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第二章 原作開始
第63話 悪戯の目的
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「俺がドライ様の奥さん……ど、どうしよう……」
ボソボソと下を向いて歩き、何か呟いているアンジェラ王女は段差を踏み外した。
ヤバッ――
「きゃ!」
「っと」
体勢を崩し、宙に投げ出された王女の背後に移動して、両脇に手を入れ支える。
ふう。間に合ったけど……アンジェラ王女、めちゃくちゃ軽いな。
だけど……デカい。脇で支えたのは間違いだったと思う。むにゅむにゅだ。思わず指に力を入れてしまったけど、これ以上はヤバすぎる。早く下ろさなきゃまずいどころじゃない。
「ア、アンジェラ王女殿下、あの、下ろしますね」
手足を縮め、体を丸めている王女に声をかける。
「あ、れ? 転けてない? 俺、飛んでる?」
「はは……飛んではいないですね。アンジェラ王女殿下、下ろすので足を伸ばしてもらえますか?」
「え? ド、ドライ様! おう、じゃなくて、はい、俺、ドライ様に助けられてる!? そ、そうだ、足ですね! 伸ばします!」
腕の中で丸まっていた体をピーンと伸ばして気をつけの姿勢になってくれる。
よし、緊張しているのか、おっぱいに触れてることには気づかれてない。今の内だ。
「下ろしますね」
そ~っと三段ある階段の下まで降りて、床にゆっくりと足をつけてあげる。
「アンジェラ王女殿下。大丈夫でしたか?」
「は、はい! 大丈夫でしゅ! あ、あう……」
くるりと俺の方に向き直り身長差が40センチあるからか、俺を見上げてくる。ちょっと噛んで真っ赤になっているけど、可愛い子だ
「良かったです」
「ドライ、すまないな。アンジェラはちょっと王族らしからぬ不注意なところがある。これからはお前も気をつけて見ていてやってくれ」
「お、オヤジ! じゃなくてお父様! ドライ様になんてこと言ってん――言ってるのですか! 取り消せ! でございます! いや、ドライ様に見られるのは嫌じゃないんですよ?」
俺と王様の間で高速で向きを変えながらワタワタしてる。
俺っ娘で、王様のことを『オヤジ』って呼んでるのか……。
「どうだドライ。少々言葉遣いはアレだが、お前の数々ある武勇伝を聞いてから、熱烈な支持者なんだよアンジェラは。可愛いだろ?」
「それは、まあ、可愛いと思います」
「ドライ様が俺のこと可愛いって……はふんっ――」
「あっ! 王女殿下!」
ボンと赤い顔がさらに赤くなり、後ろに倒れてしまった。
背中に手を回し支えてんだけど……気絶してる?
「くくっ。可愛いと言われ嬉しすぎて気を失うとか、可愛すぎるぞ。よし、ドライ、そのままアンジェラを抱っこしたままついてくるように」
「は?」
「抱っこされたまま起きたらどうなると思う? また気絶するとは思わないか?」
「王様……自分の娘に悪戯ばかりしてたら嫌われますよ」
「大丈夫だ。嫌いになるならドライとの婚約は破棄だと言えば許してくれる。おっと、時間が押している。ほら、早く抱っこしてやらんか。行くぞ」
「この王様は……完全に楽しんでるじゃないか……」
「わたくしのお父様も、たいがいおかしな王だと認識していますが、同レベルでおかしいわね」
あまり言わないようにしているけど、ファラの意見には激しく同意だ。
ちょっと人には見せられないくらい……幸せそうな顔で気絶している王女をお姫様抱っこして、笑いながら先を進む王様の後を追いかけた。
「ドライ。なぜアンジェラ王女殿下をヒザの上に乗せているのだ?」
「なぜなんでしょうね……父さん、理由は王様に聞いてください」
俺たちが向かった先は学園長室に併設されてる貴賓室。王女はまだ意識が戻っておらず、ソファーに下ろそうとしたんだけど王様に止められた。
「ふむ。おおかたコイツの悪ふざけであろうが、婚約者と発表されてしまったのだ、問題はなかろう」
「ああ問題ない。と言うよりだ。アンジェラに婚約者がいない方が問題でな。今回の目的は親戚関係になるものたちの顔合わせが一番の目的ではあるんだが――」
