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第10章・危険な香り
70・衝撃の事実
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ルーシーの義父のバーモント子爵が、ルシードの暗殺に関わっているですって?そんなの驚くなっていうのが無理だ…
「ル、ルーシーの父親が!?嘘だろう…」
「バーモント子爵ですって?それはいくら何でも」
アンドリューとクリスティーヌもそう言って戸惑いまくっている。そりゃそうよね…もう抱えきれないくらいの、衝撃の事実なんだから。
「おやっ?その令嬢のことは、皆んな良く知っているようだね。ディランに伝えた時も、微妙な顔をしていたよ。特に仲良くしている訳でもないけど、多少の関わりはある…というところだろうか」
何も言わなくてもそう言い当ててくるルシード。それから私は、どういうことなのかと詳しく聞いてみることに…
「それで犯人とバーモント子爵が繋がっているというのは、どういうことでしょう?この帝国に来てからルシードの命を狙っているのが、バーモント子爵ということですか?」
それにルシードは、真顔でフルフルと首を振った。それにほんの少しだけ安堵する。だってそうなると、少なからずルーシーも関わってくるからだ。あの子をそこまで悪い子だとは思いたくはない…
「その、関わっている…という意味だが、直接暗殺に手を染めているという訳ではないんだ。そのバーモント子爵だが、最近になって羽振りが良くなっていないかい?」
「あっ…それ、僕はルーシー本人から聞いたことがあります!中等部入学の時は家が遠いので学園寮に入っていたけど、二年程前にこの帝都に屋敷を構えたと。お義父様の事業が成功したからと言ってましたけど…」
それに直ぐ反応したのはアンドリューだ。確かにこの帝都に居を構えるとなると、相当なお金が必要になる筈。なるほどその違いが…
「では、バーモント子爵家があるスローンも関わってくるのですか?確かエルバリンとは、隣接していますよね。となると、グァーデン伯爵家も関わっていると?」
──そ、そうか!そうなる筈だわ。確かグァーデン伯爵家の領地がスローンで、そこにあるのがバーモント子爵家だもの。遠縁なんだろうか?
流石宰相の娘!クリスティーヌはその博識ぶりを発揮してくる。私達…なんだか最強じゃない?なんて思えてきて…
「その通りだ。グァーデン伯爵家は密輸に手を染めている。エルバリンと隣接している自分の領地の利を生かして、以前から密輸しているようなんだ。そしてそれに目を付けたのが、王妃の実家であるモルド公爵家だ。そして重視しなければならないのは、帝国からは武器をエルバリンに流している…ようは内戦に備えているのかと。だけど悔しいが、私の暗殺も密輸の件も証拠がないんだ!かなり慎重になっているようで…」
何だか、物凄くキナ臭い話になってきた。それではグァーデン伯爵とバーモント子爵は密輸に関わっていて、それを黙ってもらうかわりに大量の武器をモルド公爵に卸してるってわけ?そしてルシードを亡き者にした後、王を黙らせる為にその武器を使う…ってこと?それなら一つ、心配なことがあるけど…
「あの…私、フィリップから、ロード辺境伯家の取り引き相手がバーモント子爵だと聞いたの。その縁で二人は、卒業パーティーでパートナーになったと。それって、辺境伯家も関わっているってこと?」
そう言う私にアンドリューとクリスティーヌは、驚いてバッと顔を向ける。それにルシードは少し考えて…それから口を開く。
「それはディランから既に聞いているよ。君がそう言ったんだよね?だけど…ディランも言っていたけど、皇帝陛下の信任も厚いロード辺境伯がそれに関わっているとは考え難い。何の利益もないからね!恐らく…帝国にある武器にも限りがあるだろう?怪しまれたら終わりだし。それで新しい仕入れ先を探しているのだろうバーモント子爵は。武器が沢山集まるところ…それでその候補に挙がったのが辺境伯家だろう」
それには少しホッとする。まさかフィリップの家門が密輸に関わっていたとしたら…それは一大事だ!御家取り潰しの他、厳しい沙汰があるだろう。それに親戚であるロブのガーイン家も、無事ではすまないかも知れない。そうなったらと思うと…
「だけどそれって、辺境伯家も危ないってことですよね?目を付けられている…ってことだから。その息子のフィリップとは、私達も仲良くしているんです。今後何か動きがあるようなら、おっしゃって下さい。きっとお役に立てるはず…」
神妙な顔でそう言う私にルシードは「それは心強いな!」と微笑んだ。それから…
「それでさっき言った毒の件だが、食べた昼食に何か入れられていたようだ…急に吐き気がしてね。だけど父である王から毒消しの妙薬を大量に渡されているから…大丈夫だったよ。でもこの前の時は、疲れていたからなのかあまり薬が効かなくて。それでパーティーに出られなかったって訳さ…ハハッ」
ハハッ…って!笑い事じゃないでしょう?そのうちその毒で命を失うかも知れないのに…
それに卒業パーティーに出られなかった理由は、風邪なんかじゃなくて毒だったとは!ああ、もうどうにかならないのかしら?気の毒で聞いていられない!どうしたら…
「僕も協力出来ることがあれば、言って下さい!」
「私もです!お力になります」
私達は皆んな、不幸な人を放っておけない星の下に生まれた者同士なのね?アンドリューとクリスティーヌもそう力強く言っている。それはきっとキャロラインもそう言ったはず。そして、ルーベルト侯爵家は一家を挙げて助けることに決めたのね!それに恐らくだけど、皇帝陛下もだわ…
