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第七章・新たな局面
47・意外な再会
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「ふぁ~っ、良く寝た!」
昨日夜になってやっと到着できた領地ルブラン。帝都にあるランドン邸よりかなり不便な屋敷だが、それでもやっぱり慣れ親しんだ家は居心地がいい!この狭さが、またいいんだよねぇ…
そう思って、久しぶりの部屋を見回す。昨夜はもうフラフラで、何とかお風呂だけは入れたけどその後は泥のように眠った。熟睡し過ぎて夢さえも見なかったわね?
それから窓を開けて、外の空気を胸一杯に吸い込んだ!さ、寒ぅ~
ランドン家の領地ルブランは、冬でも余り雪は降らない。比較的温暖な土地…という以外は特に良いところもない。双子ちゃんとこの家門の大農業地帯には、遠く足元にも及ばないが、細々と農業や産業、そして山で採れる鉱物取引で領民は生活している。それほど貧乏でもないけど、裕福とは言えない…くらいのところかな?まあ、あんまり大きくなると管理が大変だろうし…これくらいで丁度いいと思っている。
──バン!
「お嬢様、おはようございます!いい朝ですね?」
例の如くロッテは、ノックなしで部屋へと入ってくる。お決まりだから別に驚きもしないわ。だけど元気そうね?三日も馬車で移動したのに…体力無尽蔵!
「おはようロッテ。あなた全然疲れてなさそうね?今日はゆっくり寝てていいって言ったんだけど?」
「もう習慣になってますから!どんなに疲れてても、起きる時間は一緒ですね~」
──よっ、メイドの鑑~素晴らしいよ!
ホントに言うと調子に乗るから、心の中だけで言っておく!
「ロメオも起きてる?道中相当に気を張っていたから、それこそ疲れてると思うけど。それにルブランに来るのも初めてだからね~」
ロメオは帝都で長年騎士をしていた。それが腕の怪我が元で騎士団にいられなくなり、ランドン伯爵家の執事になったのが六年前。人生ずっと帝都住みだったロメオは、ここの領地に来るのは初めて。だから良い機会だから案内してあげないと…と思っているんだけど。だけど今日じゃいくら何でも早いわよね?
「ロメオさんも起きてます!食事をサッと済ませて、トーマスさんと食後の散歩に行くって言ってました」
えっ…じいやと!?これはマズい!
トーマスじいやは、元は帝都にある屋敷の執事をしていた。ロメオの前任者だし話が合うだろうとは思ってたけど…仲良くなるの早くない?それにやっぱり、ゆっくり寝てなんていられないみたいね?ロッテもロメオも職業病…まあ、元気ならいいんだけどね。だけど…
「じいやと一緒に行ったなら、今日街を案内するのは難しそう…」
そう言って窓から裏山を見つめる。じいやはずっと山歩きを趣味にしている。私も小さな頃はよく山へ行って、友達と一緒に野山を駆け巡っていたわ!じいやから「お嬢様は野猿ですな?」なんて言われて…懐かしいわ!だからきっとロメオも山に連れていかれたと思うんだけど…脚ガクガクで帰って来るわね?そうなると明日も案内は無理かも知れない…
「絶対明日は歩けなくなると思いますよね?ふふっ」
ロッテか悪魔の様な笑いを浮かべてるけど…わかってるなら止めてあげてー!だけどうん?この前のこともあるし…もしかして二人は、仲が悪いのかしら?それは気になるところだわね…
それから約二時間後、じいやとロメオは帰ってくる。あれ…やっぱり?
じいやはいつものようにピンピンしていて「お嬢様、おはようございます!」と元気に挨拶している。対するロメオは…ガクガクどころでは無かった!木の枝で作った杖を付いてヨロヨロし、まるでお爺ちゃんのよう。ちょっと思った以上に運動不足じゃない?それで完全に三日ほどの安静に…
「ロッテ…家に帰ってもいいわよ。家族に会いたいでしょう?まだ三日は街へ行けないし、その間だけでも家に帰ったらどうかしら?そして三日後に街で待ち合わせして、一緒にここへ帰ったらいいと思うけど。どう?」
ロッテはずっとこのランドン家で住み込みで働いているが、ルブランの街には家族が住む家がある。五人きょうだいの一番上のロッテは、早々に家を出たけど…たまには帰らせてあげたい!
