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第九章・秘密の友達
66・お兄様の卒業
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今日は卒業式…私達はまだ後二年もあるから実感はないが、中等部から高等部まで通ったお兄様にとっては感慨深いものがあるだろう。この六年もの長い間、殆ど休まずに通ったというのだから…
「グスッ…うぅ。卒業をお祝いしなきゃならないんだけど、もう学園で会えないと思ったら…泣けてくる!」
そう言って泣いているのは意外にもアンドリュー。ずっとお兄様をロールモデルのように尊敬していたアンドリューは、そう言ってこの卒業に複雑な想いを抱いている。この先いくらでもルーベルト邸へ行けば会えると思うけど?とは思うけど、気分がぶち壊しになるから言わないであげよう!
在校生達が講堂に集まり、八列に並ぶその真中を卒業生達が胸を張って通って行く。それから前方で並び着席すると、その場はシン…と静まり返って…
その最前列の真中に陣取るのは、我らが最高の先輩ディラン・ルーベルト…お兄様だ!
──わあ~やっぱりお兄様ね!私の自慢の従兄妹だわ。それに体格も立派だから、一際目立つのよねっ。
学園きっての天才だと名高いお兄様のことは、全ての生徒達が認めていると言っても過言ではない。それに卒業後に皇居の宰相部への就職だけならまだしも、初めから宰相補佐という役職付きでの採用なんて…学園出の一年目としては破格の扱いなの!凄いわぁ~キャロラインへのストーカーで培ったスキルが役に立ったのね?きっと。これからはクリスティーヌのお父様である、ロウブルグ宰相様と共に働くことになる。
「卒業生代表!ディラン・ルーベルト前へ」
壇上の学園長がそう名を呼び上げると、お兄様はスクっと立ち上がり、それから壇上へと上がる。そして学園長の前に立つと…
「ルーベルト侯爵家ディラン、貴殿は学園始まって以来の優秀な成績をおさめ、また一年生の時から生徒会長として…」
まだ学園長の祝いの言葉が続いているけど…『一年生の時から』というのに目が点になる…一年生の時からですって?では三年間ずっと生徒会長だったってコト?それは学園で全然会わない筈だわぁ~もはや仕事じゃないの!
それから学園長から、卒業記念のクリスタルの盾を贈られるお兄様。その盾は透明なのかと思えば精巧なカットが施されていて、カット面が虹色に輝いている。それはまるで輝やかしい未来を暗示しているように…
そしてその盾を持った手を上にと突き上げて、拍手喝采を浴びるお兄様。その姿には流石の私も泣けてきて…
「お兄様…素晴らしいわ!」
それから後の卒業生は、流れ作業的に自分の名前入りの盾を受け取って行く。私も二年後はあれを?と思ってしまって、ちょっとだけ物悲しくなって…
「これで諸君らはこの学園を卒業した!これからはこの帝国の為に…そして家族の為に、活躍してくれることを望む。卒業おめでとう!」
学園長のその最後の挨拶で、ワッと卒業生の元に在校生が集まる。もちろん私達はお兄様のところに。
「お兄様、ご卒業おめでとうございます。これ迷ったけどお花を!お兄様の瞳の色の青い花を集めたのよ?」
「わあ綺麗だ!ありがとうアリシア」
穂状に咲くベロニカ、そして青い小花が沢山咲くエボルブルスを花束にした。男の人でも花は嬉しいのかな?って迷ったけど、喜んで貰えたようだ。元々お兄様は、花背負って歩いてるみたいな人だから…違和感ゼロよね?
「そうだ!アリシア、お礼にこれをあげよう」
お兄様は思い出したように、ポケットからピンのような物を取り出す。そしてそれを私にと渡してくる。
──うん…これは、なにかしら?
鷲かしら?葉を咥えた鳥が本を掴み、周りをぐるりと蔦で囲ったエンブレムを彫り込んだピンで。それに素材は純金じゃない?結構高価そう…。それにこのエンブレムは、学園の校章とはまた違うみたいだけど…どういったものなのかしら?
「これは生徒会長のみに与えられるピンだ。これをアリシアに譲ろう!」
「ええっ!お、お兄様?私、生徒会長になんてならないわよ?」
そんなものを貰ってしまったら一大事!と思わずそう言ってしまった。それって…三年生になったら生徒会長になれということ?と唖然とする。
「アハハハ、アリシア。なにも受け取ったからって、強要しようとは思ってないから安心してくれ!だけど…もしも生徒会長になることがあったら、これを使って欲しくて。受け継いでくれたら嬉しいんだが?」
それには、うーん…と迷ったが、取り敢えず有り難く受け取った。もしもね?もしも生徒会長になる時は使わせて貰おう…その予定は今のところありませんけどね?
それから同級生達や後輩達から最後だからと抱き着かれて、揉みくちゃになっているお兄様を眺めて笑った。お兄様…お疲れ様!
