魔王様は学校にいきたい!

ゆにこーん

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生徒会長の温情

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「キミは以前ロームルス学園に通っていた、間違いないか?」

「はい、ですが実家の事情で通えなくなりまして……」

 オリヴィアはロームルス学園の元生徒であり、実家の没落により退学を余儀なくされた。思い出すだけで塞ぎ込んでしまうほど、オリヴィアにとっては辛い過去である。

「事情は分かっている、その上で聞いてくれ。キミさえよければ、あらためてロームルス学園に入学しないか?」

「ひええっ!?」

 普段は落ちついているオリヴィアだが、この提案には悲鳴をあげて激しく仰天。ビクリと全身を硬直させ、口をパクパク目をパチパチ。どうやら事態を飲み込めておらず、混乱状態に陥っている模様。

「あっ、あの? 入学とはどういう……ふえぇ?」

「まあまあ、落ちついて聞いてほしい。まず大前提として、私はオリヴィアをロームルス学園の生徒に相応しい人物だと思っている」

「相応しい人物ぅ!?」

「在籍当時の成績、この一年ロームルス学園に寄与してくれた実績。ロームルス学園の生徒として十二分に相応しく、模範生と称しても差し支えない。以上を鑑みて私は、オリヴィアのロームルス学園入学を推薦したい」

「はわっ……はわわっ……」

「というより勝手ではあるが、既に推薦を済ませてある。学費は免除、入学試験も免除、次の新入生として下級クラスへ入学、全て学長は了承してくれた」

 驚くべきことにハインリヒは、先行してオリヴィアの入学許可を取りつけていた。一枚の書状をオリヴィアに差し出す、そこには大きな文字で入学許可証と記されている。

「どうだろう、再び生徒としてロームルス学園に通ってくれないだろうか?」

「ロームルス学園の生徒として……あ、でも私はウルリカ様の従者で──」

「やったのじゃ、リヴィもロームルス学園の生徒になるのじゃ!」

「──ウルリカ様っ」

「これでオリヴィアも俺達と同じ、下級クラスの生徒だぜ!」

「そうと決まればお祝いしましょう、リヴィの入学祝いです!」

 律儀にもオリヴィアは、主であるウルリカ様の意見を伺おうとする。だが伺う間もなくウルリカ様は大喜び、クラスメイトも大喜びのお祭り騒ぎである。
 ウルリカ様の許可を得て、もはや入学を妨げるものはない。オリヴィアは入学許可証を受け取り、大事そうに胸元へ抱き寄せる。

「ありがとうございます、心から感謝いたします」

「妾からもありがとうなのじゃ、ハインリヒは優しい人間なのじゃ!」

「また名前を間違えているぞ、私の名前は……間違えていないだと!?」

「ちゃんと覚えたのじゃ、生徒会長のハインリヒなのじゃ」

 ハイリリリンやらイハンリヒやらアンソニーやら、いつまで経ってもハインリヒはウルリカ様から名前を覚えてもらえなかった。しかし卒業を目前にしてようやく、正しい名前を覚えてもらったのである。

「完璧だ、しかし念のためもう一度呼んでくれ!」

「生徒会長のハインリヒなのじゃ」

「素晴らしい、もう一度名前を──」

「むうぅ、面倒くさいのじゃ!」

「──あぁ、これは失礼した」

 よほど嬉しかったのだろう、ハインリヒはドバドバと涙を流して大歓喜。何度もウルリカ様に名前を呼ばせ、ついには鬱陶しがられる始末だ。

「ともかく伝えたかったことは以上だ、シャルロット様の在校生挨拶とオリヴィアの入学、私からノイマン学長とラヴレス副学長に報告しておくよ」

「それにしても生徒会長、今日は別人のように温和ですわね」

「卒業を前に色々と考え、くだらない自尊心は捨て去ったのですよ……。ああそうだ、卒業式の後は休みに入る、その間にオリヴィアは入学準備を整えてくれ」

「かしこまりました、しっかり準備を整えて……あ、その間ウルリカ様のお世話はどうしましょうか?」

「ならば妾は魔界へ遊びにいってくるのじゃ、ミーアと約束しておったからの」

 ウルリカ様は配下との約束を決して忘れない。南ディナール王国でミーアと交わした“長い休みがあれば魔界に戻る”という約束を、しっかりと覚えていたのである。

「楽しみじゃな、ワクワクするのじゃ!」

 翌週は卒業式、その後はオリヴィアの入学、そしてウルリカ様の進級、ワクワクの未来に胸は高まるばかりである。
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