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優しさに包まれて
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「い、今なんと?」
広間で朝食の席に着いていたジョージは、思わず立ち上がりかけた。
普段は決してそんなことをしないクレアが、ガシャンと食器の音を立てる。
広間にいる皆が、息を詰めて動きを止めた。
「今、な、なんと言ったのだ?アレン」
ジョージの言葉に、全員が固唾を飲んで耳をそばだてる。
アレンはもう一度美桜と顔を見合わせると、ジョージに向き直った。
「私達の結婚を認めていただきたい、と申し上げました」
「け、結婚!」
ざわっと一気に広間の空気が動く。
「み、美桜ちゃんと、アレンが!」
結婚、そんな夢のような…とジョージは誰にともなく呟く。
「お許しいただけますか?」
アレンと美桜が揃って頭を下げると、ジョージは慌てて美桜に駆け寄った。
「わっ、お父様、危ない」
つまずきそうなジョージに美桜が手を差し出すと、ジョージは逆にその手を握り返してきた。
「美桜ちゃん、よくぞ、よくぞ決心してくれた。ありがとう!本当にありがとう!」
感極まったように涙声で言い、美桜の手を力強く握る。
「君のことは、私達が皆で守る。決して寂しい思いはさせないよ。パレスの全員が君の見方だ。なあ?みんな」
振り返ると、皆一様に涙を堪えながら頷いている。
「もちろんですとも!私、生涯かけて美桜様にお仕えいたします」
クレアの言葉に、私も、もちろん私もと皆が続く。
「ありがとうございます」
美桜が頭を下げると、誰からともなく拍手が起こった。
「おめでとうございます!アレン様、美桜様」
皆の輝くような笑顔と、惜しみない拍手を受け、アレンと美桜は微笑み合った。
◇
その二日後、アレンと美桜は日本に発った。
喜ぶのはまだ早い、大事なことがあるだろう、とジョージはあの後すぐに、難しい顔でアレンに言ったのだった。
「美桜ちゃんのご両親に、ご挨拶に伺いなさい。もちろん、簡単には許していただけないだろう。大事なお嬢さんをイギリスになど。だがな、アレン。忘れるな。美桜ちゃんは、私の無理難題を見事に受け入れて、お前に会いに来てくれたのだぞ。その勇気と覚悟をお前も持たなければならん」
アレンはしっかり頷いた。
そうして二人で美桜の実家に挨拶に行くことになったのだが、やはりここは段取りが大事だろうと、美桜だけ一足先に行くことにした。
羽田空港に着いてから、母に電話を入れる。
「もしもし、お母さん?私。うん、元気よ。それでね、久しぶりに今日そっちに行ってもいい?ちょっと話したいことがあって」
うん、うんと短いやり取りを繰り返してから、じゃああとでねと言って電話を切る。
「大丈夫だった?」
「うん、平気。夕飯作って待ってるねって」
「そう、良かった。じゃあ家まで送っていくよ」
「え、いいよ、そんな。アレンは都内のホテルに泊まるんでしょ?通り過ぎちゃうよ」
美桜はそう言ったが、アレンは美桜の荷物も持ってズンズン歩いて行く。
「久しぶりだなあ、日本。なんだか色々変わってるね」
「あ、そうか。四年ぶりだもんね」
アレンは、電車に乗ってからも外の景色に見入っている。
ようやく美桜の実家の最寄駅に着くと、懐かしい!と目を輝かせた。
「ここはあまり変わってないね。覚えてる、美桜の家で、俺達四人でパーティーしたの」
「ああ、そうだったよね。アレンの帰国前にみんなでさよならパーティーしたよね」
「というよりは、美桜のバースデーパーティーだったよ。三月二十七日だよね」
よく覚えてるね、と言う美桜に、当たり前だろとアレンは笑う。
美桜は少し嬉しくなった。
「じゃあ、今日のところはここで。送ってくれてありがとう」
家に着くと、門の前でアレンと美桜は向き合った。
「あとで電話するね。どんな様子か」
「うん、分かった。ご両親によろしくね」
それじゃあ、と別れようとした時だった。
「あら?美桜?」
玄関の開く音がして、母親が出て来た。
「早かったのね。今からお父さんとスーパーに買い出しに…。まあ!ひょっとして、アレン君?」
美桜はぎくりとして顔をこわ張らせる。
「はい。ご無沙汰しています」
アレンは落ち着いた様子でお辞儀をする。
美桜は、冷や汗が噴き出る思いだった。
