【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか契約聖女になってしまいました

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45 襲撃は撃退するに限ります

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「……さて、これからどうしましょうか」


 ひとまず、 アニーに準備してもらったお風呂で気になる所(あの王太子に触られた所)を念入りに洗い体を休めているのですが、もちろんこのままというわけにはいきません。残された時間は有効に使わなくては!

「お嬢様、簡単な物しか出来ませんでしたがお食事をお取りください。“腹が減っては戦はできぬ”と執事長様もよくおっしゃっていましたから!それにしても、クローゼットに準備されていた寝間着はなんだか着心地が悪そうですね?」

「そうなのよね……。一応着てみたんだけどこんなに薄い布じゃ体が冷えてしまうわ。異国ではこれが流行りなのかしら?こんなのしかないなら、あの聖女の正装だからって着せられていたドレスをそのまま着ればよかったわ。つい、いつものクセで脱いだら速攻つけ置き洗いをしちゃったものだから、乾くまで時間がかかりそうなのよ」

「それは仕方がありませんよ。移動の間はずっと着ておられましたし、やはりいつもの習慣はなかなか抜けませんから。国が違えば文化も違うと聞いたことがありましたのに、わたしも失念していました。まさか寝間着がこんなのだとは……。お嬢様の普段着はジルさんが揃えてくださると言っていたから油断しておりました!」

 私の着ている布のあまりの薄さにアニーの眉間に皺が刻まれました。実は衣類はそんなに持ってきていないんですよね。最初は異国についたらすぐに平民に紛れて仕事をするつもりだったので、文化の違う国の服装では流行りもあるだろうし目立つかもしれないからこちらで買い揃える予定だったんですもの。アニーについてはジルさんの責任もあるので一緒に説得してもらおうと思っていたのに今の状況はまさしく予定外なのです。

 それにしても、今さらながらこんな薄布を着ていることがすごく恥ずかしくなってきました。よく考えればこの寝間着ってば体のラインがまるわかりなんですよね。お風呂の後は寝間着を着るというのが当たり前だと思って素直にこれを着た自分が恥ずかしいです……!いやほら、着ていた服は脱いだら洗濯するって流れが染み付いているもので。酒場の制服とかちゃんと毎日洗わないとお酒やおつまみの臭いが取れないんですよ!ましてやあんな高級そうなドレス……つけ置きして染み抜きしないとソワソワしちゃうんですもの!

「うーん、とりあえず食事をしてから着替えるわ。どうせアニーしか見ていないし……後で動きやすいワンピースを出しておいてくれる?」

 即刻着替えたい気持ちはありますが、アニーが準備してくれた食事が冷めてしまうのも申し訳ないですしね。それにの為にも腹ごしらえは大切です。

「わかりました!ふふふ、実は執事長様から色々と持たされておりますからお任せください!」

 ……トーマスはどこまで予測して、何をアニーにもたせたのかしら?危ないものでないといいけど……。


「それにしても、ジルさんはどうしているかしら……」

 ぱくり。とアニーが作ってくれたスープを口にしながら思わず呟いてしまいます。

    一応王太子にお願いしてみたもののあの反応ではジルさんに会うのは無理そうですよね。部屋には鍵がかかっているし外には見張りもいます。これはどう見ても軟禁状態に間違いありません。聖女は王族と同等の権力を持っているとは言われましたがそれが本当に認知されているかは怪しいところです。もうね、視線でわかるんですよ。「不気味な桃毛のくせに」みたいな雰囲気……特にあの3人の王女たちでしょうか。それに王太子のあの時の顔を見ればどう考えても楽しい未来はこなさそうだという事だけはわかります。エドガーといい隣国の王子といい、このままじゃ男性不信に拍車がかかりそうなんですが。

    まだ少し湿っている自分の短い髪に触れ、壁にかけられたやたら豪華な装飾の鏡に視線を向けました。

    そこにうつっているのは、短い桃色の髪をした……普通の女の子のはずです。

    最初は聖女なんてただのデマカセだと思っていました。本当だとしても私が聖女なんて間違いで異国につく前に本物を探しにいくから手伝ってくれとか言われるのかなって。それから、もしこれがなにかの物語ならどんな展開が待っているのだろうか。とも。

