極上の彼女と最愛の彼 Vol.3

葉月 まい

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全員集合

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4月に入ると、モデルルームのスタッフ達も慣れてきて、運営も落ち着いた。

デジタルコンテンツの操作もスタッフだけで問題なくこなせるようになり、モデルルームへ通う必要がなくなった吾郎は、アートプラネッツのオフィスに戻った。

「吾郎!おっかえりー!」

ドアを開けると、相変わらず透が元気に声をかけてくる。

「おひさー!どうだった?モデルルームは」

「ああ。申し込みも好調で、これならあっという間に完売御礼となりそうだって。あ!透様も、ご成約、誠にありがとうございます」

「あはは!こちらこそ。亜由美もすごく気に入ってたよ。二人で引っ越すのを、俺も楽しみにしてる」

「引っ越したら、俺も新居にお邪魔させてくれ」

「もちろん!パーティールームでみんなで集まろうよ」

「そうだな」

すると奥のデスクから大河も近づいてきた。

「吾郎、お疲れ様。内海不動産の件、すっかり吾郎に任せ切りでごめんな」

「いや、全然構わない。俺こそ、こっちは完全に放置してて悪かった。大河と透の二人で大丈夫だったか?」

「ああ、問題ない。洋平も自宅で作業してくれてたし、時々ここにも顔出してくれてたからな。そうそう、明日から洋平も完全復帰する」

「そうか!久しぶりに全員集合だな」

「そうだな。って言っても、4人だけど」

あはは!と皆で笑う。

たった4人でも、一人一人が大切な存在だ。

(やっぱりここはいいな)

吾郎は改めて、アートプラネッツの居心地の良さを感じていた。



「いえーい!全員集合ー!」

次の日。
洋平が出社してくると、透は両手を挙げて喜ぶ。

「久しぶりにみんな揃ったしさ、ランチはデリバリー頼んでパーティーしようよ!」

「でたよ、パーティー隊長」

「透の場合、何かなくても毎日がパーティーだろ?」

吾郎と洋平が呆れるが、透はどこ吹く風とばかりに、スマートフォンでオードブルを手配する。

「そうだよー。エブリディがパーティーさ!」

「はいはい。頭の中もな」

「パーティーもいいけど、仕事もちゃんとしろよ?」

「分かってますって!」

そして4人は、いつものように賑やかに仕事を始めた。

「えーっと、納期を書いたスケジュールがこれな。あらかた作業は終わってるから、特に問題なく納品出来ると思う」

大河が皆にスケジュールを配って説明する。

「分かった。大河、かなり前倒しで終わらせてくれたんだな。無理しなくて良かったのに」

「いや、大丈夫だ。それより俺は再来週から1週間留守にする。申し訳ないけど、よろしく頼むよ」

「申し訳なくなんかないよー!」と透が言うと、吾郎は、ん?と眉間にしわを寄せる。

「透、変な言い回しだな。合ってるのか?意味」

「合ってる合ってるー!アリシアとおフランスー!行ってらっしゃーい」

洋平が呆れたように口を開いた。

「透、お前が1番浮かれてどうする」

「あはは!確かに」

吾郎も笑い、そんな皆の様子に大河はホッとする。

「じゃあ、よろしく頼むな。何かあったらいつでも電話してくれ」

「分かった」

頷きつつ、しないけどね、と3人は心の中で呟いていた。



「大河さん!あと3日ね。あー、どうしよう。ドキドキしてきちゃった」

フランスに行く日が近づき、瞳子はソワソワと落ち着かなくなる。

「楽しみ過ぎて、最近お布団に入ってからもワクワクして眠れないの」

「そうか?グーグー寝てるぞ?」

「もう、大河さん!」

「あはは!まあ、遠足は行く前が1番楽しいって言うからな」

「そうなの?でも行ってからも絶対に楽しいはず!だって、ずーっと大河さんと一緒にいられるんだもん。朝も昼も夜も、ずーっとよ?」

大河は笑って瞳子を抱き寄せる。

「ああ、そうだな。ずーっと瞳子を離さないよ」

「うん!迷子になったら大変だもんね」

「瞳子…、そういう意味じゃない」

ん?と小首を傾げる瞳子に、ま、いいかと大河は微笑んだ。

二人にとって間違いなく、幸せで楽しい旅行になると確信しながら。
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