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第三章・続々新事実が!?
15・非情な告白
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「もちろん君が、ルーシーを嫌っているのは知っている。だけど…彼女を少し誤解してないかい?決して悪い子じゃないんだ!ただ、誤解されやすい人だっていうか…」
朝っぱらからランドン家を混乱の渦に落としておいて、いざ来てみれば…そんなトチ狂ったことを言ってくる。
──どういうつもり?何故私が、あの子と友達にならなければならないの…おまけにそれを、自分の婚約者から言われるとは!
私はそれに敢えて何の反応もしなかったが、ただ怒っているということだけは伝わっているようだった。漆黒の瞳を揺らしながらキョロキョロしている。私が一点を見つめたまま動かずにいるので、マズいと思ったのだろう…かわりに何故か、執事のロメオを見つめている。だけどロメオがそんなことを同意する筈もなく、睨みながら激しく首を振っている。
ランドン家の使用人が、あなたの味方をする筈はないでしょう?まったく…
ルーシーのことを、決して悪い子じゃないと言うロブ。実は私もそれは…分かっている。私だってルーシーを、性根の腐った人(酷い?)だとは思っていない。ただ…お騒がせ体質というのか、思い込みが激しいのだろうと思う。そして元来の被害妄想ぎみの性格のせいで、人を巻き込んで騒動を起こしてしまうのだ。だけどそれが一番…たちが悪い!
そんなルーシーだけど、見た目も愛らしく、本来は言動も明るく可愛らしいのだと思う。そんなところにこのロブや皇太子殿下、そして攻略対象者達はどうしても惹かれてしまうのでしょうね。だけど被害妄想ぎみだって人は、心に傷がある人が多い。きっとその可愛い見た目のせいで、同性からは嫌がらせとかあったのではないかと思う。そういう人はどうしても二面性があり、周りに本気で叱ってくれる人がいないといけない!でなければ、いつまでも自分のお騒がせ体質に気付けず、どんどん悪い方へと導いてしまう…それがまさに今の状態。
──それなのにこの人は…全く情けないわ!
「あのね、ロブ…もうロブでいいわよね?私のこともアリシアでいいから!あなた、そんな勝手なことを言っているけど、ルーシーはどう思っているのよ?そんなことを望んでいると思うの?」
そんな私の問いにロブは、顔を引き攣らせ、そして俯いて考え始めている…
「私は望んでないように思うわよ。それに一つ聞かせてちょうだい?ロブと皇太子殿下、それに…名前は知らないけど、背の高い令息で…」
「あれはルーシーの幼馴染の、ニクソンだ。子爵家の令息だよ」
一人だけ今も名前も知らない令息がいる。最初会った時からかなり目立った人だったけど、ルーシーと同じくCクラスだし、接点がなかった…これでスッキリ!
「そのニクソン、それとアンドリューよね。あなたたち、何かっていうとルーシーを庇うけど、それが彼女の為になるって思ってる?おまけにその迷惑を受けている相手は、公女様で皇太子妃に内定しているキャロラインなのよ?普通は庇うんじゃなくて、諌めるのが筋じゃないの!」
私の余りの剣幕に、動揺するロブ。だけどそれに思い当たる節があるのか、次の瞬間には苦い顔をしている。ロブはきっと、それに前から気が付いていたように思う。何故そう思うのかというと、行動を共にしているだけで、直接キャロラインを攻撃するところは一切見ていないからだ。だからもしや?と思っていたのだけど…
「そもそもいつから?私は中等部の頃は知らない。前にキャロラインが、以前はお昼を皇太子殿下の専用サロンで食べていたと言ってたわ。だから最初から仲が悪かった訳じゃないってことよね?その関係が変わったキッカケがある筈よ!違う?」
それにロブは、ちょっと眉間にシワを寄せ真剣な表情をした。そして思い当たることがありそうで…
「実は中等部の一年の時、合宿が行われたんだ。その時初めてルーシーと出会って、俺達は偶然同じ班になった。山で一泊するんだけど、俺達の力だけで夕食を作らなければならない。だけど…そんなことなんか、誰もやったことがないだろ?だから誰もが戸惑い混乱した。そのうちスティーブ殿下が火をつけようとしたんだけど…暴発して!それでルーシーは怪我をしてしまって…」
なんか情報が一遍に!殿下の名前がスティーブというのも初めて知ったけど、おまけに合宿が…?家から離れて、自分達だけで力を合わせて目標を達成させるのが目的なんだろうか。そして殿下のせいでルーシーが怪我を!?では、それに責任を感じて…ってコト?
