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第八章・恋の予感?
57・ブリジットの恋
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私達が驚き過ぎて騒然とする中、一人難しい顔しているアンドリューがいる。そしてそのアンドリューは、今まで秘めいていた苦しい胸の内を語り始める…
「あのジョセフ・ランバートは、元々スコット家の領地にある貧乏子爵家の出身なんだ。ジョセフは小さい頃から天才だと騒がれてて、うちの父親が支援して学園に通った。そして教師になったという経緯がある。だから僕らが子供の頃には、当時学園に通っていたジョセフが家庭教師を務めていたんだ。まあ、支援して家に住まわせてやる変わりに、それが条件だったってわけ」
なんと!だけど…そんな設定あったかな?と考える。私は前世でランバートルートをやったけど、そんなことは初耳で…教師になった後からゲームが始まったから、端折られてたの?それにしてもブリジットの恋のお相手があの人だったなんて!意外すぎるっ。
「ブリジットは昔から先生のことが好きだった…。だけど僕からしたら、教師だと言っても子爵家の出だ…ブリジットを幸せに出来るのか?って思って反対してた。だってブリジットだったら、例えば皇族と縁があったって不思議じゃないだろ?裕福な伯爵家の令嬢だし、あの容姿だ…もっと楽な道へ行って欲しいって思ってしまって。おまけに歳も七つも違うし…それって僕が間違ってる?」
そうアンドリューは真剣な顔をして私達に尋ねた。私達は皆、そんなアンドリューを批判することは出来ない。そしてもちろんその気持ちは間違いじゃない!きょうだいでおまけに双子、その幸せを願うのは当たり前だもの。それで一つ納得がいったことが…以前私がランバート先生に頼まれてお手伝いをしていた時に、アンドリューが頻繁に現れたのはこういうことだったのかと。もちろん私を心配していたのは本当だと思うけど、ランバート先生という人を本当の意味で見極めたかったんだろうな。だけどそれはもしかして先生もなのかも…私に手伝いを頼むのは、ブリジットを間接的に見守りたかったから?そう思われてならない。だけどそう気付いたからといって、アンドリューを責めることは出来ないけど…
「アンドリュー、あなたのその気持ちは間違ってなんてないわよ。それだけブリジットのことが大切なのよね?私だってそう!だけど一番大切なのは、ブリジットの気持ちじゃない?もちろん先行きが心配なのは分かるわよ。でもそれってブリジットが望んでいるものかしら?ブリジットは子供の頃からの恋する気持ちを、今でも変わらず大切にしている…違う?」
そう言う私にアンドリューはショックを受けたよう。そしてガックリと俯いて押し黙った。だけどそれは私が言わなくても、既に分かっているんだろう…誰よりも近い存在のブリジットのことだもの。
「うん…そうだよな。僕がずっと反対していても、ブリジットはその気持ちを曲げなかった…それ程の強い想いなんだと思う。だけどアイツは?ランバートのやつは、同じ気持ちなのか?もしかして、してやったりなんじゃないかと…」
それに私は、フルフルと頭を振る。そして私よりも少し高い位置になった背中を、そっと撫でる。
「あのね、ブリジットが言ってたわ、ずっといい返事が貰えない…って。アンドリューが言うように、先生がそんな不純な気持ちだったとしたら、二つ返事で了承すると思わない?そうしなかったってことは、ブリジットの為を思って返事出来なかったってこと。もちろん教師という立場もあるだろうけど、それよりも自分は相応しくないと思ったんじゃないかしら?だけど断らなかった時点でブリジットへの気持ちはあるの。そしてああやってパートナーとしてここに来るのも勇気がいった筈。そうしてでもブリジットの喜ぶ顔が見たかった。そうじゃない?」
そう言う私に、バッと顔を向けるアンドリュー。その目には涙が滲んでいるように見えた。私にはきょうだいもいないし、ましてや双子でもない。だからそんな二人の絆は想像するだけだが、お互いを愛する気持ちは間違いない…だから認めてあげて!そう思いながら、再びアンドリューの背中をポンポンと優しく叩く。それから吹っ切れたように明るい笑顔を見せたアンドリューが…もう大丈夫そうだ!
