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第八章・恋の予感?
53・お誘い
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一目で分かる光属性…波打つプラチナブロンドの髪が歩くたびにふわりと揺れ、見たこともないくらい鮮やかな菫色の瞳。それに華美過ぎてなければ、割合自由な服装のこの学園において、豪華な刺繍が施された詰襟の上衣が、飛び抜けて目立っている。それはファンタジー界の主人公が、迷い込んで来た?と聞きたくなるような美麗さで…
──ホ、ホントに誰よ?それにどうして私を見ているの?全く知らない人だけど…
その人が、とうとう私の目の前までやって来る。もう私達はその人のみを見ていて、目を離せなくなっている。それからその人はほんの少し頬を綻ばせて、口から薔薇でも出るんじゃ…と思わせるような形の良い唇を開いた。
「レディー、君がアリシアかな?」
──レ、レディーだと?そんな気障な声掛け方法ってある!?おまけに何だか知らないけど、私の名前を知ってるー!
そして私は、隣に座っているブリジットとクリスティーヌの顔をバッと見る。全員口を閉じはいるが、私達は以心伝心なのよ!とばかりに目だけで会話を繰り広げる。
『この人誰?知らない?』
『知らないわよ!だけど何だか違う世界の人みたいね?』
『どうでもいいから、返事してみなさいよー!』
目をしばしばさせて無言で会話をしていると、そこで意外な人物が口を開いた。
「ルシード殿下、いらしていたのですね?そうです…こちらのご令嬢が、アリシア様ですわ!」
その瞬間、声の主であるキャロラインの方へ私達の視線は釘付け!えっ…キャロラインの知ってる人?
「アハハハっ、殿下…いきなりでは、アリシアが驚いてしまいますよ。私から紹介しますね!」
いきなり聞こえる豪快な笑いにギョッとする。この声は…お兄様?
「お、お兄様?一体どうなって…」
その人の余りに強力な後光で気が付かなかったが、後ろからお兄様も来ていたようで…そして美し過ぎる二人が並び立っている姿は、まさにファンタジー!これからタッグを組んで、魔王を倒しに?と聞いてしまいそう。もしもし、ここは乙女ゲームの世界ですのよ?
それからキャロラインがスクっと立ち上がり、その人に礼をとってからお兄様の隣へと移動する。その行動にどうした?と呆気に取られる私達が…
「アリシア、それにブリジットとクリスティーヌ。こちらは交換留学で来られた隣国エルバリン国の第一王子、ルシード・グリヌート殿下だ」
それには三人でスッと立ち上がり「お初にお目にかかります」と、カーテシーをとって頭を下げる。ここは学園だが、初めてお会いする隣国の王子様に敬意を込めて…。そして私は思う…これは何だか見えて来たぞ?
交換留学…それにまず注目する。そしてこんな時期に…これはスティーブ殿下と絶対関係があるわね?
急に決まったスティーブ殿下の留学。それに意味を持たせる為に帝国がとった苦肉の策…それがきっと、交換留学だということ。じゃあ、帝国からのお願いを無下にも扱えず、その交換相手としてやって来たのがこちらのルシード殿下なのだろう。それって…めっちゃお気の毒!
その内情を知っているブリジットもクリスティーヌも感じたらしく、途端に可哀想な人を見るような目で見ている。
それはそうだよね?あのスティーブ様のせいで突然留学なんて、可哀想過ぎるっ。そんな私達の微妙な空気を感じ取ったルシード殿下は、意外にも明るく…
「アハハ!分かっちゃった?私もいきなりで戸惑ったよね…。でもまあ、これを機会に帝都学園の生徒達と親睦を深めればいいかな?って」
取り澄ました様子もなく、ざっくばらんにそう告白する殿下。この人、この見た目では考えられないくらい自然体だわね…嫌いじゃないわよ?