(どうしよう、ほんとだったら今夜私がアレンのことをそれとなく話して、明日挨拶に来てもらうはずだったのに)
両親の反応を見てから、明日どう切り出すか、作戦を立てるつもりだった。
それなのに…
「まあ、こんなに立派になって。見違えたわ。あ、お父さん!ほら、アレン君よ。覚えてる?美桜の高校時代の」
よりによって、父親までが玄関から現れ、美桜は内心ヒーッと悲鳴を上げる。
「ん?ああ、覚えとるよ。イケメンだったからなあ。いやいや、これは。すっかり立派な大人の男性だなあ」
アレンはもう一度、お久しぶりですと頭を下げる。
「そう言えば、年明けに美桜達はアレン君に会いにイギリスに行ったんだろう?泊まらせていただいたとか。お世話になったね」
「いえ、そんな」
「こんな所で立ち話もあれだし、母さん、中に入っていただこう」
「そうね、スーパーはやめて、お寿司でも取っちゃいましょうか」
「おお、それがいい。さ、中へどうぞ」
そう言って、どこのお寿司にしようかと二人はウキウキした様子で玄関に入っていく。
美桜はアレンを見上げて、どうしようと言わんばかりに困った顔をする。
アレンは、大丈夫と笑顔で頷いて、美桜を中へ促した。
「さあさあ、どうぞ」
アレンは、失礼しますと言って、勧められたソファに座る。
「今、お茶を淹れるわね」
「あ、お母さん、私も」
「美桜はいいわよ。座ってお話してなさい。あら?あなた達、なんだか荷物が多いのね」
美桜は再びぎくりとする。
「あ、そ、そうかな。あのね」
「実は、イギリスから日本に着いたばかりなんです。美桜さんを空港からこちらまで送り届けに来ました」
「え、そうなの?美桜、あなたまたイギリスに行ってたの?」
「あ、そ、そうなの、五日間ほど、また」
アレンの落ち着いた様子に反して、美桜はしどろもどろになるばかりだ。
「え、あなた達っていったい…」
そこまで言って考え込んでから、美桜の母は、妙にしたり顔になった。
「ははーん、なるほどね。そういうことか」
「そういうこととは、ど、どういうことで?」
「ずばり、あなた達、付き合ってるんでしょ?」
「ええ?そうなのかい?」
「そりゃそうよ、お父さん。でなけりゃ、二人で一緒にイギリスから帰ってきたりしないでしょ?」
「え、でも一月の時は、アレン君帰ってこなかったんじゃないのかい?」
「そこよ、そこ。あの時はまだ付き合ってなかったのよ。絵梨ちゃん達も一緒だったしね。でも本当は、イギリスで再会したのをきっかけに付き合うことにしたのよ。で、今回美桜がまた渡英して、今度は二人で帰ってきたって訳よ。ね?そうでしょ?」
「い、いや、そうでしょうと言われると」
「ほら、やっぱりそうなんだ」
何をもってそうなんだと確信したのか、美桜の母は言葉を続ける。
「そうかあ、美桜にもついに彼氏がね」
「いやー、こんなかっこいい好青年の彼か」
「お父さん、ちょっと寂しい?でもアレン君なら何の不満もないでしょ?」
「そりゃそうだよ、逆にうちの娘でいいのかい?って」
「ほんとよね。あ、でもあれでしょ?遠距離恋愛ってやつよね?大変よー、これから」
「でもまあ、今はインターネットでどこでも繋がる便利な世の中だしな」
「そうよね、私とお父さんが関西と関東で遠距離だった頃に比べたら」
さんざん二人で盛り上がった後、両親はようやく美桜達に顔を向けた。
「二人ともがんばってね。応援するから」
「う、うん」
勢いに飲まれて美桜が頷いた時だった。
隣に座っていたアレンが滑るようにソファから降り、床に正座をすると両手をついた。
「申し訳ありません。実はこの度はお二人に折り入ってお話があり、日本に参りました。大事なお話なので、まずはご都合などお聞きしてから、改めてこちらに伺うつもりでした」
(ひー、アレン!一体何を)
そう思いつつ、美桜も慌ててソファから降りる。
「つい四日前に、美桜さんが再びイギリスの私のもとを訪ねてくれ、二人で互いの気持ちを打ち明けました。私は美桜さんをとても大事に思っています。私にとって、美桜さんのいないこの先の人生は考えられません。そして、自分が必ず美桜さんを幸せにする、一生をかけて守っていくと心に誓い、プロポーズいたしました」
両親が驚いて息を呑むのが、下を向いたままの美桜にも分かった。
「お二人には、この様に突然のお話となってしまい、申し訳ありません。どうか、私達の結婚を認めていただけないでしょうか」
アレンは、床につきそうなほど低く頭を下げる。
美桜も祈るような思いで頭を下げた。