 こんな時に医学書や経営学の本の合間に読んだ小説を思い出すなんてどうかしてますね。

    きっとそんな物語の主人公ならこんな窮地になれば素敵な王子様が助けに来るのでしょう。もし物語のようになりたいならば私はおとなしく震えながらこの状況を嘆き悲しみ震えていなければならないのかもしれません。ですが私には自分の状況を嘆きながら誰かの助けを待つなんて性にあいません。

    それに……ジルさんは聖女がどんな存在なのか知っていて異国へ連れてきたんです。自分を殺す存在をわざわざ連れてきたということはそれなりに事情があるのでしょう。それこそ、そうしなければいけない“大切な何か”の為だとか。

 だから私を助けるということはジルさんのその“大切な何か”を犠牲にすることになるかもしれません。そんなジルさんに助けて欲しいなんて思うのは……ダメです。だって、ジルさんと私はお互いを利用する間柄ですもの。もしかしたら、利用し終えた私にはもう用なんて無いと思っているかもしれませんし。

    だからこの状況も自分でなんとかしなくてはいけません。もちろん、なんの説明もなしに私を振り回した事に対する責任はとってもらうので絶対にジルさんに会いに行きますけどね!こちらから会いに行って、会って、そして……どうするかはその時に考えることにします。そのためにも、この危機を自力でなんとかしなくてはなりません。

    私は雑念を祓うように頭を振り、スープを完食するとさっそくアニーの準備してくれていたワンピースに着替えると家を出る時に詰め込んできたカバンを引っ張り出してきました。これでも聖女をお役御免になった後の為にと色々と準備してきたんですから!DIY道具や材料、それにお気に入りの本がみっちり詰まったカバンを見て、改めて色気的なものは欠片も無いことを実感しましたが。

「えーと、これなんか使えそうかしら……」

「お嬢様、執事長様からはこんなものを預かってきていますよ!」

    ガサゴソとカバンを探り、アニーと共にあれやこれやと引っ張り出してきたモノたちで下準備を整えます。

    部屋に軟禁されて外に出れないなら出れないでそれなりの対策をするだけです。……さぁ、やりますか!







***








    コンコンコン。

    夜が更けてきた頃、突然扉が軽快にノックされました。するとこちらが返事をする前に勝手に開いたかと思えばアヴァロン王太子が姿を現したのです。咄嗟にアニーが私の姿を隠そうと動きましたが、それを手で制しました。一応相手は王太子ですから、どんな動きが不敬だと言われるかわかりませんもの。

「失礼いたします、聖女様。よろしければワインなどいかがですか?色々とお話をして親睦を深めたいと思いまして」

    扉に手をかけながら、にっこりとした笑顔と共にグラスと明らかに高そうなワインをかがけて見せてきます。そしてまたもや返事を待たずに後ろ手で扉を閉めてしまいました。その時にどんな合図をしたのかしっかりと人払いもしたようです。もしかして、さっき反発したからってこれから秘密裏に殺すつもりだとか言いませんよね?

「……おや、こちらで用意した寝間着はお気に召しませんでしたか?」

 わたしの着ている簡素なワンピースを見て王太子がピリッとしたのも見逃しません。もしかしなくてもこれは予想外だったのでしょう。いえ、なんであんなスケスケの寝間着をそのまま着ていると思っていたのでしょうか?ハッキリいってあんな薄布では防御力はゼロです。

「あら、王太子様。こんな夜中に何のご用でしょう」

    ちなみにすでにけっこうな真夜中です。決して淑女の部屋にやってくるような時間ではありません。それにしてもジロジロと見てくるのが気持ち悪いんですけれど。

「いえ、実は今夜はなかなか寝付けませんでしたのでもしかしたら聖女様もそうではないか思い馳せ参じました。そんなお姿をしておられるのならやはり聖女様も眠れなかったのでは?」