「ル、ルーシーの父親が!?嘘だろう…」
「バーモント子爵ですって?それはいくら何でも」
アンドリューとクリスティーヌもそう言って戸惑いまくっている。そりゃそうよね…もう抱えきれないくらいの、衝撃の事実なんだから。
「おやっ?その令嬢のことは、皆んな良く知っているようだね。ディランに伝えた時も、微妙な顔をしていたよ。特に仲良くしている訳でもないけど、多少の関わりはある…というところだろうか」
何も言わなくてもそう言い当ててくるルシード。それから私は、どういうことなのかと詳しく聞いてみることに…
「それで犯人とバーモント子爵が繋がっているというのは、どういうことでしょう?この帝国に来てからルシードの命を狙っているのが、バーモント子爵ということですか?」
それにルシードは、真顔でフルフルと首を振った。それにほんの少しだけ安堵する。だってそうなると、少なからずルーシーも関わってくるからだ。あの子をそこまで悪い子だとは思いたくはない…
「その、関わっている…という意味だが、直接暗殺に手を染めているという訳ではないんだ。そのバーモント子爵だが、最近になって羽振りが良くなっていないかい?」
「あっ…それ、僕はルーシー本人から聞いたことがあります!中等部入学の時は家が遠いので学園寮に入っていたけど、二年程前にこの帝都に屋敷を構えたと。お義父様の事業が成功したからと言ってましたけど…」
それに直ぐ反応したのはアンドリューだ。確かにこの帝都に居を構えるとなると、相当なお金が必要になる筈。なるほどその違いが…
「では、バーモント子爵家があるスローンも関わってくるのですか?確かエルバリンとは、隣接していますよね。となると、グァーデン伯爵家も関わっていると?」
──そ、そうか!そうなる筈だわ。確かグァーデン伯爵家の領地がスローンで、そこにあるのがバーモント子爵家だもの。遠縁なんだろうか?
流石宰相の娘!クリスティーヌはその博識ぶりを発揮してくる。私達…なんだか最強じゃない?なんて思えてきて…
「その通りだ。グァーデン伯爵家は密輸に手を染めている。エルバリンと隣接している自分の領地の利を生かして、以前から密輸しているようなんだ。そしてそれに目を付けたのが、王妃の実家であるモルド公爵家だ。そして重視しなければならないのは、帝国からは武器をエルバリンに流している…ようは内戦に備えているのかと。だけど悔しいが、私の暗殺も密輸の件も証拠がないんだ!かなり慎重になっているようで…」
何だか、物凄くキナ臭い話になってきた。それではグァーデン伯爵とバーモント子爵は密輸に関わっていて、それを黙ってもらうかわりに大量の武器をモルド公爵に卸してるってわけ?そしてルシードを亡き者にした後、王を黙らせる為にその武器を使う…ってこと?それなら一つ、心配なことがあるけど…
「あの…私、フィリップから、ロード辺境伯家の取り引き相手がバーモント子爵だと聞いたの。その縁で二人は、卒業パーティーでパートナーになったと。それって、辺境伯家も関わっているってこと?」
そう言う私にアンドリューとクリスティーヌは、驚いてバッと顔を向ける。それにルシードは少し考えて…それから口を開く。
「それはディランから既に聞いているよ。君がそう言ったんだよね?だけど…ディランも言っていたけど、皇帝陛下の信任も厚いロード辺境伯がそれに関わっているとは考え難い。何の利益もないからね!恐らく…帝国にある武器にも限りがあるだろう?怪しまれたら終わりだし。それで新しい仕入れ先を探しているのだろうバーモント子爵は。武器が沢山集まるところ…それでその候補に挙がったのが辺境伯家だろう」
それには少しホッとする。まさかフィリップの家門が密輸に関わっていたとしたら…それは一大事だ!御家取り潰しの他、厳しい沙汰があるだろう。それに親戚であるロブのガーイン家も、無事ではすまないかも知れない。そうなったらと思うと…
「だけどそれって、辺境伯家も危ないってことですよね?目を付けられている…ってことだから。その息子のフィリップとは、私達も仲良くしているんです。今後何か動きがあるようなら、おっしゃって下さい。きっとお役に立てるはず…」
神妙な顔でそう言う私にルシードは「それは心強いな!」と微笑んだ。それから…
「それでさっき言った毒の件だが、食べた昼食に何か入れられていたようだ…急に吐き気がしてね。だけど父である王から毒消しの妙薬を大量に渡されているから…大丈夫だったよ。でもこの前の時は、疲れていたからなのかあまり薬が効かなくて。それでパーティーに出られなかったって訳さ…ハハッ」
ハハッ…って!笑い事じゃないでしょう?そのうちその毒で命を失うかも知れないのに…
それに卒業パーティーに出られなかった理由は、風邪なんかじゃなくて毒だったとは!ああ、もうどうにかならないのかしら?気の毒で聞いていられない!どうしたら…
「僕も協力出来ることがあれば、言って下さい!」
「私もです!お力になります」
私達は皆んな、不幸な人を放っておけない星の下に生まれた者同士なのね?アンドリューとクリスティーヌもそう力強く言っている。それはきっとキャロラインもそう言ったはず。そして、ルーベルト侯爵家は一家を挙げて助けることに決めたのね!それに恐らくだけど、皇帝陛下もだわ…
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