「スティーブ殿下だけじゃなく、俺達皆んなが責任を感じていたんだ。ルーシーは怪我が元で一年も学園を休学することになって…やっと戻って来たのは、二年生の途中だ。合宿中の怪我ということで留年は免れて、また同じクラスになれた。それからはどうしても、ルーシーを庇うかたちに…」
──はあああ…そうかぁ。なるほど…そしてそれは、キャロラインも知ってるということ。最初は責任を感じる殿下の気持ちも分かるから、黙認していたんだろう。それがエスカレートして、そのうちルーシーの標的が自分に向いたけど、もうその時点では何も言えなくなってしまったんだろうな。だけど待てよ…ゲームにそんな設定あった?
本来のゲームの始まりは、高等部に入学してから…。入学式の時の鐘の音でオープニングが始まり、攻略がスタートする。だけどそんな筈が…この世界は、攻略対象者とヒロインの関係は既に中等部から始まっている。となると、どうなってるんだろうか?それに唯一人、高等部から登場したのが化学の教師ジョセフ・ランバートということになるし…
そもそも私っていう存在がイレギュラーなのかも…だから内容が変わってしまったの?
あまり詳しい設定までは覚えてないけど、どのルートを辿ってもキャロラインが断罪されるのは間違いなかった。だけど既にこれだけ変わっている…それは、どう解釈するべきなんだろう?そもそもそのラストも、違うものになるのでは?
そんなことを考えていた私は、次のロブの言葉で奈落に叩き落されることになる…
「最初は罪の意識だけでルーシーに接していた俺達も、今ではお互いを信頼し、大切な存在になっている。婚約者の君にこんなことを言って大変すまないと思うが、俺はルーシーに恋してるんだと思う…守ってやりたいんだ!」
突然そう言われ、流石の私も動揺する…心が折れそうだ。守ってやりたいとは?それなら私が病気で苦しんでいた時、同じく守ってやりたいとは思わなかったんだろうか?自分の婚約者なのに…
そしてこの人は、自分が恋した相手でなければ、ここまで非情になれる人なんだと分かった。だってすまない…と言いながら、私の立場をこれっぽっちも考えていない!
そしてそれは、いつもは微動だにせず半日でも側で控えている執事のロメオも、その瞬間カタリ…と音をたててしまう。ロメオは元騎士だ…腕の怪我が元で退団し、それを父が声を掛けて我が家の使用人になった。だから物越しは柔らかくとも、志しは熱く義理堅い。だからそんな人をも、動揺させているということ。そして私は、その姿を見て踏ん切りがついた。
「分かりました…ロブの気持ちは。私から婚約解消のこと、お父様に話しておきますね。だからそちらのご家族のことは、ロブにお願いします。各自家族に対して、話を付けることにしましょう。だけど理由は正直に話させていただきます!じゃないと納得しないと思うので。それから思うのですが…約四年ぶりに再び話す内容が、婚約解消だなんて…因果なものですわね?」
私はどこかスッキリとしていた…胸のつかえが降りたように。私の身体が回復してからずっと、心の隅にあった蟠り…苦しむ私をあれから一度も訪ねてくれなかったロブ。それに物悲しさと苦しさを感じていた。そしてこの世界が乙女ゲームの中なんだと分かって、攻略対象であるのがロブだと思い出し納得したけど、その蟠りは消えて無くなることはなかった…
そしてロブを見ると、告白を終えてホッとしているだろうと思っていたが、まだ俯いて難しい顔をしている。ロブのお父様って厳しい方なのかしら?婚約解消なんてしたら、酷く叱責されるのかしらと思っていると…
「重ね重ねすまない!君にはもう一つ、告白することがある…実は俺達、こうやって二人で話すのは…初めてなんだ!」
それには目が点になった…ポカンとして、ロブを見つめる。それから物凄く混乱する…
──私とロブが話すのは、今日が初めて…ですって?そんな馬鹿な!
そして私は、四年前を思い出す…私の手を握って「早く良くなって」と言った赤い髪の少年を。それじゃあ、あれは誰だっていうの!?
朝っぱらからランドン家を混乱の渦に落としておいて、いざ来てみれば…そんなトチ狂ったことを言ってくる。
──どういうつもり?何故私が、あの子と友達にならなければならないの…おまけにそれを、自分の婚約者から言われるとは!
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そんなルーシーだけど、見た目も愛らしく、本来は言動も明るく可愛らしいのだと思う。そんなところにこのロブや皇太子殿下、そして攻略対象者達はどうしても惹かれてしまうのでしょうね。だけど被害妄想ぎみだって人は、心に傷がある人が多い。きっとその可愛い見た目のせいで、同性からは嫌がらせとかあったのではないかと思う。そういう人はどうしても二面性があり、周りに本気で叱ってくれる人がいないといけない!でなければ、いつまでも自分のお騒がせ体質に気付けず、どんどん悪い方へと導いてしまう…それがまさに今の状態。
──それなのにこの人は…全く情けないわ!