+++++
「君がアリシアだね?何処となくディラン様に似ているね。私が生徒会長だ…よろしく頼むね」
そう言って私へと手を差し出す新しい生徒会長…それを戸惑いながらもそっと握る。すると…思いのほか力強く握り返されてギョッとする!何だろうこの人?ちょっと変わってるんじゃ…
初めての生徒会役員会で、そう思って狼狽える。お兄様は、忙しくなるから嫌だと言った私に大丈夫だからと言った。会長でも副会長でもなく、ただの生徒会の一員なだけだからと…全然大丈夫そうじゃないんですけどー?これからどうなるんだろうか…
「グスッ…うぅ。卒業をお祝いしなきゃならないんだけど、もう学園で会えないと思ったら…泣けてくる!」
そう言って泣いているのは意外にもアンドリュー。ずっとお兄様をロールモデルのように尊敬していたアンドリューは、そう言ってこの卒業に複雑な想いを抱いている。この先いくらでもルーベルト邸へ行けば会えると思うけど?とは思うけど、気分がぶち壊しになるから言わないであげよう!
在校生達が講堂に集まり、八列に並ぶその真中を卒業生達が胸を張って通って行く。それから前方で並び着席すると、その場はシン…と静まり返って…
その最前列の真中に陣取るのは、我らが最高の先輩ディラン・ルーベルト…お兄様だ!
──わあ~やっぱりお兄様ね!私の自慢の従兄妹だわ。それに体格も立派だから、一際目立つのよねっ。
学園きっての天才だと名高いお兄様のことは、全ての生徒達が認めていると言っても過言ではない。それに卒業後に皇居の宰相部への就職だけならまだしも、初めから宰相補佐という役職付きでの採用なんて…学園出の一年目としては破格の扱いなの!凄いわぁ~キャロラインへのストーカーで培ったスキルが役に立ったのね?きっと。これからはクリスティーヌのお父様である、ロウブルグ宰相様と共に働くことになる。
「卒業生代表!ディラン・ルーベルト前へ」
壇上の学園長がそう名を呼び上げると、お兄様はスクっと立ち上がり、それから壇上へと上がる。そして学園長の前に立つと…
「ルーベルト侯爵家ディラン、貴殿は学園始まって以来の優秀な成績をおさめ、また一年生の時から生徒会長として…」
まだ学園長の祝いの言葉が続いているけど…『一年生の時から』というのに目が点になる…一年生の時からですって?では三年間ずっと生徒会長だったってコト?それは学園で全然会わない筈だわぁ~もはや仕事じゃないの!
それから学園長から、卒業記念のクリスタルの盾を贈られるお兄様。その盾は透明なのかと思えば精巧なカットが施されていて、カット面が虹色に輝いている。それはまるで輝やかしい未来を暗示しているように…
そしてその盾を持った手を上にと突き上げて、拍手喝采を浴びるお兄様。その姿には流石の私も泣けてきて…
「お兄様…素晴らしいわ!」
それから後の卒業生は、流れ作業的に自分の名前入りの盾を受け取って行く。私も二年後はあれを?と思ってしまって、ちょっとだけ物悲しくなって…
「これで諸君らはこの学園を卒業した!これからはこの帝国の為に…そして家族の為に、活躍してくれることを望む。卒業おめでとう!」
学園長のその最後の挨拶で、ワッと卒業生の元に在校生が集まる。もちろん私達はお兄様のところに。
「お兄様、ご卒業おめでとうございます。これ迷ったけどお花を!お兄様の瞳の色の青い花を集めたのよ?」
「わあ綺麗だ!ありがとうアリシア」
穂状に咲くベロニカ、そして青い小花が沢山咲くエボルブルスを花束にした。男の人でも花は嬉しいのかな?って迷ったけど、喜んで貰えたようだ。元々お兄様は、花背負って歩いてるみたいな人だから…違和感ゼロよね?
「そうだ!アリシア、お礼にこれをあげよう」
お兄様は思い出したように、ポケットからピンのような物を取り出す。そしてそれを私にと渡してくる。
──うん…これは、なにかしら?
鷲かしら?葉を咥えた鳥が本を掴み、周りをぐるりと蔦で囲ったエンブレムを彫り込んだピンで。それに素材は純金じゃない?結構高価そう…。それにこのエンブレムは、学園の校章とはまた違うみたいだけど…どういったものなのかしら?
「これは生徒会長のみに与えられるピンだ。これをアリシアに譲ろう!」
「ええっ!お、お兄様?私、生徒会長になんてならないわよ?」
そんなものを貰ってしまったら一大事!と思わずそう言ってしまった。それって…三年生になったら生徒会長になれということ?と唖然とする。
「アハハハ、アリシア。なにも受け取ったからって、強要しようとは思ってないから安心してくれ!だけど…もしも生徒会長になることがあったら、これを使って欲しくて。受け継いでくれたら嬉しいんだが?」
それには、うーん…と迷ったが、取り敢えず有り難く受け取った。もしもね?もしも生徒会長になる時は使わせて貰おう…その予定は今のところありませんけどね?
それから同級生達や後輩達から最後だからと抱き着かれて、揉みくちゃになっているお兄様を眺めて笑った。お兄様…お疲れ様!
+++++
「君がアリシアだね?何処となくディラン様に似ているね。私が生徒会長だ…よろしく頼むね」
そう言って私へと手を差し出す新しい生徒会長…それを戸惑いながらもそっと握る。すると…思いのほか力強く握り返されてギョッとする!何だろうこの人?ちょっと変わってるんじゃ…
初めての生徒会役員会で、そう思って狼狽える。お兄様は、忙しくなるから嫌だと言った私に大丈夫だからと言った。会長でも副会長でもなく、ただの生徒会の一員なだけだからと…全然大丈夫そうじゃないんですけどー?これからどうなるんだろうか…
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