長い長い沈黙が続く。
やがてふうっと息を吐いてから、美桜の父が口を開いた。
「美桜、お前はどうなんだ?お前の気持ちは」
美桜は唇をきゅっと引いてから顔を上げた。
「私は、イギリスでアレンと一緒に暮らしたいと思っています。簡単に決めたことではありません。私達は、一月にイギリスで再会した時、お互いを思いながらも気持ちを口にせず別れました。住む世界が違う、そう思ったからです。でも、四日前に私は覚悟を持ってまたイギリスに行きました。お互いの気持ちを確かめ、アレンは私の為に、自分が日本で暮らすと言ってくれました。嬉しかったけれど、それは私が望むこととは違います。私は、アレンを必要としている人達のためにアレンが力を注ぐのを、そばで支えていきたいです。そして、自分らしく生きていくためにも、アレンと一緒にこの先の人生をともに歩みたいです」
「…美桜」
母が少し涙ぐみ、美桜はいたたまれない気持ちになる。
「お父さん、お母さん、私は幸せになる道を見つけたの。たとえそれが、日本を離れることになっても。どうか認めてください」
隣で聞いていたアレンは、たまらずまた口を開いた。
「大切なお嬢さんを遠く離れたイギリスに行かせることは、身を引き裂かれるような思いだと思います。簡単にお許しいただけるとは思っていません。何度でも足を運びますので、どうか少しずつでもお気持ちを話していただけたら」
「いや、その必要はありません」
アレンの言葉をぴしゃりと遮る父の言葉に、美桜はハッとして顔を上げる。
「お父さん!あの…」
「美桜は黙っていなさい」
そして、アレンに顔を上げるように言う。
ためらった後、アレンはゆっくり顔を上げた。
「アレン君。うちの娘はね、小さい時から何でも自分で決める子だった。ダンスを習いたい、ランドセルの色はピンク、進学先はS学園、そして就職まで。全く親の意見など聞かなくてね。どんなに私達が話しても、一度も考えを曲げたことはなかった。そして自分の決めた道を、後悔したり途中で投げ出すこともなかった。一言で言えば、頑固者だな。それも筋金入りの」
誰に似たんだか…と呟くと、母も、ほんとに、と二人で笑い合う。
「そんな娘が、結婚を決めた。アレン君、それがどういう意味か分かるかい?いくら親に何を言われても、絶対に考えを変えない。そして自分で決めたこの先の人生を、決して後悔することなく、必ず幸せになってみせる。そういう子なんだよ、美桜は」
隣で母も静かに笑って頷く。
「そんな娘に私達親が出来ることといったら、娘を信じて応援すること、それだけだよ」
美桜は、溢れる涙を堪えることが出来なかった。
父は優しく娘に微笑む。
「美桜、お前は強くて優しい子だ。お父さんはお前を誇りに思う。自分の決めた道を、しっかり歩いていきなさい。大丈夫、必ず幸せになれるよ」
「はい」
涙でぐしゃぐしゃな顔のまま、美桜は頷く。
「そしてアレン君。どうか娘をよろしくお願いします。イギリスと日本では、いざという時にすぐ駆けつけてやれない。これからは、君に託します。どうか、娘のそばについていてやって欲しい」
よろしくお願いします、と両親は揃ってアレンに頭を下げた。
「そんな、こちらこそ。大切な美桜さんをお二人の分までしっかりお守りします。必ず、必ず幸せにします。お二人のお気持ちも、決して忘れません。本当にありがとうございます」
アレンは感極まったように二人に言い、頭を下げ続けた。
「美桜、良かったわね。幸せにね」
母の温かい声が、美桜の心に沁み込む。
「ありがとう。お父さん、お母さん」
まるで子どものように涙でいっぱいの顔の美桜を見て、両親は優しく笑った。
◇
「うわー、綺麗。今日もキラキラの海!」
「本当だ。この海のそばで美桜は働いてるんだね」
電車の窓から見える海は、太陽の光をいっぱいに浴びて、眩しいほど輝いている。
アレンはそっと美桜の横顔を見た。
外の景色を見つめる美桜は、どこか寂しそうにも見える。
アレンは、今日二人でここに来た目的を考えて、思わずうつむいた。
(美桜にばかり、何度寂しいお別れをさせてしまうんだ、俺は)
「ほら、着いたよ」
顔を上げると、美桜は優しく微笑んでこちらを見ている。
(幸せにしなければ。必ず)
アレンは心の中で強く頷いて決意を新たにし、美桜と一緒に電車を降りた。
従業員用の入り口でIDを見せた美桜は、同伴者名簿にアレンの名を書き、通行証を受け取る。