「あのね、ロブ…もうロブでいいわよね?私のこともアリシアでいいから!あなた、そんな勝手なことを言っているけど、ルーシーはどう思っているのよ?そんなことを望んでいると思うの?」
そんな私の問いにロブは、顔を引き攣らせ、そして俯いて考え始めている…
「私は望んでないように思うわよ。それに一つ聞かせてちょうだい?ロブと皇太子殿下、それに…名前は知らないけど、背の高い令息で…」
「あれはルーシーの幼馴染の、ニクソンだ。子爵家の令息だよ」
一人だけ今も名前も知らない令息がいる。最初会った時からかなり目立った人だったけど、ルーシーと同じくCクラスだし、接点がなかった…これでスッキリ!
「そのニクソン、それとアンドリューよね。あなたたち、何かっていうとルーシーを庇うけど、それが彼女の為になるって思ってる?おまけにその迷惑を受けている相手は、公女様で皇太子妃に内定しているキャロラインなのよ?普通は庇うんじゃなくて、諌めるのが筋じゃないの!」
私の余りの剣幕に、動揺するロブ。だけどそれに思い当たる節があるのか、次の瞬間には苦い顔をしている。ロブはきっと、それに前から気が付いていたように思う。何故そう思うのかというと、行動を共にしているだけで、直接キャロラインを攻撃するところは一切見ていないからだ。だからもしや?と思っていたのだけど…
「そもそもいつから?私は中等部の頃は知らない。前にキャロラインが、以前はお昼を皇太子殿下の専用サロンで食べていたと言ってたわ。だから最初から仲が悪かった訳じゃないってことよね?その関係が変わったキッカケがある筈よ!違う?」
それにロブは、ちょっと眉間にシワを寄せ真剣な表情をした。そして思い当たることがありそうで…
「実は中等部の一年の時、合宿が行われたんだ。その時初めてルーシーと出会って、俺達は偶然同じ班になった。山で一泊するんだけど、俺達の力だけで夕食を作らなければならない。だけど…そんなことなんか、誰もやったことがないだろ?だから誰もが戸惑い混乱した。そのうちスティーブ殿下が火をつけようとしたんだけど…暴発して!それでルーシーは怪我をしてしまって…」
なんか情報が一遍に!殿下の名前がスティーブというのも初めて知ったけど、おまけに合宿が…?家から離れて、自分達だけで力を合わせて目標を達成させるのが目的なんだろうか。そして殿下のせいでルーシーが怪我を!?では、それに責任を感じて…ってコト?
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──はあああ…そうかぁ。なるほど…そしてそれは、キャロラインも知ってるということ。最初は責任を感じる殿下の気持ちも分かるから、黙認していたんだろう。それがエスカレートして、そのうちルーシーの標的が自分に向いたけど、もうその時点では何も言えなくなってしまったんだろうな。だけど待てよ…ゲームにそんな設定あった?
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あまり詳しい設定までは覚えてないけど、どのルートを辿ってもキャロラインが断罪されるのは間違いなかった。だけど既にこれだけ変わっている…それは、どう解釈するべきなんだろう?そもそもそのラストも、違うものになるのでは?
そんなことを考えていた私は、次のロブの言葉で奈落に叩き落されることになる…
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突然そう言われ、流石の私も動揺する…心が折れそうだ。守ってやりたいとは?それなら私が病気で苦しんでいた時、同じく守ってやりたいとは思わなかったんだろうか?自分の婚約者なのに…
そしてこの人は、自分が恋した相手でなければ、ここまで非情になれる人なんだと分かった。だってすまない…と言いながら、私の立場をこれっぽっちも考えていない!
そしてそれは、いつもは微動だにせず半日でも側で控えている執事のロメオも、その瞬間カタリ…と音をたててしまう。ロメオは元騎士だ…腕の怪我が元で退団し、それを父が声を掛けて我が家の使用人になった。だから物越しは柔らかくとも、志しは熱く義理堅い。だからそんな人をも、動揺させているということ。そして私は、その姿を見て踏ん切りがついた。
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そしてロブを見ると、告白を終えてホッとしているだろうと思っていたが、まだ俯いて難しい顔をしている。ロブのお父様って厳しい方なのかしら?婚約解消なんてしたら、酷く叱責されるのかしらと思っていると…
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それには目が点になった…ポカンとして、ロブを見つめる。それから物凄く混乱する…
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エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
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