にやけた悪戯王の顔から、威厳がある王様の顔に変わった。
「――教国から打診があったのだ。アンジェラの魔法の才能に目を付けたのか、復活が間近と言われる魔王の天敵、勇者の従者にしろとな」
「勇者の従者? 王女を従者にとは強気だな」
原作の流れが来てる。原作ではリズが聖騎士としてアンジェラ王女の近衛に抜擢されてすぐ、もう一人の聖女とアーシュがパーティーを組むんだよな。
その前にリズの身内による暗殺イベントがあるけど、今はイルミンスール家で一番大事にされているし、その心配も無くなったから、好感度アップイベントのフラグは折れて跡形もない。
「その通りだ。返事の期限が建国祭だったのでな。一国の王に向かって期限を設け、返事を強要するなど反発したくもなるだろう?」
「くくくっ。お前らしい悪戯だな。相手が欲しいと思っているものを他人にやる。学生時代にも何度かやっていたのを思い出したぞ」
「だろう。今日も来賓で枢機卿が勇者の入学式のために来ていたからちょうど良かったのだ。それと、だ。少し訳ありな元聖女のこともあってな。まあちょっとアンジェラを驚かせてやろうって気も多少はあったが、な」
あれは俺たちだけじゃなく枢機卿への王女は勇者の従者にはしないって意思表示兼、悪戯でもあったのか。
あれ? 元聖女? いや、それより聖女もこの学園に来てる? おかしい……聖女は平民で学園には通わないはずだ。
魔王討伐の旅に出るときに教会から派遣されて来てパーティーに加わる。それに実は孤児院時代のアーシュの幼馴染みでもあるんだよな。
その聖女が学園に来てるとなると……原作の流れが相当変わってきてる?
「ふあー。あれ? 俺なんで寝てるんだ?」
ボソボソと下を向いて歩き、何か呟いているアンジェラ王女は段差を踏み外した。
ヤバッ――
「きゃ!」
「っと」
体勢を崩し、宙に投げ出された王女の背後に移動して、両脇に手を入れ支える。
ふう。間に合ったけど……アンジェラ王女、めちゃくちゃ軽いな。
だけど……デカい。脇で支えたのは間違いだったと思う。むにゅむにゅだ。思わず指に力を入れてしまったけど、これ以上はヤバすぎる。早く下ろさなきゃまずいどころじゃない。
「ア、アンジェラ王女殿下、あの、下ろしますね」
手足を縮め、体を丸めている王女に声をかける。
「あ、れ? 転けてない? 俺、飛んでる?」
「はは……飛んではいないですね。アンジェラ王女殿下、下ろすので足を伸ばしてもらえますか?」
「え? ド、ドライ様! おう、じゃなくて、はい、俺、ドライ様に助けられてる!? そ、そうだ、足ですね! 伸ばします!」
腕の中で丸まっていた体をピーンと伸ばして気をつけの姿勢になってくれる。
よし、緊張しているのか、おっぱいに触れてることには気づかれてない。今の内だ。
「下ろしますね」
そ~っと三段ある階段の下まで降りて、床にゆっくりと足をつけてあげる。
「アンジェラ王女殿下。大丈夫でしたか?」
「は、はい! 大丈夫でしゅ! あ、あう……」
くるりと俺の方に向き直り身長差が40センチあるからか、俺を見上げてくる。ちょっと噛んで真っ赤になっているけど、可愛い子だ
「良かったです」
「ドライ、すまないな。アンジェラはちょっと王族らしからぬ不注意なところがある。これからはお前も気をつけて見ていてやってくれ」
「お、オヤジ! じゃなくてお父様! ドライ様になんてこと言ってん――言ってるのですか! 取り消せ! でございます! いや、ドライ様に見られるのは嫌じゃないんですよ?」
俺と王様の間で高速で向きを変えながらワタワタしてる。
俺っ娘で、王様のことを『オヤジ』って呼んでるのか……。
「どうだドライ。少々言葉遣いはアレだが、お前の数々ある武勇伝を聞いてから、熱烈な支持者なんだよアンジェラは。可愛いだろ?」
「それは、まあ、可愛いと思います」
「ドライ様が俺のこと可愛いって……はふんっ――」
「あっ! 王女殿下!」
ボンと赤い顔がさらに赤くなり、後ろに倒れてしまった。
背中に手を回し支えてんだけど……気絶してる?