そのまま地下のオフィスに行くと、廊下の窓からそっと中の様子をうかがった。
時刻は夕方の四時半。
ちょうど今日の主要なショーが全て終わり、ほっと一息つける時間だ。
案の定、オフィスでは、由香とみどりがお茶を飲みながら談笑していた。
美桜は小さく深呼吸すると、アレンに、ドアの近くで待っていてと頼み、一人でオフィスに入っていく。
「失礼します」
入口でお辞儀をすると、由香とみどりが振り返って、パッと笑顔になった。
「美桜!おかえりー」
「早かったね。もっとゆっくりしてきても良かったんだよ」
「いえ、あの、本当にありがとうございました。突然のわがままを聞いていただいて」
「いいのいいの。私達だってどーんと背中を押しちゃったしね」
「いえ、感謝しています。ありがとうございました。これ、お土産です」
「あー、頼んでた買い出しね!ありがとう!」
「それで?どうだったの?」
「そうそう、お土産話の方は?」
「あ、はい。それなんですけど…」
身を乗り出してくる由香とみどりに、美桜は少しためらうように黙り込む。
「…あ、いや、別に無理に話さなくても。ねえ、みどり?」
「そうよ、うん。いいのよ、美桜」
元気がない様子の美桜に、もしやうまくいかなかったのかと、由香とみどりは焦って取り繕う。
「いえ、お話します」
そう言うと、美桜はドアを振り返って、アレン、と声をかけ、手招きした。
一体なにを?と美桜の様子を見ていた由香とみどりは、やがて呼ばれて入ってきた背の高いイギリス人を見て、驚いて後ずさる。
「きゃー、何?ちょっと、イケメンよ!」
「初めまして。アレン・ウォーリングと申します」
「わっ、しゃべった!えーっと、ナイストゥミートゥ」
「由香、この人日本語話してるから!」
「え?そうなの?あ、えーっとマイネームイズ」
「だから日本語でいいってば!」
由香とみどりは、互いの手を握りながら半ばパニックになっている。
「お二人のことは、美桜から聞いています。由香先輩とみどり先輩ですね」
アレンが微笑みながら言うと、二人はますます気が動転したようだ。
「きゃー!名前、私の名前を」
「お、落ち着いて、由香。とりあえず、話を聞こう」
「そ、そ、そうね」
そうして二人でしばらく息を整えてから、ようやくアレンの横にいる美桜の存在を思い出した。
「あ!美桜!ひょっとしてイギリスには彼に会いに行ったの?」
「そういうことか!で、一緒に帰って来たのね」
「ってことは、つまり…」
「あなた達、うまくいったのね?」
は、はい、と美桜が控えめに頷くと、なーんだ!早く言ってよと由香が美桜の背中をバシッと叩く。
「い、いてて」
「だったらなんでそんな、どよんとした顔してるのよ?良かったじゃない。思い切ってイギリスに行って」
「あ、はい。お二人にあの時背中を押していただいたこと、本当に感謝しています。それで、あの。今日はお話したいことがあって来ました」
いつになく真剣な表情の美桜に、由香とみどりの顔からも笑顔が消えた。
「何?どうしたの?改まって」
美桜は、隣のアレンと顔を見合わせてから、思い切ったように口を開いた。
「あの日、イギリスに行かせてもらって、彼と再会しました。二人で気持ちを確かめて、今後の事を話し合いました。それで…」
美桜は一瞬泣きそうな表情をし、ギュッと口を結ぶ。
気持ちを持ち直すと、顔を上げた。
「私、結婚してイギリスで暮らすことにしました。つまり、ここを…退職させていただきたいのです」
「…美桜」
由香もみどりも、さっきまでとは別人のように、言葉を失って立ち尽くす。
「お二人には本当にお世話になりました。こんな私をいつも支えて励ましてくださって。お二人のおかげで、これまで楽しく続けてこられました。ありがとうございました。こんな形でいきなり辞めることになり、本当に申し訳ありません。引き継ぎなどはきちんとしますので、どうか」
「美桜」
気を緩めると泣きそうになる、そう思って一気にまくしたてる美桜を、由香が遮った。
「美桜、あのさ。ちょっと聞いていい?」
「は、はい」
「美桜はさ、ここの仕事好き?」
「はい。大好きでした」
「嫌な事とかなかった?辞めたくなったり」
「辞めたいと思った事なんて、一度もありません。落ち込む事はあっても、仲間や先輩のおかげで、いつもすぐに立ち直れました」
「この職場で働いてて、良かったって思う?」
「はい。ここでの経験や、出会えた仲間達は、私の人生の宝物です」
「じゃあ、辞める必要なんてある?」
