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第二章 原作開始
第66話 好き勝手させないための○○
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とんでもない魔法それは――おそらく複合魔法だ。
「その勇者が魔王を倒すと言われている五属性複合魔法を、孤児の一人に向けて使ったのだ」
やっぱりな……ん? 人に向けて使った? 大岩を跡形もなく吹き飛ばせるアレを?
「それをキャロラインが庇い助けて全身大火傷と裂傷を負ったが、幸い顔だけはとすぐに対応できたからか、院長の回復魔法でも治せたのだが、体の方は魔力が続かず、この有り様だ」
そうか、怪我の直後なら早ければ早いほど綺麗に治る。それは弱い回復魔法でも魔力さえ潤沢にあればだ。
だけど、その前に傷つけられた他の子たちを治療していて駄目だったんだろうな。
と言うことは今のキャロラインは怪我から数ヵ月たっている。なら普通の回復魔法では治せない、か。
「王よ、それは本当のことなのか……?」
「報告では五属性複合の爆裂魔法と勇者が言っていたそうだ」
その場にいた俺とキャロライン、王様以外が息を飲んだ。それほどの魔法なのだ。
ロールプレイングゲームの魔王によくあるバリア的な魔法耐性を突破できるのは複合魔法だけだからな。
俺は使えるけど、世間一般的には勇者しか使えない唯一無二の五属性複合魔法。
それにやっぱり爆裂魔法か。一番派手で見た目もカッコいいし。
原作中に出てくるのは爆裂魔法だけだから、他の使い方はまだ知らないかもしれない。
一応気を付けておくとして……そんなものを人に向けて撃つとか狂ってるよな。
でも爆裂魔法を受けてこの程度の怪我や火傷で済んだってことは、キャロラインの魔法に対する防御力は相当なものだと思う。
いや……もしかすると、さらに攻撃魔法を遮る結界、聖域が使えたのかも知れない。自身だけでなく、守ろうとした子が助かっているようだし。
「問題は複合魔法が使えてしまったがために無罪を主張した教会、教国には強く出れないのだ」
この世界の最強最悪の敵、魔王に唯一対抗できる人類最大の戦力だからわからなくはないが……。
それでも勇者のやったことは納得できるようなことではない。
「そこでだ、従者となったキャロラインには、アンジェラの従者をしつつ、ドライの冒険者パーティーとしてもらいたい」
キャロラインを俺たちのパーティーメンバーにするってことか……。
となると原作勇者パーティーになるはずだった全員が……。
「おおそうだ、ドライ、アンジェラも婚約者になったことだ、その従者のキャロラインもついでに婚約者としておくか?」
「ついでにってなんだよ! ポンポン婚約者を増やしてどうしろと!」
「ん? 怪我をしているから気に入らないのか?」
「そんなこと言ってないでしょ! キャロラインさんは怪我なんて関係なく綺麗だよ!」
あ……やってしまったかも知れない……。
ニヤリと笑う王様と対面のキャロラインは顔を真っ赤にしてうつ向いてしまっている。
それに何も言わずうつ向いているリズのことも心配だ。暴走しなきゃいいけど……。
「くくくっ、ドライなら多少嫁が増えたところで十分養っていけるだろう? そうだクリーク、イルミンスール。隣接している領地の境に国策で開拓を予定していた森があっただろ?」
「領有が半分ずつとなっていますが、明確な境界線は無いあの森ですか?」
「何を考えている王よ。魔の森ほどではないが、魔狼が跋扈するあの森をまさか……」
魔狼の森のことか、ダンジョンでのレベル上げに飽きてきたらたまに行ってたけど……くれるの?