「くくっ。可愛いと言われ嬉しすぎて気を失うとか、可愛すぎるぞ。よし、ドライ、そのままアンジェラを抱っこしたままついてくるように」
「は?」
「抱っこされたまま起きたらどうなると思う? また気絶するとは思わないか?」
「王様……自分の娘に悪戯ばかりしてたら嫌われますよ」
「大丈夫だ。嫌いになるならドライとの婚約は破棄だと言えば許してくれる。おっと、時間が押している。ほら、早く抱っこしてやらんか。行くぞ」
「この王様は……完全に楽しんでるじゃないか……」
「わたくしのお父様も、たいがいおかしな王だと認識していますが、同レベルでおかしいわね」
あまり言わないようにしているけど、ファラの意見には激しく同意だ。
ちょっと人には見せられないくらい……幸せそうな顔で気絶している王女をお姫様抱っこして、笑いながら先を進む王様の後を追いかけた。
「ドライ。なぜアンジェラ王女殿下をヒザの上に乗せているのだ?」
「なぜなんでしょうね……父さん、理由は王様に聞いてください」
俺たちが向かった先は学園長室に併設されてる貴賓室。王女はまだ意識が戻っておらず、ソファーに下ろそうとしたんだけど王様に止められた。
「ふむ。おおかたコイツの悪ふざけであろうが、婚約者と発表されてしまったのだ、問題はなかろう」
「ああ問題ない。と言うよりだ。アンジェラに婚約者がいない方が問題でな。今回の目的は親戚関係になるものたちの顔合わせが一番の目的ではあるんだが――」
にやけた悪戯王の顔から、威厳がある王様の顔に変わった。
「――教国から打診があったのだ。アンジェラの魔法の才能に目を付けたのか、復活が間近と言われる魔王の天敵、勇者の従者にしろとな」
「勇者の従者? 王女を従者にとは強気だな」
原作の流れが来てる。原作ではリズが聖騎士としてアンジェラ王女の近衛に抜擢されてすぐ、もう一人の聖女とアーシュがパーティーを組むんだよな。
その前にリズの身内による暗殺イベントがあるけど、今はイルミンスール家で一番大事にされているし、その心配も無くなったから、好感度アップイベントのフラグは折れて跡形もない。
「その通りだ。返事の期限が建国祭だったのでな。一国の王に向かって期限を設け、返事を強要するなど反発したくもなるだろう?」
「くくくっ。お前らしい悪戯だな。相手が欲しいと思っているものを他人にやる。学生時代にも何度かやっていたのを思い出したぞ」
「だろう。今日も来賓で枢機卿が勇者の入学式のために来ていたからちょうど良かったのだ。それと、だ。少し訳ありな元聖女のこともあってな。まあちょっとアンジェラを驚かせてやろうって気も多少はあったが、な」
あれは俺たちだけじゃなく枢機卿への王女は勇者の従者にはしないって意思表示兼、悪戯でもあったのか。
あれ? 元聖女? いや、それより聖女もこの学園に来てる? おかしい……聖女は平民で学園には通わないはずだ。
魔王討伐の旅に出るときに教会から派遣されて来てパーティーに加わる。それに実は孤児院時代のアーシュの幼馴染みでもあるんだよな。
その聖女が学園に来てるとなると……原作の流れが相当変わってきてる?
「ふあー。あれ? 俺なんで寝てるんだ?」
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