え?と美桜がためらっていると、由香は美桜の隣のアレンに声をかける。
「えーっと、アレンさん、でしたっけ?」
「はい」
そう言ってアレンが一歩由香に近づくと、
「ああー!ダメダメ!ちょっと下がってて。イケメンなんだから」
後ろの机をガタガタさせながら後ずさり、両手を出してアレンを遠ざける。
「あ、はい。すみません」
アレンがまた元の位置に戻ると、よろしい、と由香は頷く。
「えー、アレンさん。あなたは、妻が日本に里帰りする時、快く送り出せますか?」
「はい、もちろんです」
「たとえそれが、一年に三回、いや四回だとしても?」
「もちろん、いつでも好きな時に帰ってもらいたいです」
「では、一度の里帰りが二週間、いや、三週間になったとしたら?」
「構いません。自由に好きなだけ、日本で楽しんできて欲しいです」
「その気持ち、誓えますか?」
「はい、誓います」
「よろしい。では次に、美桜さん」
「は、はい」
「あなたは、ここでの仕事が好きだと言いましたね。ここで出会えた仲間達は宝物だと」
「はい」
「では、もしその仲間があなたの助けを必要としていたら?助けますか?」
「はい。私に出来ることなら、何でもします」
「その気持ち、誓えますか?」
「はい、誓います」
「よろしい」
由香は満足そうに頷くと、体を反らせながら、ゆったり美桜とアレンに向き合った。
「それでは、美桜さん。あなたには今後、イギリスからオンラインでミーティングに参加していただきます。ショーの企画やアイデアなど、これまでと変わらず、みんなと一緒に話し合いながら作り上げていってください。そして日本に里帰りする時には、たとえ一週間でもショーに出演していただきたい。あなたには、現場で後輩達に教えてもらいたい事が、まだまだたくさんあります。いいですね?」
信じられない思いで聞いていた美桜は、由香のまっすぐな視線に慌てて頷く。
「は、はい」
「アレンさん。そんな訳で、あなたの奥様が日本とオンラインミーティングをする際は、どうか許して、見守っていただきたい。そして日本に帰国した際は、奥様がまたここでショーに出演することをご了承いただけますか?」
「はい、もちろんです。よろしくお願いいたします」
「うむ。よろしい」
すると、もう我慢の限界とばかりに、みどりが一気に笑い始めた。
「あはは!もう由香ったら。やめてよー。私、笑い堪えるのに必死だったんだから。どう考えても変な人だったよ?それなのに、美桜もアレンさんも真面目に答えてるし…ってちょっと、美桜、まさか泣いてる?」
「だ、だって、嬉しくて、思ってもみなくて、そんな…。私、ここを辞めなきゃって、悲しくて、でも」
しゃくり上げそうなほど涙を流す美桜の背中を、アレンがそっと撫でる。
「まあね、由香はどう見ても怪しい神父さんだったけど、言ってることは間違ってなかったわ。美桜、辞める必要なんてない。たとえイギリスにいたって私達は一緒に働けるわ。まだまだがっつり関わってもらうわよ」
「そうよー、縁が切れると思ったら大間違いよー。あ、帰国する時はお土産忘れないでよね。いつもの紅茶と、それから」
「ショートブレッド!」
由香とみどりと美桜、三人の声が重なり、思わず皆で笑い出した。
結婚おめでとう、と改めて二人から祝福を受ける、涙と笑顔の美桜の横顔を見ながら、本当に良かったとアレンは心から思った。
◇
「ここから見る夕焼け、綺麗なんだ」
そう言って美桜は、登り切った丘の頂上でアレンを振り返る。
「本当だ。イギリスで見る夕焼けみたい」
「アレンの秘密の場所?」
「ああ。ずっとこの先の海で繋がっている気がする」
「そうね」
柵の前に二人並んで、夕陽が沈みかけた海を眺める。
パークの中央に位置するこの「見晴らしの丘」は、その名の通り見晴らしが良いだけで、他には何もない。
急な坂道や階段が続くため、ここまで上がってくるゲストはほとんどいない。
「私もね、時々一人でここで考え事したりしてたんだ。秘密のお気に入りの場所」
「一緒だね」
アレンが微笑みかける。
「うん。アレンにも見て欲しかったんだ」
二人はしばらく黙って海を眺め続ける。
その横顔に、寂しさはもうなかった。
たくさんの優しさに触れ、二人は感謝の気持ちでいっぱいだった。
「美桜、俺は必ず美桜を幸せにする」
「うん、私も。必ずアレンを幸せにする」
温かな夕焼けの中、二人は顔を見合わせて微笑んだ。
◇
「お待たせ!わー、ほんとにアレンだ」