というか俺に開拓させようってことか? あそこは湖もあるし森をある程度切り開けば作物を作るにはいいかもしれない。
「ドライとリズがよく魔狼の森に出没しているとの情報もある。ならば建国祭で発表予定だった叙爵ついでに任せても良いと思うのだが」
「少し待ってくれカサブランカ王よ。では中洲を任せる話は白紙に戻すと言うのか? ファラフェルに会いに行くのに少し遠くなるのだが」
今までほとんど口を出さなかったグリフィン王が口を開いたけど、そんな話は初耳だぞ……。
「お父様、そのような話はきいてませんわ。ドライが中洲の領主になる予定でしたの?」
「ああ、アンジェラ王女を婚約者にするならば、両国の境に領地を定めることが良いのではと思ってな。どちらにしてもグリフィンでもドライは叙爵する予定だったからな」
確かに中洲地帯は半分ずつカサブランカとグリフィンでわかれているから都合は良さそうだけどさ……。
「あの、俺、グリフィンでも貴族になるの?」
「くくくくっ。グリフィンだけではない。この大陸の国の何ヵ国かは名誉爵ではあるがドライの叙爵を打診してきているぞ」
「え? 本当に?」
「ああ本当だぞ。っと、話がそれたな。キャロラインの婚約者というのはあくまでも仮だ。どうせお前のことだ、治してしまうのだろ? そうなればどうなる? 五体満足になればまた聖女だと教会が取り戻しに来るとは思わないか?」
「……はぁ……。その通りだと思います」
「キャロラインほど魔力が膨大なものは珍しい。アンジェラも相当なものだが、桁違いだからな」
さすが原作ヒロインと言うべきか、凄まじい魔力を二人とも持っている。
「勇者が傷を負わせ、奴隷商に売り払い、教会が正式に破門したということを棚に上げ、絡んでくるのは目に見えている」
「でしょうね」
「だから婚約者にしておけ、熱病に始まり、数々の苦渋と労力に金を使わされたのだ。これ以上教会の好き勝手はさせたくはないし……仕返しはしたいだろう?」
それを聞いた父さんたちは悪者がしそうな歪んだ笑顔を作り笑い合っている。
駄目だな。これはもう止められる気がしない。
とりあえず握りしめた手に魔力を集め、王様を睨んでるリズの機嫌をなおさなきゃな……。
「その勇者が魔王を倒すと言われている五属性複合魔法を、孤児の一人に向けて使ったのだ」
やっぱりな……ん? 人に向けて使った? 大岩を跡形もなく吹き飛ばせるアレを?
「それをキャロラインが庇い助けて全身大火傷と裂傷を負ったが、幸い顔だけはとすぐに対応できたからか、院長の回復魔法でも治せたのだが、体の方は魔力が続かず、この有り様だ」
そうか、怪我の直後なら早ければ早いほど綺麗に治る。それは弱い回復魔法でも魔力さえ潤沢にあればだ。
だけど、その前に傷つけられた他の子たちを治療していて駄目だったんだろうな。
と言うことは今のキャロラインは怪我から数ヵ月たっている。なら普通の回復魔法では治せない、か。
「王よ、それは本当のことなのか……?」
「報告では五属性複合の爆裂魔法と勇者が言っていたそうだ」
その場にいた俺とキャロライン、王様以外が息を飲んだ。それほどの魔法なのだ。
ロールプレイングゲームの魔王によくあるバリア的な魔法耐性を突破できるのは複合魔法だけだからな。
俺は使えるけど、世間一般的には勇者しか使えない唯一無二の五属性複合魔法。
それにやっぱり爆裂魔法か。一番派手で見た目もカッコいいし。
原作中に出てくるのは爆裂魔法だけだから、他の使い方はまだ知らないかもしれない。
一応気を付けておくとして……そんなものを人に向けて撃つとか狂ってるよな。
でも爆裂魔法を受けてこの程度の怪我や火傷で済んだってことは、キャロラインの魔法に対する防御力は相当なものだと思う。
いや……もしかすると、さらに攻撃魔法を遮る結界、聖域が使えたのかも知れない。自身だけでなく、守ろうとした子が助かっているようだし。
