炎を纏った突撃、全身全霊の強烈な殴打。一発で防壁を粉砕するほどの拳を、アブドゥーラは立て続けに打ち込む。
 対するミーアは一切の抵抗をせず、ただ一方的に殴られ続けるのみ。にもかかわらず表情は涼し気だ、僅かにのけ反ることすらない。

「くっ……バカな!?」

「思ったほど強くないね、紛い物の巨人だからかな?」

「紛い物だと!? ふざけるな、俺は──」

「それっ」

「ごほぉ!?」

 ミーアの一撃は大雑把に振るわれた裏拳、その速度たるや閃光の如し。ドンッという衝撃音の直後、アブドゥーラの巨体は地面を跳ねる。

「ぐ……がはぁ……」

「さて、まだやる?」

「ふぅ……当然だ、俺は火の魔人アブドゥーラ! 燃える炎こそ俺の本領!」

 アブドゥーラの放った炎は、これまで放った炎とは比べ物にならない勢いだった。青白く輝く炎の奔流、全てを飲み込む猛火の嵐。
 ミーアはあっさり炎に飲み込まれてしまう、とても無事ではいられないであろう状況だが──。

「アタイを相手に炎で戦いを挑むなんて、いくらなんでも無謀すぎるよ」

「なっ!? 俺の炎に焼かれ、尚も生きているだと……」

「アタイは炎帝ミーア・ラグナクロス、アタイを燃やせる炎なんて存在しない」

 まるで何事もないかのように、ミーアは炎の中で静かに佇んでいる。火傷を負うどころか、髪の毛の一本ですら燃えていない。

「そろそろ終わらせようか、最後に本物の炎を見せてあげる」

「本物の炎だと!?」

「いくよ……爆っ熱っ! 神器“レーヴァテイン”解放!」

 爆炎の中から現れた神器、それは剣にも槍にも似た真紅の武器だった。軽く一振りしただけで、アブドゥーラの放った炎を残さず吸い込んでしまう。

「そおぉー……れっ!!」

 驚くアブドゥーラを他所に、ミーアはグッと腰を下ろす。レーヴァテインを上段に構え、気炎を吐き渾身の一撃。その威力たるや筆舌に尽くしがたい、火山の噴火、巨大隕石の衝突、いずれも到底及ばぬほどの破壊力だ。
 ただの一撃で地形は一変、辺りは溶けた岩石でドロドロと赤熱している。爆心地には底の見えない巨大な穴、驚くべきことに地殻を貫いているらしい。

「ふぅ……さて、手加減したけど生きてるかな?」
 
 見ると爆心地の外れに、何やら黒焦げた物体が転がっている。どうやらアブドゥーラの燃え殻だ、辛うじて息はある模様。

「アタイの炎に焼かれて生きてるなんて、ちょっと見どころあるかもね」

 ミーアは上機嫌にレーヴァテインを担ぎ、グッと拳を振りあげる。

「はいお終い、アタイの勝ちーっ!」

 こうして火の魔人と炎帝の戦いは、炎帝の圧勝で幕を閉じたのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Radiantmagic-煌炎の勇者-

橘/たちばな
ファンタジー
全てを創世せし神によって造られた、様々な種族が生息する世界──その名はレディアダント。 世界は神の子孫代々によって守られ、幾多の脅威に挑みし者達は人々の間では英雄として語り継がれ、勇者とも呼ばれていた。 そして勇者の一人であり、大魔導師となる者によって建国されたレイニーラ王国。民は魔法を英雄の力として崇め、王国に住む少年グライン・エアフレイドは大魔導師に憧れていた。魔法学校を卒業したグラインは王国を守る魔法戦士兵団の入団を志願し、入団テストを受ける事になる。 一つの試練から始まる物語は、やがて大きな戦いへと発展するようになる──。 ※RPG感のある王道路線型の光と闇のファンタジーです。ストーリー内容、戦闘描写において流血表現、残酷表現が含まれる場合もあり。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...