「そうですね…お許しいただけるなら、そうしてもいいでしょうか?直ぐ下の弟が最近商店で働いているそうなんで、大丈夫なのか様子を見てきます!」
それに笑顔で頷いて、こういう時に渡そうと思っていた封筒を手渡す。それにロッテは驚いて…
「こ、これは?」
「このお金で家族に何かお土産を!美味しいものでも…ね?」
そう言って躊躇するロッテの手に握らせる。そして申し訳なさそうな顔をするロッテに「早く、早く!」と笑顔で送り出した。それから三日後、やっとロメオと街へ向けて出発~!
「ロッテとの待ち合わせまで少し時間があるから、傍系の子爵家の者達を紹介するわね!」
親戚筋のブラウン子爵家には、忙しくて滅多に来れないお父様に代わってこの領地の管理を任せている。今は嫡男のサイモン・ブラウンが取り仕切っている筈だけど…
街を歩くと、一番賑やかな商店が立ち並ぶところの一画に『ブラウン商会』という看板がある大きな店が見えた。「ここよ!」とその店に入ると…
「アリシアお嬢様!お久しぶりですね?お元気そうで何よりです」
一目私を見るなり、大きな声を掛けてくるサイモン。私よりも四つほど年上の、灰色の髪に大きなモスグリーンの瞳の人懐っこい男性だ。
「サイモン、こちらこそ。それにしても前よりお店が大きくなってない?商売繁盛してそうね!」
それにサイモンは照れたように頭を掻きながら、「へへへっ」と笑う。それからロメオを紹介して、そして話題は商売のことになる。すると…
「そうだ…お嬢様、今日ちょうど弟が帰って来たんです。暇なら手伝え!って帰らせたんですけど…呼んで来ますね?」
サイモンに弟?会ったことないわね…それなら会ってみたいかも。そしてサイモンは、店の奥へと入って行く。それから暫くして笑顔のサイモンが戻り、その後ろから頭一個分ほど大きいガッチリとした体格の大男が…
「この人が弟?」
そう思って顔を見た瞬間…驚きで固まってしまう!あ、あなた…嘘でしょう?
昨日夜になってやっと到着できた領地ルブラン。帝都にあるランドン邸よりかなり不便な屋敷だが、それでもやっぱり慣れ親しんだ家は居心地がいい!この狭さが、またいいんだよねぇ…
そう思って、久しぶりの部屋を見回す。昨夜はもうフラフラで、何とかお風呂だけは入れたけどその後は泥のように眠った。熟睡し過ぎて夢さえも見なかったわね?
それから窓を開けて、外の空気を胸一杯に吸い込んだ!さ、寒ぅ~
ランドン家の領地ルブランは、冬でも余り雪は降らない。比較的温暖な土地…という以外は特に良いところもない。双子ちゃんとこの家門の大農業地帯には、遠く足元にも及ばないが、細々と農業や産業、そして山で採れる鉱物取引で領民は生活している。それほど貧乏でもないけど、裕福とは言えない…くらいのところかな?まあ、あんまり大きくなると管理が大変だろうし…これくらいで丁度いいと思っている。
──バン!
「お嬢様、おはようございます!いい朝ですね?」
例の如くロッテは、ノックなしで部屋へと入ってくる。お決まりだから別に驚きもしないわ。だけど元気そうね?三日も馬車で移動したのに…体力無尽蔵!
「おはようロッテ。あなた全然疲れてなさそうね?今日はゆっくり寝てていいって言ったんだけど?」
「もう習慣になってますから!どんなに疲れてても、起きる時間は一緒ですね~」
──よっ、メイドの鑑~素晴らしいよ!
ホントに言うと調子に乗るから、心の中だけで言っておく!
「ロメオも起きてる?道中相当に気を張っていたから、それこそ疲れてると思うけど。それにルブランに来るのも初めてだからね~」
ロメオは帝都で長年騎士をしていた。それが腕の怪我が元で騎士団にいられなくなり、ランドン伯爵家の執事になったのが六年前。人生ずっと帝都住みだったロメオは、ここの領地に来るのは初めて。だから良い機会だから案内してあげないと…と思っているんだけど。だけど今日じゃいくら何でも早いわよね?