そして皆んなでブリジットとランバート先生に手を振って、「こっち、こっちー!」と合図する。そして全員が合流したところで、ちょうど学園長の挨拶が始まる。
「今日は卒業を祝うパーティーです!皆んなで沢山踊って、沢山食べて、楽しい思い出を作って下さい。学園長の言葉は以上!思いっ切り踊れ~諸君!」
それを合図に、音楽が流れ出す。一曲目は練習にも使用していた曲だったから、とっても有り難い!選曲してくれた人に感謝をしつつ、笑顔でアンドリューの手を取った。そして…
くるくると舞う!難しいことはまだ出来ないけど、間違っても楽しけりゃいいでしょ?と。時々アンドリューの足を踏んだりしたけど、それでも私達は笑いながら踊る!チラッと親友達の楽しんでいる姿を見ながら…
そして二曲続けて踊った後は三曲目…そうなると、婚約している人達だけがその場に残ることになる。
その何組かの中に、キャロラインとお兄様の姿が!きっとこの為にお兄様は婚約を急いだのね?と気付いた。今まで学園で良い思い出が少ないキャロラインの為に、きっと最高の思い出を残してあげたかったのだろう…自分がこの学園にいる間に。そんな二人の楽しそうな姿を、皆んなでホゥーッと感嘆の声を上げて見つめる。二人がダンスを踊る姿は本当に絵のように美しく、愛で満ちあふれている…そしてそのダンスが終わると、盛大な拍手が巻き起こる!
「うわああーっ!キャロライン、お兄様!物凄く素敵だったわよ?こんな二人の姿が残せないのが本当に惜しいわ!知っている人全員に見せたいのに…」
「ふふふっ、ありがとう!アリシアがそれを憶えていてくれるならいいわ!それが私にとって一番だから…」
そう言ってお互いの身体をそっと抱き締め合う。わお!めっちゃいい香り~
それからは少し小休止で、飲み物を飲んだり談笑したりする時間が取られる。もう喉、カラカラだからね!するとその時、遅れて来た人達が何組か入って来る。きっと入り口で、途中で入るのを三曲目が終わるまでは止められていたのだろう。よく見るとその中にはロブの姿も。パートナーはよく知らない令嬢で、きっと例の特別措置で選ばれた人じゃないかな?そう思って見ていると…
続けて会場に入って来た、一組のカップルを見た瞬間固まる!それはここにいる人達も例外ではなくて…
「何?どういうことなの?何故彼女と彼が、一緒に来るわけ?信じられない!」
ブリジットがそう呟き、私達は全く同じ思いでそれを見つめていた。
フワッとしたピンクの髪に、眩しい程の深紅のドレス。そして最近全くみることがなかった満面の笑みを浮かべている。そして…濃紺の衣装を身に纏って現れた、印象的な赤い髪の令息。その二人に私達は釘付けになる…。その二人とは、ルーシーとフィリップ!
──な、何故あの二人が一緒に?ええっ!どうしたの…
「あのジョセフ・ランバートは、元々スコット家の領地にある貧乏子爵家の出身なんだ。ジョセフは小さい頃から天才だと騒がれてて、うちの父親が支援して学園に通った。そして教師になったという経緯がある。だから僕らが子供の頃には、当時学園に通っていたジョセフが家庭教師を務めていたんだ。まあ、支援して家に住まわせてやる変わりに、それが条件だったってわけ」
なんと!だけど…そんな設定あったかな?と考える。私は前世でランバートルートをやったけど、そんなことは初耳で…教師になった後からゲームが始まったから、端折られてたの?それにしてもブリジットの恋のお相手があの人だったなんて!意外すぎるっ。
「ブリジットは昔から先生のことが好きだった…。だけど僕からしたら、教師だと言っても子爵家の出だ…ブリジットを幸せに出来るのか?って思って反対してた。だってブリジットだったら、例えば皇族と縁があったって不思議じゃないだろ?裕福な伯爵家の令嬢だし、あの容姿だ…もっと楽な道へ行って欲しいって思ってしまって。おまけに歳も七つも違うし…それって僕が間違ってる?」
そうアンドリューは真剣な顔をして私達に尋ねた。私達は皆、そんなアンドリューを批判することは出来ない。そしてもちろんその気持ちは間違いじゃない!きょうだいでおまけに双子、その幸せを願うのは当たり前だもの。それで一つ納得がいったことが…以前私がランバート先生に頼まれてお手伝いをしていた時に、アンドリューが頻繁に現れたのはこういうことだったのかと。もちろん私を心配していたのは本当だと思うけど、ランバート先生という人を本当の意味で見極めたかったんだろうな。だけどそれはもしかして先生もなのかも…私に手伝いを頼むのは、ブリジットを間接的に見守りたかったから?そう思われてならない。だけどそう気付いたからといって、アンドリューを責めることは出来ないけど…