「よー、どうだい、久しぶりの日本は?」
待ち合わせした行きつけのカフェ。
絵梨と仁は、入って来るなりアレンに声をかける。
「うん、なんか浦島太郎みたいな気分。四年ってすごく色々変わるんだね」
「そりゃそうよ。四年もあれば、街も変わるし女も変わる」
「ぶっ!何よそれ?全く仁ったら」
ねえ?と顔を寄せてくる絵梨に、美桜も思わず笑い出す。
「さてと、とりあえずドリンク買ってくる。ケーキも食べちゃおうかな」
「あ、私も!ティラミス食べたい。仁くんはコーヒーでいい?一緒に買ってくるよ」
「うん、頼む。サンキュー、美桜ちゃん」
女子二人が楽しそうにカウンターへ向かうのを見送りながら、仁はアレンに切り出す。
「で?何がどうなってるのか、説明してもらおうか?」
この間までは互いの連絡先すら知らなかったアレンと美桜から呼び出され、仁はある程度予想していた。
しかもアレンは、日本に四年ぶりに帰って来ている、となれば、話はもうこれしか思いつかない。
「お前達、決心したんだろ?」
「ああ」
「そうか、だと思ったよ」
付き合うことにしたんだな、と言いかけた仁の言葉は、アレンの予想外の台詞に打ち消される。
「俺達、結婚する」
「やっぱりな、結婚…え?け、結婚?」
仁は、椅子から落ちそうになるほど驚いてのけ反った。
目を見開いたまま固まっている。
「仁には、最初に俺の口から伝えたかった」
アレンは真っ直ぐに仁を見据えて言う。
しばらく呆然としていた仁は、やがて参ったとばかりに笑い出した。
「結婚、そうか、結婚か。ははは、さすがにそれは考えてなかった。うん、ははは」
ふうと一息ついてから、仁はしみじみとした口調になる。
「すごいよ、お前達。よく決心したな。ここまでくるとあっぱれだよ、うん」
そう言って、カウンターで注文している美桜を振り返る。
「美桜ちゃんも、よほどの覚悟で決めたんだろうな。イギリスで暮らすってことだろ?」
「ああ。仁との約束は必ず守る。決して彼女を悲しませることはしない」
「あったりまえだ!」
バシッとアレンの腕を叩いてから、仁はアレンに笑いかけた。
「幸せになれよ。二人で」
意外なほど清々しい気分だった。
そして、そんな気持ちになれた自分を、自分で褒めてやりたい、と仁は思った。
「はーい、お待たせ。仁くんのコーヒーね」
美桜達が席に戻ってきて、皆で久しぶりの再会を喜ぶ。
「このカフェで四人揃うなんて、懐かしいね」
「うん。あの頃は楽しかったよね」
すると絵梨が、改めてアレンと美桜の顔を見比べながら身を乗り出して聞く。
「ところでお二人さん。なぜ今日はまたお揃いで?私と仁に話でもあるんじゃありませんこと?」
やはり絵梨も、ここに来るまでにある程度予想していたのだろう。
(いやー、でもどこまで想像してるのやら?)
仁は心の中でほくそ笑む。
「うん。あの、あのね」
少しうつむきながら、はにかんだように美桜が話し出す。
「実は、私とアレン、結婚することにしたの」
えっ!と驚いて目を大きく見開いたかと思うと、次の瞬間絵梨は、ぽろぽろと大粒の涙をこぼし始めた。
「わ!え、絵梨ちゃん?ちょっと大丈夫?」
「結婚…、美桜がアレンと結婚なんて。すごい、すごいよ。だって私、二人の気持ち気付いてたから。お互い惹かれ合ってるの、見てて分かったもん。それなのに、何も言わずに別れたりして…。あの時私まで切なかった。だから嬉しくて。良かったね、美桜」
「…絵梨ちゃん」
美桜の目からも涙がこぼれ落ちる。
そうだ、いつだってそばで自分のことを見守ってくれていた。
言葉にしなくても、気持ちを分かってくれていたんだ、絵梨は。
そして今も、まるで自分の事のように涙を流して喜んでくれている。
「ありがとう、絵梨ちゃん。本当にありがとう」
「おめでとう、美桜。幸せにね」
二人は泣きながら笑い合った。
「いやー、めでたい。こんなめでたい日はないわ。乾杯しよ!乾杯」
ようやくいつもの明るさで、絵梨がグラスを上げる。
「美桜、アレン、結婚おめでとう!」
かんぱーい!と四人はグラスを高く合わせる。
「あーあ、でも美桜、イギリスに行っちゃうのか。寂しくなるな。アレン、美桜のこと頼んだわよ。悲しい思いさせちゃダメよ」
「ああ、分かってる。約束する。それに絵梨も仁も、いつでもフォレストガーデンに遊びに来てくれ」
「あ、そっか!その手があったか!」
絵梨は急に嬉しそうな顔に戻る。
「じゃんじゃん行っちゃう!美桜に会いに!