「ロメオさんも起きてます!食事をサッと済ませて、トーマスさんと食後の散歩に行くって言ってました」
えっ…じいやと!?これはマズい!
トーマスじいやは、元は帝都にある屋敷の執事をしていた。ロメオの前任者だし話が合うだろうとは思ってたけど…仲良くなるの早くない?それにやっぱり、ゆっくり寝てなんていられないみたいね?ロッテもロメオも職業病…まあ、元気ならいいんだけどね。だけど…
「じいやと一緒に行ったなら、今日街を案内するのは難しそう…」
そう言って窓から裏山を見つめる。じいやはずっと山歩きを趣味にしている。私も小さな頃はよく山へ行って、友達と一緒に野山を駆け巡っていたわ!じいやから「お嬢様は野猿ですな?」なんて言われて…懐かしいわ!だからきっとロメオも山に連れていかれたと思うんだけど…脚ガクガクで帰って来るわね?そうなると明日も案内は無理かも知れない…
「絶対明日は歩けなくなると思いますよね?ふふっ」
ロッテか悪魔の様な笑いを浮かべてるけど…わかってるなら止めてあげてー!だけどうん?この前のこともあるし…もしかして二人は、仲が悪いのかしら?それは気になるところだわね…
それから約二時間後、じいやとロメオは帰ってくる。あれ…やっぱり?
じいやはいつものようにピンピンしていて「お嬢様、おはようございます!」と元気に挨拶している。対するロメオは…ガクガクどころでは無かった!木の枝で作った杖を付いてヨロヨロし、まるでお爺ちゃんのよう。ちょっと思った以上に運動不足じゃない?それで完全に三日ほどの安静に…
「ロッテ…家に帰ってもいいわよ。家族に会いたいでしょう?まだ三日は街へ行けないし、その間だけでも家に帰ったらどうかしら?そして三日後に街で待ち合わせして、一緒にここへ帰ったらいいと思うけど。どう?」
ロッテはずっとこのランドン家で住み込みで働いているが、ルブランの街には家族が住む家がある。五人きょうだいの一番上のロッテは、早々に家を出たけど…たまには帰らせてあげたい!
「そうですね…お許しいただけるなら、そうしてもいいでしょうか?直ぐ下の弟が最近商店で働いているそうなんで、大丈夫なのか様子を見てきます!」
それに笑顔で頷いて、こういう時に渡そうと思っていた封筒を手渡す。それにロッテは驚いて…
「こ、これは?」
「このお金で家族に何かお土産を!美味しいものでも…ね?」
そう言って躊躇するロッテの手に握らせる。そして申し訳なさそうな顔をするロッテに「早く、早く!」と笑顔で送り出した。それから三日後、やっとロメオと街へ向けて出発~!
「ロッテとの待ち合わせまで少し時間があるから、傍系の子爵家の者達を紹介するわね!」
親戚筋のブラウン子爵家には、忙しくて滅多に来れないお父様に代わってこの領地の管理を任せている。今は嫡男のサイモン・ブラウンが取り仕切っている筈だけど…
街を歩くと、一番賑やかな商店が立ち並ぶところの一画に『ブラウン商会』という看板がある大きな店が見えた。「ここよ!」とその店に入ると…
「アリシアお嬢様!お久しぶりですね?お元気そうで何よりです」
一目私を見るなり、大きな声を掛けてくるサイモン。私よりも四つほど年上の、灰色の髪に大きなモスグリーンの瞳の人懐っこい男性だ。
「サイモン、こちらこそ。それにしても前よりお店が大きくなってない?商売繁盛してそうね!」
それにサイモンは照れたように頭を掻きながら、「へへへっ」と笑う。それからロメオを紹介して、そして話題は商売のことになる。すると…
「そうだ…お嬢様、今日ちょうど弟が帰って来たんです。暇なら手伝え!って帰らせたんですけど…呼んで来ますね?」
サイモンに弟?会ったことないわね…それなら会ってみたいかも。そしてサイモンは、店の奥へと入って行く。それから暫くして笑顔のサイモンが戻り、その後ろから頭一個分ほど大きいガッチリとした体格の大男が…
「この人が弟?」
そう思って顔を見た瞬間…驚きで固まってしまう!あ、あなた…嘘でしょう?
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200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
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