「それでどうしてお兄様がご一緒に?それにキャロラインは、もう既にお会いしていたようね。それに…何故私の名前をご存知なのかしら?」
そうお兄様に尋ねてみる。恐らくはお兄様が生徒会長だからだと思うけど、それだけで私の名前まで知っている理由にはならない。おまけに顔まで知ってたの?そんな気がして…
「まず何故私と殿下が共にいるのかだが…私がこの留学の調整をさせていただいていたからだ。ようは、殿下に留学の意思がお有りになるのかの確認や、決まってからも日程や皇居内で滞在される部屋の準備まで、一手に任されていたんだ。こちらに来られるまではもちろん手紙でだが、もう既に友人のように接していただいて…」
そうか…お兄様が最初に、スティーブ殿下の留学の件をお祖父様に話したって言っていた。それで決まったんだけど…ワザとよね?一日も早く殿下に去って行って貰いたかったお兄様。だから面倒なこと一切を引き受けて、早急にことを運んだんだわ!まるでそれは追い込み漁…漁師か!?っての!怖いわぁ~
だけど待って、それは分かったけど私のことは?そう思って再び見つめると…
「キャロラインとは、殿下をルーベルト邸にご招待した時に既に会ったんだ。それと…アリシア、突然だけど生徒会に入らないか?殿下には学園に早く慣れる為にも、入っていただくことにしたんだが、私の従兄妹である君に一緒に入ってくれると安心なんだが…だからその件で特徴をお話したんだよ」
──な、何を勝手に…それに生徒会ですって?絶対に入らないって決めてたんだけど…ヤダ~
「だけどお兄様…生徒会って、忙し過ぎるじゃない?だから入学してからも私達、何ヶ月も会えなかったのよ?そんなに忙しいのは、嫌かも~」
そう言う私に眉をへの字に寄せて、困った顔をするお兄様。そんな顔されてもねぇ、嫌なものは嫌だし…
「絶対にダメか?なにも会長、副会長になれって言ってる訳じゃない。ただの生徒会の一員…ってだけだ。だからそんなに忙しくは…アリシアにお願い出来ると嬉しいんだがなぁ」
ううっ…私にまで追い込み漁!追い込み漁の達人~
「でもアリシア、いいんじゃない?どうせ絶対入れって言われるわよ、あなたは!」
クリスティーヌ、他人事だと思ってぇ~
「そうそう!遅かれ早かれ入ることになると思うわよね?」
嘘…そんなことってある?ブリジット!
「アリシアがそうしてくれると助かるなぁ…ダメ?」
キャロライン、そんな可愛い言い方を!だけどお兄様と二人して追い込んで来るわね?
それにフハァーッと大げさに溜め息を吐き、それから目を瞑る。そして観念したように再びパチッと目を開く。
「分かったわ!そのお役目承るわ。そう言われるとやらなきゃ収まらないだろうし…」
それにお兄様は嬉しそうな顔をして「済まないなぁ~」と言っている。確かに私も、いずれ入ることになるかも?とは思っていた。だけど予想より一年早い…
「ありがとうアリシア。どうぞよろしく!私のことはルシードと呼んでくれて構わないよ?」
そう言ってルシード殿下は、再び笑顔を見せる。眩しっ、歯まで光ってなかったぁ?
「ところでアリシア…お前、卒業パーティーのパートナーが決まってないって言ってただろ?それならルシード殿下になっていただいたらどうだろう?」
「ええっ!それは殿下がお困りになると思うけど?」
お兄様からのそんな提案に、それはいくらなんでも~と躊躇する。すると…
「いいや、アリシア…もし良かったら、私とパートナーになっていただけませんか?」
そうルシード殿下は言うと、徐ろに私の手を取る。あれ…?そう思って呆気に取られていると、手の甲にキスを落とす殿下が…
「キャーーッ!」
これは私の悲鳴ではない。これまでの成り行きを見守っていた、カフェテリアにいる人達が一斉にそう叫んだ!気持ちは分かるけど…本人より驚くのヤメて~
自分の手にキスをする、この世の者とも思えないような完璧な人を見ながら、ドギマギしていると…いきなりこの場に高い声が響く。
「ちょっと待ったー!」
──今度は誰よ?