あの素敵なフォレストガーデンに!」
ああ、我が心のふるさと、と、またもやミュージカル口調になる絵梨に、美桜も笑い出す。
(楽しみ!この先の人生も、きっと素敵なことが待っている気がする)
美桜は心からそう思った。
広間で朝食の席に着いていたジョージは、思わず立ち上がりかけた。
普段は決してそんなことをしないクレアが、ガシャンと食器の音を立てる。
広間にいる皆が、息を詰めて動きを止めた。
「今、な、なんと言ったのだ?アレン」
ジョージの言葉に、全員が固唾を飲んで耳をそばだてる。
アレンはもう一度美桜と顔を見合わせると、ジョージに向き直った。
「私達の結婚を認めていただきたい、と申し上げました」
「け、結婚!」
ざわっと一気に広間の空気が動く。
「み、美桜ちゃんと、アレンが!」
結婚、そんな夢のような…とジョージは誰にともなく呟く。
「お許しいただけますか?」
アレンと美桜が揃って頭を下げると、ジョージは慌てて美桜に駆け寄った。
「わっ、お父様、危ない」
つまずきそうなジョージに美桜が手を差し出すと、ジョージは逆にその手を握り返してきた。
「美桜ちゃん、よくぞ、よくぞ決心してくれた。ありがとう!本当にありがとう!」
感極まったように涙声で言い、美桜の手を力強く握る。
「君のことは、私達が皆で守る。決して寂しい思いはさせないよ。パレスの全員が君の見方だ。なあ?みんな」
振り返ると、皆一様に涙を堪えながら頷いている。
「もちろんですとも!私、生涯かけて美桜様にお仕えいたします」
クレアの言葉に、私も、もちろん私もと皆が続く。
「ありがとうございます」
美桜が頭を下げると、誰からともなく拍手が起こった。
「おめでとうございます!アレン様、美桜様」
皆の輝くような笑顔と、惜しみない拍手を受け、アレンと美桜は微笑み合った。
◇
その二日後、アレンと美桜は日本に発った。
喜ぶのはまだ早い、大事なことがあるだろう、とジョージはあの後すぐに、難しい顔でアレンに言ったのだった。
「美桜ちゃんのご両親に、ご挨拶に伺いなさい。もちろん、簡単には許していただけないだろう。大事なお嬢さんをイギリスになど。だがな、アレン。忘れるな。美桜ちゃんは、私の無理難題を見事に受け入れて、お前に会いに来てくれたのだぞ。その勇気と覚悟をお前も持たなければならん」
アレンはしっかり頷いた。
そうして二人で美桜の実家に挨拶に行くことになったのだが、やはりここは段取りが大事だろうと、美桜だけ一足先に行くことにした。
羽田空港に着いてから、母に電話を入れる。
「もしもし、お母さん?私。うん、元気よ。それでね、久しぶりに今日そっちに行ってもいい?ちょっと話したいことがあって」
うん、うんと短いやり取りを繰り返してから、じゃああとでねと言って電話を切る。
「大丈夫だった?」
「うん、平気。夕飯作って待ってるねって」
「そう、良かった。じゃあ家まで送っていくよ」
「え、いいよ、そんな。アレンは都内のホテルに泊まるんでしょ?通り過ぎちゃうよ」
美桜はそう言ったが、アレンは美桜の荷物も持ってズンズン歩いて行く。
「久しぶりだなあ、日本。なんだか色々変わってるね」
「あ、そうか。四年ぶりだもんね」
アレンは、電車に乗ってからも外の景色に見入っている。
ようやく美桜の実家の最寄駅に着くと、懐かしい!と目を輝かせた。
「ここはあまり変わってないね。覚えてる、美桜の家で、俺達四人でパーティーしたの」
「ああ、そうだったよね。アレンの帰国前にみんなでさよならパーティーしたよね」
「というよりは、美桜のバースデーパーティーだったよ。三月二十七日だよね」
よく覚えてるね、と言う美桜に、当たり前だろとアレンは笑う。
美桜は少し嬉しくなった。
「じゃあ、今日のところはここで。送ってくれてありがとう」
家に着くと、門の前でアレンと美桜は向き合った。
「あとで電話するね。どんな様子か」
「うん、分かった。ご両親によろしくね」
それじゃあ、と別れようとした時だった。
「あら?美桜?」
玄関の開く音がして、母親が出て来た。
「早かったのね。今からお父さんとスーパーに買い出しに…。まあ!ひょっとして、アレン君?」
美桜はぎくりとして顔をこわ張らせる。
「はい。ご無沙汰しています」
アレンは落ち着いた様子でお辞儀をする。
美桜は、冷や汗が噴き出る思いだった。