「問題は複合魔法が使えてしまったがために無罪を主張した教会、教国には強く出れないのだ」
この世界の最強最悪の敵、魔王に唯一対抗できる人類最大の戦力だからわからなくはないが……。
それでも勇者のやったことは納得できるようなことではない。
「そこでだ、従者となったキャロラインには、アンジェラの従者をしつつ、ドライの冒険者パーティーとしてもらいたい」
キャロラインを俺たちのパーティーメンバーにするってことか……。
となると原作勇者パーティーになるはずだった全員が……。
「おおそうだ、ドライ、アンジェラも婚約者になったことだ、その従者のキャロラインもついでに婚約者としておくか?」
「ついでにってなんだよ! ポンポン婚約者を増やしてどうしろと!」
「ん? 怪我をしているから気に入らないのか?」
「そんなこと言ってないでしょ! キャロラインさんは怪我なんて関係なく綺麗だよ!」
あ……やってしまったかも知れない……。
ニヤリと笑う王様と対面のキャロラインは顔を真っ赤にしてうつ向いてしまっている。
それに何も言わずうつ向いているリズのことも心配だ。暴走しなきゃいいけど……。
「くくくっ、ドライなら多少嫁が増えたところで十分養っていけるだろう? そうだクリーク、イルミンスール。隣接している領地の境に国策で開拓を予定していた森があっただろ?」
「領有が半分ずつとなっていますが、明確な境界線は無いあの森ですか?」
「何を考えている王よ。魔の森ほどではないが、魔狼が跋扈するあの森をまさか……」
魔狼の森のことか、ダンジョンでのレベル上げに飽きてきたらたまに行ってたけど……くれるの?
というか俺に開拓させようってことか? あそこは湖もあるし森をある程度切り開けば作物を作るにはいいかもしれない。
「ドライとリズがよく魔狼の森に出没しているとの情報もある。ならば建国祭で発表予定だった叙爵ついでに任せても良いと思うのだが」
「少し待ってくれカサブランカ王よ。では中洲を任せる話は白紙に戻すと言うのか? ファラフェルに会いに行くのに少し遠くなるのだが」
今までほとんど口を出さなかったグリフィン王が口を開いたけど、そんな話は初耳だぞ……。
「お父様、そのような話はきいてませんわ。ドライが中洲の領主になる予定でしたの?」
「ああ、アンジェラ王女を婚約者にするならば、両国の境に領地を定めることが良いのではと思ってな。どちらにしてもグリフィンでもドライは叙爵する予定だったからな」
確かに中洲地帯は半分ずつカサブランカとグリフィンでわかれているから都合は良さそうだけどさ……。
「あの、俺、グリフィンでも貴族になるの?」
「くくくくっ。グリフィンだけではない。この大陸の国の何ヵ国かは名誉爵ではあるがドライの叙爵を打診してきているぞ」
「え? 本当に?」
「ああ本当だぞ。っと、話がそれたな。キャロラインの婚約者というのはあくまでも仮だ。どうせお前のことだ、治してしまうのだろ? そうなればどうなる? 五体満足になればまた聖女だと教会が取り戻しに来るとは思わないか?」
「……はぁ……。その通りだと思います」
「キャロラインほど魔力が膨大なものは珍しい。アンジェラも相当なものだが、桁違いだからな」
さすが原作ヒロインと言うべきか、凄まじい魔力を二人とも持っている。
「勇者が傷を負わせ、奴隷商に売り払い、教会が正式に破門したということを棚に上げ、絡んでくるのは目に見えている」
「でしょうね」
「だから婚約者にしておけ、熱病に始まり、数々の苦渋と労力に金を使わされたのだ。これ以上教会の好き勝手はさせたくはないし……仕返しはしたいだろう?」
それを聞いた父さんたちは悪者がしそうな歪んだ笑顔を作り笑い合っている。
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