「アンドリュー、あなたのその気持ちは間違ってなんてないわよ。それだけブリジットのことが大切なのよね?私だってそう!だけど一番大切なのは、ブリジットの気持ちじゃない?もちろん先行きが心配なのは分かるわよ。でもそれってブリジットが望んでいるものかしら?ブリジットは子供の頃からの恋する気持ちを、今でも変わらず大切にしている…違う?」
そう言う私にアンドリューはショックを受けたよう。そしてガックリと俯いて押し黙った。だけどそれは私が言わなくても、既に分かっているんだろう…誰よりも近い存在のブリジットのことだもの。
「うん…そうだよな。僕がずっと反対していても、ブリジットはその気持ちを曲げなかった…それ程の強い想いなんだと思う。だけどアイツは?ランバートのやつは、同じ気持ちなのか?もしかして、してやったりなんじゃないかと…」
それに私は、フルフルと頭を振る。そして私よりも少し高い位置になった背中を、そっと撫でる。
「あのね、ブリジットが言ってたわ、ずっといい返事が貰えない…って。アンドリューが言うように、先生がそんな不純な気持ちだったとしたら、二つ返事で了承すると思わない?そうしなかったってことは、ブリジットの為を思って返事出来なかったってこと。もちろん教師という立場もあるだろうけど、それよりも自分は相応しくないと思ったんじゃないかしら?だけど断らなかった時点でブリジットへの気持ちはあるの。そしてああやってパートナーとしてここに来るのも勇気がいった筈。そうしてでもブリジットの喜ぶ顔が見たかった。そうじゃない?」
そう言う私に、バッと顔を向けるアンドリュー。その目には涙が滲んでいるように見えた。私にはきょうだいもいないし、ましてや双子でもない。だからそんな二人の絆は想像するだけだが、お互いを愛する気持ちは間違いない…だから認めてあげて!そう思いながら、再びアンドリューの背中をポンポンと優しく叩く。それから吹っ切れたように明るい笑顔を見せたアンドリューが…もう大丈夫そうだ!
そして皆んなでブリジットとランバート先生に手を振って、「こっち、こっちー!」と合図する。そして全員が合流したところで、ちょうど学園長の挨拶が始まる。
「今日は卒業を祝うパーティーです!皆んなで沢山踊って、沢山食べて、楽しい思い出を作って下さい。学園長の言葉は以上!思いっ切り踊れ~諸君!」
それを合図に、音楽が流れ出す。一曲目は練習にも使用していた曲だったから、とっても有り難い!選曲してくれた人に感謝をしつつ、笑顔でアンドリューの手を取った。そして…
くるくると舞う!難しいことはまだ出来ないけど、間違っても楽しけりゃいいでしょ?と。時々アンドリューの足を踏んだりしたけど、それでも私達は笑いながら踊る!チラッと親友達の楽しんでいる姿を見ながら…
そして二曲続けて踊った後は三曲目…そうなると、婚約している人達だけがその場に残ることになる。
その何組かの中に、キャロラインとお兄様の姿が!きっとこの為にお兄様は婚約を急いだのね?と気付いた。今まで学園で良い思い出が少ないキャロラインの為に、きっと最高の思い出を残してあげたかったのだろう…自分がこの学園にいる間に。そんな二人の楽しそうな姿を、皆んなでホゥーッと感嘆の声を上げて見つめる。二人がダンスを踊る姿は本当に絵のように美しく、愛で満ちあふれている…そしてそのダンスが終わると、盛大な拍手が巻き起こる!
「うわああーっ!キャロライン、お兄様!物凄く素敵だったわよ?こんな二人の姿が残せないのが本当に惜しいわ!知っている人全員に見せたいのに…」
「ふふふっ、ありがとう!アリシアがそれを憶えていてくれるならいいわ!それが私にとって一番だから…」
そう言ってお互いの身体をそっと抱き締め合う。わお!めっちゃいい香り~
それからは少し小休止で、飲み物を飲んだり談笑したりする時間が取られる。もう喉、カラカラだからね!するとその時、遅れて来た人達が何組か入って来る。きっと入り口で、途中で入るのを三曲目が終わるまでは止められていたのだろう。よく見るとその中にはロブの姿も。パートナーはよく知らない令嬢で、きっと例の特別措置で選ばれた人じゃないかな?そう思って見ていると…
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「何?どういうことなの?何故彼女と彼が、一緒に来るわけ?信じられない!」
ブリジットがそう呟き、私達は全く同じ思いでそれを見つめていた。
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