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14 それは奇跡の出会い(王子視点)
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「ァ、アリアーティア?!本当にアリアーティアなのか!」
分厚すぎて素顔の判別もつかないほどの瓶底眼鏡と輝く銀髪。もうそれはアリアーティアでしかなかった。
というか、なんかもう雰囲気的に絶対アリアーティアじゃないか。と、なにやら懐かしい雰囲気に思わず気が緩む王子だった。
思わず興奮し過ぎで声が裏返りながらも手を伸ばしたが仕方がない。瓶底眼鏡を手で押さえながら、あわあわと狼狽えるその少女を見てーーーー俺は数年前のあの日……運命の日のことを思い出していた。
***
あの日、俺は婚約者であったアリアーティアに命を救われたのだ。
そう、あの日。俺はなぜかひとりで外を歩いていた。なんでかはわからないが、なぜかそんな気分だったとしか言いようがない。
いくら王族とその関係者しか出歩けない場所であったとしても気が緩み過ぎだったと後に叱られるが致方ないことだったが……。
その場で、突然に暗殺者によって命を狙われたのだ。
毒矢で射抜かれ、本当なら自分が命を落とすはずだった。だが、死んだのは婚約者であるアリアーティアだったのだ。
いつも瓶底眼鏡をかけている、みっともない公爵令嬢。どれだけ王族の婚約者として正しい姿になるように指導しても全く言うことを聞かない。とにかく生意気だった。
いつも「なんであんな女が」と下唇を噛みながら耐えていたのは、あの女は母上のお気に入りだったからだ。なぜ母上があんな眼鏡を気に入ってたのかは理解できなかったが、公爵令嬢という地位である以上文句も言えない。能力的に欠点でもあれば糾弾出来たのに、使用人どころか母上専属の老騎士にまで褒め称えられる令嬢をたかが王子である俺にどうこうできるわけもなかったが。(というか、追い詰めようとしても欠点がなくてできなかった)
アリアーティアは瓶底眼鏡なのを差し引いても素晴らしい令嬢だ。
勉学にも熱意的で、マナーも完璧。しかも公爵令嬢だ。瓶底眼鏡でさえなければ王子の婚約者としては完璧過ぎる存在だったのだ。本当に眼鏡だけが気に入らなかっただけなんだ。
どうしても素顔がみたい。せめて俺にだけは見せてくれたら……。
……だが、どれだけ苦言をしいても、忠告してもアリアーティアは瓶底眼鏡をはずさななかった。
それがまるで“お前なんかに見せる価値はない”と言われているようで、悔しかったんだ。
だから、まさか命をかけて俺を助けてくれるなんて驚き過ぎて……俺は、彼女に感謝を述べることもできなかった。
それからというもの、なぜか無性にひとりになりたくなる。その行為がどれだけ自分の価値を下げるかもわかっているのに。
ただ、そうすれば……アリアーティアが再び姿を現してくれるような気がして。
俺の腕の中で確かにアリアーティアは死んだ。その体が冷たくなるのも確かに確認したのに。俺は、なぜかアリアーティアがまだどこかにいるような気がしていたんだ。
「……やっぱり生きていたんだな」
俺は、自分の直感を信じ……アリアーティアを抱きしめようと腕を伸ばしたのだった。
分厚すぎて素顔の判別もつかないほどの瓶底眼鏡と輝く銀髪。もうそれはアリアーティアでしかなかった。
というか、なんかもう雰囲気的に絶対アリアーティアじゃないか。と、なにやら懐かしい雰囲気に思わず気が緩む王子だった。
思わず興奮し過ぎで声が裏返りながらも手を伸ばしたが仕方がない。瓶底眼鏡を手で押さえながら、あわあわと狼狽えるその少女を見てーーーー俺は数年前のあの日……運命の日のことを思い出していた。
***
あの日、俺は婚約者であったアリアーティアに命を救われたのだ。
そう、あの日。俺はなぜかひとりで外を歩いていた。なんでかはわからないが、なぜかそんな気分だったとしか言いようがない。
いくら王族とその関係者しか出歩けない場所であったとしても気が緩み過ぎだったと後に叱られるが致方ないことだったが……。
その場で、突然に暗殺者によって命を狙われたのだ。
毒矢で射抜かれ、本当なら自分が命を落とすはずだった。だが、死んだのは婚約者であるアリアーティアだったのだ。
いつも瓶底眼鏡をかけている、みっともない公爵令嬢。どれだけ王族の婚約者として正しい姿になるように指導しても全く言うことを聞かない。とにかく生意気だった。
いつも「なんであんな女が」と下唇を噛みながら耐えていたのは、あの女は母上のお気に入りだったからだ。なぜ母上があんな眼鏡を気に入ってたのかは理解できなかったが、公爵令嬢という地位である以上文句も言えない。能力的に欠点でもあれば糾弾出来たのに、使用人どころか母上専属の老騎士にまで褒め称えられる令嬢をたかが王子である俺にどうこうできるわけもなかったが。(というか、追い詰めようとしても欠点がなくてできなかった)
アリアーティアは瓶底眼鏡なのを差し引いても素晴らしい令嬢だ。
勉学にも熱意的で、マナーも完璧。しかも公爵令嬢だ。瓶底眼鏡でさえなければ王子の婚約者としては完璧過ぎる存在だったのだ。本当に眼鏡だけが気に入らなかっただけなんだ。
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……だが、どれだけ苦言をしいても、忠告してもアリアーティアは瓶底眼鏡をはずさななかった。
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だから、まさか命をかけて俺を助けてくれるなんて驚き過ぎて……俺は、彼女に感謝を述べることもできなかった。
それからというもの、なぜか無性にひとりになりたくなる。その行為がどれだけ自分の価値を下げるかもわかっているのに。
ただ、そうすれば……アリアーティアが再び姿を現してくれるような気がして。
俺の腕の中で確かにアリアーティアは死んだ。その体が冷たくなるのも確かに確認したのに。俺は、なぜかアリアーティアがまだどこかにいるような気がしていたんだ。
「……やっぱり生きていたんだな」
俺は、自分の直感を信じ……アリアーティアを抱きしめようと腕を伸ばしたのだった。
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