──ホ、ホントに誰よ?それにどうして私を見ているの?全く知らない人だけど…
その人が、とうとう私の目の前までやって来る。もう私達はその人のみを見ていて、目を離せなくなっている。それからその人はほんの少し頬を綻ばせて、口から薔薇でも出るんじゃ…と思わせるような形の良い唇を開いた。
「レディー、君がアリシアかな?」
──レ、レディーだと?そんな気障な声掛け方法ってある!?おまけに何だか知らないけど、私の名前を知ってるー!
そして私は、隣に座っているブリジットとクリスティーヌの顔をバッと見る。全員口を閉じはいるが、私達は以心伝心なのよ!とばかりに目だけで会話を繰り広げる。
『この人誰?知らない?』
『知らないわよ!だけど何だか違う世界の人みたいね?』
『どうでもいいから、返事してみなさいよー!』
目をしばしばさせて無言で会話をしていると、そこで意外な人物が口を開いた。
「ルシード殿下、いらしていたのですね?そうです…こちらのご令嬢が、アリシア様ですわ!」
その瞬間、声の主であるキャロラインの方へ私達の視線は釘付け!えっ…キャロラインの知ってる人?
「アハハハっ、殿下…いきなりでは、アリシアが驚いてしまいますよ。私から紹介しますね!」
いきなり聞こえる豪快な笑いにギョッとする。この声は…お兄様?
「お、お兄様?一体どうなって…」
その人の余りに強力な後光で気が付かなかったが、後ろからお兄様も来ていたようで…そして美し過ぎる二人が並び立っている姿は、まさにファンタジー!これからタッグを組んで、魔王を倒しに?と聞いてしまいそう。もしもし、ここは乙女ゲームの世界ですのよ?
それからキャロラインがスクっと立ち上がり、その人に礼をとってからお兄様の隣へと移動する。その行動にどうした?と呆気に取られる私達が…
「アリシア、それにブリジットとクリスティーヌ。こちらは交換留学で来られた隣国エルバリン国の第一王子、ルシード・グリヌート殿下だ」
それには三人でスッと立ち上がり「お初にお目にかかります」と、カーテシーをとって頭を下げる。ここは学園だが、初めてお会いする隣国の王子様に敬意を込めて…。そして私は思う…これは何だか見えて来たぞ?
交換留学…それにまず注目する。そしてこんな時期に…これはスティーブ殿下と絶対関係があるわね?
急に決まったスティーブ殿下の留学。それに意味を持たせる為に帝国がとった苦肉の策…それがきっと、交換留学だということ。じゃあ、帝国からのお願いを無下にも扱えず、その交換相手としてやって来たのがこちらのルシード殿下なのだろう。それって…めっちゃお気の毒!
その内情を知っているブリジットもクリスティーヌも感じたらしく、途端に可哀想な人を見るような目で見ている。
それはそうだよね?あのスティーブ様のせいで突然留学なんて、可哀想過ぎるっ。そんな私達の微妙な空気を感じ取ったルシード殿下は、意外にも明るく…
「アハハ!分かっちゃった?私もいきなりで戸惑ったよね…。でもまあ、これを機会に帝都学園の生徒達と親睦を深めればいいかな?って」
取り澄ました様子もなく、ざっくばらんにそう告白する殿下。この人、この見た目では考えられないくらい自然体だわね…嫌いじゃないわよ?