 またもやにっこりと笑顔を作っていますが、先程のピリッとした雰囲気を残したままです。そんなに私があのペラッペラな寝間着を着ていなかったのが気に入らなかったのかしら?まさかこの国ではあんな薄布が王族の正装だなんて言わないですよね?男女共にスケスケでモロ見えなんて……カオスですよ。

 というか、いくら王太子とはいえ許可を出してもいないのに夜中に女性の部屋に勝手に入ってきたのはどうかと思うのです。ついでに言えば、そんな男性にこの状況でお酒を勧められて「はいどーも」と口にする女はまずいないと思いますが。

「確かに寝付けませんでしたが、あなたと夜をご一緒するつもりもございませんわ。それ以上は1歩も中へ入ってこないで下さい」

    ジルさん直伝聖女スマイルで「だから今すぐ帰れ」と嫌味を込めてみましたよ。これが通じるようならマシな分類だと思いたいところですが……。

「そうですか……。せっかくチャンスをあげたのにまた拒むのですか……」

    笑顔のままのアヴァロン王太子ですが、ピリついたままの目が笑っていません。どうやらまともな言葉は通じないようですね。と思った瞬間。

    瞬時に投げつけられたワインの瓶が私の顔の真横を通り抜けました。

    ガシャーン!!と派手な音を立て瓶の破片とワインの中身が飛び散ります。ベッドのシーツが赤く染まりました。もし、もう少しずれてたら顔面に命中していたのではないでしょうか。下手したら大惨事です。危ないですね。

 ちなみに、私が働いていた酒場でも客のケンカが始まると酷いときは空瓶やグラスがよく私目掛けて飛んで来ましたので今更恐怖なんか感じません。避けるのは得意ですもの。もちろん割れたら弁償させてましたけどね!


「お嬢様……!」

 私の指示で控えていたアニーが私を庇おうとしたのか前に出てきてしまいした。このくらい平気なのに……やっぱりアニーもトーマスに似て過保護のようですね。でもこのままではアニーまであの王太子の怒りを買いそうな雰囲気になってしまいそうで心配です。

「……調子に乗るなよ。この僕がここまでしてやってるのに断るだと?わざわざ夜着まで準備してやったのにそんな質素な服を着てるなんて……普通の女なら喜ぶだろう!僕は王太子だぞ!?」

 アヴァロン王太子が拳を震わせながら叫びましたが、私とアニーはドン引きです。つい、ため息混じりで答えてしまいました。どうやらあの薄布は王太子の趣味だったようですね。

「はぁ……。どこの普通・・の女と比べられてるのかは知りませんが、あなたの勝手な常識に纏められるのは非常に不愉快ですわ。それに、酒瓶が飛んで来るのも普通じゃないと言われるのも慣れてるので、今更そんなことを言われても困ります」
  

「このっ……!」

「……今よ!」

    イラつきを隠せない顔をした王太子がその1歩を踏み出したのを確認して、私は足元に隠していたロープを引っ張りました。そして私の合図に反応してアニーも動き出します。

    ロープと仕掛けは調度品の花瓶に繋がっていて勢いよく王太子に向かって花瓶が宙を飛びました。

「おわ?!」

    ぶん!と空気を切る音がして飛んで来る花瓶を王太子が仰け反るようにして避けます。手に持っていたグラスを落として足元で割れますが気づいてないようでした。

    そしてタイミングを見計らったアニーが反対側に仕掛けておいたもうひとつのロープを引っ張れば王太子の足元にピン!と細い紐が張られ、やたらと磨かれた革のブーツに引っ掛けて転ばすことに成功したのです。

「ぎゃあ?!」

    やりました!割れたグラスの破片がおしりに刺さったようです。さらにアニーがトーマスに持たされたという“ベタベタして相手の動きを鈍くする”という液体の入ったボールを投げつけました。パチン!と破れたボールからはドロッとした粘液が溢れ出てあっという間に王太子に纏わりついたのです。……あれ?あの粘液、ボールの容量を越えているような……しかもうご……?うん、気の所為ですね!なんでもトーマスが旅の商人から買った防犯グッズらしいです。馬のいらない馬車に乗った白衣の商人で、とても不思議なグッズをたくさん売っていたのだとか。その中でも持ち運びがしやすそうな物を選んだのだそうです。確かに王太子の動きはだいぶ鈍りました。これならおいかけられても逃げられそうですね!

