【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪

鈴菜

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帝国の聖女

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本来、聖女とは架空の存在です。
少なくとも癒やしの力で人々を救い、国に繁栄をもたらせる聖女はおとぎ話の登場人物に過ぎません。
実際、祖国で呼ばれていた聖女の称号は教会が勝手に決めた称号に過ぎませんでした。

ですが、帝国の聖女は意味が違います。
卓越した癒やしの魔法を帝国のために使う者、と皇帝陛下が直々に任命し地位を認めた1つ役職です。
それもずっと昔から存在する役職で、過去に就任した聖女も確かに存在したみたい。

けれど、聖女の名は知られていません。
それは歴代の帝国の聖女全てがそうであり、私自身も一部の人を除いて名前を名乗ることを許されないため同様のことになっています。

聖女の正体が広く知られてしまうと、これを祭り上げ皇帝の権威を脅かすことを企む者が現れる。
あるいは帝国に敵対する国家および叛意を持った民が聖女の力もしくは命を狙う。
そういった可能性を考慮した危機管理の策と言われれば、確かにそうかもしれません。

それでも拭えない違和感があります。
まるで合理的な理由を並べて、絶対に知られてはいけないことを覆い隠そうとしているような。
そして、私がそれを知っているかのような。


抱いた違和感の正体を解決するためにも私が向かった場所が、帝国図書館の禁書保管エリア。
閲覧許可を得ることが出来なければ入ることすら叶わないこのエリアには、様々な資料があります。

禁忌魔法に関する書物。
帝国の正史を綴った書物。
過去に流行した疫病の報告書。

少し興味が惹かれるものもひとまず無視して、求めていた禁書があったであろう本棚を見つけました。
本棚には不自然に何冊かを抜いた形跡があります。
おそらくその抜かれた本こそが帝国の聖女に関する、私には見せられない禁書なのでしょう。

「ここまであからさまに隠すなんてね。もしかして、私への忠告のつもり?詮索もせず大人しく帝国の聖女を務めておけってこと?」

いけ好かないわ、私を利用しようなんて。
うわべは私を敬っているように見せて腹の内では便利な道具にしようと企むなんて、ふざげた話よね。

感情に任せて暴走でもしてあげようかしら、と考えてみたところで1冊の書物が目に止まります。

 『帝国の斬首刑受刑者一覧』

斬首刑…魔法人形が祖国で受けた刑罰も、そう言えば斬首刑だったわね。
あの時の光景を思い出しながら本を手に取ります。
その時、ズキッと頭が痛くなりました。

帝国、斬首刑、聖女…
それらの言葉が線で繋がりそうな感覚がします。
あと1つ、あと1つピースが在れば…

ここまで興奮するのはいつ以来かしら。
早る気持ちを抑えながらページを捲ります。

「ありました…7代目聖女の斬首刑。」

刑が執行されたのは今から50年ほど前。
執行理由は、膨大な魔力の制御不能状態に陥ったため特別危険人物認定を受けたからと書かれています。
そして、最後の行に聖女の名前がありました。

 7代目聖女、カトレアナと。

求めていたピースが埋まりました。
その名前は私にとって因縁深いものです。

だって、その名前は

「ええ、全て思い出しましたわ。」
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