「それでどうしてお兄様がご一緒に?それにキャロラインは、もう既にお会いしていたようね。それに…何故私の名前をご存知なのかしら?」
そうお兄様に尋ねてみる。恐らくはお兄様が生徒会長だからだと思うけど、それだけで私の名前まで知っている理由にはならない。おまけに顔まで知ってたの?そんな気がして…
「まず何故私と殿下が共にいるのかだが…私がこの留学の調整をさせていただいていたからだ。ようは、殿下に留学の意思がお有りになるのかの確認や、決まってからも日程や皇居内で滞在される部屋の準備まで、一手に任されていたんだ。こちらに来られるまではもちろん手紙でだが、もう既に友人のように接していただいて…」
そうか…お兄様が最初に、スティーブ殿下の留学の件をお祖父様に話したって言っていた。それで決まったんだけど…ワザとよね?一日も早く殿下に去って行って貰いたかったお兄様。だから面倒なこと一切を引き受けて、早急にことを運んだんだわ!まるでそれは追い込み漁…漁師か!?っての!怖いわぁ~
だけど待って、それは分かったけど私のことは?そう思って再び見つめると…
「キャロラインとは、殿下をルーベルト邸にご招待した時に既に会ったんだ。それと…アリシア、突然だけど生徒会に入らないか?殿下には学園に早く慣れる為にも、入っていただくことにしたんだが、私の従兄妹である君に一緒に入ってくれると安心なんだが…だからその件で特徴をお話したんだよ」
──な、何を勝手に…それに生徒会ですって?絶対に入らないって決めてたんだけど…ヤダ~
「だけどお兄様…生徒会って、忙し過ぎるじゃない?だから入学してからも私達、何ヶ月も会えなかったのよ?そんなに忙しいのは、嫌かも~」
そう言う私に眉をへの字に寄せて、困った顔をするお兄様。そんな顔されてもねぇ、嫌なものは嫌だし…
「絶対にダメか?なにも会長、副会長になれって言ってる訳じゃない。ただの生徒会の一員…ってだけだ。だからそんなに忙しくは…アリシアにお願い出来ると嬉しいんだがなぁ」
ううっ…私にまで追い込み漁!追い込み漁の達人~
「でもアリシア、いいんじゃない?どうせ絶対入れって言われるわよ、あなたは!」
クリスティーヌ、他人事だと思ってぇ~
「そうそう!遅かれ早かれ入ることになると思うわよね?」
嘘…そんなことってある?ブリジット!
「アリシアがそうしてくれると助かるなぁ…ダメ?」
キャロライン、そんな可愛い言い方を!だけどお兄様と二人して追い込んで来るわね?
それにフハァーッと大げさに溜め息を吐き、それから目を瞑る。そして観念したように再びパチッと目を開く。
「分かったわ!そのお役目承るわ。そう言われるとやらなきゃ収まらないだろうし…」
それにお兄様は嬉しそうな顔をして「済まないなぁ~」と言っている。確かに私も、いずれ入ることになるかも?とは思っていた。だけど予想より一年早い…
「ありがとうアリシア。どうぞよろしく!私のことはルシードと呼んでくれて構わないよ?」
そう言ってルシード殿下は、再び笑顔を見せる。眩しっ、歯まで光ってなかったぁ?
「ところでアリシア…お前、卒業パーティーのパートナーが決まってないって言ってただろ?それならルシード殿下になっていただいたらどうだろう?」
「ええっ!それは殿下がお困りになると思うけど?」
お兄様からのそんな提案に、それはいくらなんでも~と躊躇する。すると…
「いいや、アリシア…もし良かったら、私とパートナーになっていただけませんか?」
そうルシード殿下は言うと、徐ろに私の手を取る。あれ…?そう思って呆気に取られていると、手の甲にキスを落とす殿下が…
「キャーーッ!」
これは私の悲鳴ではない。これまでの成り行きを見守っていた、カフェテリアにいる人達が一斉にそう叫んだ!気持ちは分かるけど…本人より驚くのヤメて~
自分の手にキスをする、この世の者とも思えないような完璧な人を見ながら、ドギマギしていると…いきなりこの場に高い声が響く。
「ちょっと待ったー!」
──今度は誰よ?
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エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
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2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?!
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