 それにしても、いつか役に立つかもと『素人でも簡単!ロープを使った罠100選』の本を読んでいてよかったです。他にもロープを使った捕縛法なども数種類あったのですがさすがに難しくて覚えきれませんでしたけど。

「だから、1歩も中に入るなと言ったんです。そこでおとなしくなさっていてください!」

「きっさまぁ……!よくもぉ……!」

    これで意気消沈してくれれば良かったのですが、王太子はベトベトになって張り付いた髪の隙間から血走った目をギロリと動かし私を睨んできました。そして自分の回りに散らばる破片を握りしめたかと思うと……腕に蠢きながら纏わりつこうとするベトベトを振り切って破片ごと私を殴ろうと拳を向けてきたのです。なんてことでしょう、振り子の原理でさっきの花瓶が再び戻ってくるはずだったのに家具にロープが引っ掛かり花瓶は動きを止めてしまっているようでした。せっかく不意打ちで攻撃しようと思ったのに……反対側にいるアニーが顔色を変えて腕を伸ばそうとしているのが見えましたがなんだかスローモーションのように見えてしまいました。

 あんなにベトベトなのに渾身の一撃を叩き込もうとするなんて、とんでもない執念ですね。……あ、避けきれない……!と目をつむって身構えました。



    しかし、私にその拳が届くことはなく「ぐあっ!?」と王太子の悲痛な声が聞こえたのでした。




「ーーーーほんとに、ロティーナは想像以上のことをするよなぁ」

    その声に思わず気が緩みそうになりました。

「……なんでここに?」

    だって、アヴァロン王太子を後ろから殴って気絶させ「なんでこいつ尻から血がでてんの?痔?ベトベトしてるし」と足で踏みつけている彼がにんまりとしたいつもの顔で目の前にいたのですもの。

「ん?なんでかみんな忙しそうで手薄になってたから逃げてきたんだ。ターイズが外の兵士を誘導してくれてるから今ならここから出られるよ」

「ジルさん……!」

    ジルさんは「お待たせ」と言いながら私の肩にそっと手を置いたかと思うと、部屋の惨状を見てクスッと笑ってきました。

「普通はおとなしく助けを待つもんだよ?お転婆聖女様」

「ーーーーだからっ!どこの普通と比べてるんですか!だいたいジルさんはいっつも何も教えてくれないから、だから私は……!」

    本当はもっと違うことが言いたかったはずなのに憎まれ口しか出てきません。さらになぜかボロボロと涙が出てきてしまいました。こんなのだから「普通の令嬢っぽくない」と言われてしまうんですよね。

    こんな可愛げのない女なんか……。

「うん、ごめん。でもオレは、そんなロティーナだからーーーーす「お嬢様!お怪我はありませんか?!」「聖女様、はご無事……のようだな」……おっとアニーちゃん、それにターイズはもう来たのか」

  辺りを伺いながら部屋に入ってきたターイズさんが泣きじゃくるアニーに抱きつかれている私を見てホッとした顔をしました。どうやらターイズさんにもとても心配をかけていたようです。それにしても、アニーに押しのけられたジルさんが複雑そうな顔をしているのはなぜでしょうか?

「聖女様、ご無事でなによりです。ジルよ、王太子を踏みつけながらなにをしている?早く行くぞ」

「わかってるよ。さぁ、行こうか」

    そしてジルさんは足早に部屋の外へと私とアニーを促しました。いつものにんまり顔を見せて…。

「行くって、どこへ?」

「ーーーーん?秘密の場所だよ」と。





    
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