(どうしよう、ほんとだったら今夜私がアレンのことをそれとなく話して、明日挨拶に来てもらうはずだったのに)
両親の反応を見てから、明日どう切り出すか、作戦を立てるつもりだった。
それなのに…
「まあ、こんなに立派になって。見違えたわ。あ、お父さん!ほら、アレン君よ。覚えてる?美桜の高校時代の」
よりによって、父親までが玄関から現れ、美桜は内心ヒーッと悲鳴を上げる。
「ん?ああ、覚えとるよ。イケメンだったからなあ。いやいや、これは。すっかり立派な大人の男性だなあ」
アレンはもう一度、お久しぶりですと頭を下げる。
「そう言えば、年明けに美桜達はアレン君に会いにイギリスに行ったんだろう?泊まらせていただいたとか。お世話になったね」
「いえ、そんな」
「こんな所で立ち話もあれだし、母さん、中に入っていただこう」
「そうね、スーパーはやめて、お寿司でも取っちゃいましょうか」
「おお、それがいい。さ、中へどうぞ」
そう言って、どこのお寿司にしようかと二人はウキウキした様子で玄関に入っていく。
美桜はアレンを見上げて、どうしようと言わんばかりに困った顔をする。
アレンは、大丈夫と笑顔で頷いて、美桜を中へ促した。
「さあさあ、どうぞ」
アレンは、失礼しますと言って、勧められたソファに座る。
「今、お茶を淹れるわね」
「あ、お母さん、私も」
「美桜はいいわよ。座ってお話してなさい。あら?あなた達、なんだか荷物が多いのね」
美桜は再びぎくりとする。
「あ、そ、そうかな。あのね」
「実は、イギリスから日本に着いたばかりなんです。美桜さんを空港からこちらまで送り届けに来ました」
「え、そうなの?美桜、あなたまたイギリスに行ってたの?」
「あ、そ、そうなの、五日間ほど、また」
アレンの落ち着いた様子に反して、美桜はしどろもどろになるばかりだ。
「え、あなた達っていったい…」
そこまで言って考え込んでから、美桜の母は、妙にしたり顔になった。
「ははーん、なるほどね。そういうことか」
「そういうこととは、ど、どういうことで?」
「ずばり、あなた達、付き合ってるんでしょ?」
「ええ?そうなのかい?」
「そりゃそうよ、お父さん。でなけりゃ、二人で一緒にイギリスから帰ってきたりしないでしょ?」
「え、でも一月の時は、アレン君帰ってこなかったんじゃないのかい?」
「そこよ、そこ。あの時はまだ付き合ってなかったのよ。絵梨ちゃん達も一緒だったしね。でも本当は、イギリスで再会したのをきっかけに付き合うことにしたのよ。で、今回美桜がまた渡英して、今度は二人で帰ってきたって訳よ。ね?そうでしょ?」
「い、いや、そうでしょうと言われると」
「ほら、やっぱりそうなんだ」
何をもってそうなんだと確信したのか、美桜の母は言葉を続ける。
「そうかあ、美桜にもついに彼氏がね」
「いやー、こんなかっこいい好青年の彼か」
「お父さん、ちょっと寂しい?でもアレン君なら何の不満もないでしょ?」
「そりゃそうだよ、逆にうちの娘でいいのかい?って」
「ほんとよね。あ、でもあれでしょ?遠距離恋愛ってやつよね?大変よー、これから」
「でもまあ、今はインターネットでどこでも繋がる便利な世の中だしな」
「そうよね、私とお父さんが関西と関東で遠距離だった頃に比べたら」
さんざん二人で盛り上がった後、両親はようやく美桜達に顔を向けた。
「二人ともがんばってね。応援するから」
「う、うん」
勢いに飲まれて美桜が頷いた時だった。
隣に座っていたアレンが滑るようにソファから降り、床に正座をすると両手をついた。
「申し訳ありません。実はこの度はお二人に折り入ってお話があり、日本に参りました。大事なお話なので、まずはご都合などお聞きしてから、改めてこちらに伺うつもりでした」
(ひー、アレン!一体何を)
そう思いつつ、美桜も慌ててソファから降りる。
「つい四日前に、美桜さんが再びイギリスの私のもとを訪ねてくれ、二人で互いの気持ちを打ち明けました。私は美桜さんをとても大事に思っています。私にとって、美桜さんのいないこの先の人生は考えられません。そして、自分が必ず美桜さんを幸せにする、一生をかけて守っていくと心に誓い、プロポーズいたしました」
両親が驚いて息を呑むのが、下を向いたままの美桜にも分かった。
「お二人には、この様に突然のお話となってしまい、申し訳ありません。どうか、私達の結婚を認めていただけないでしょうか」
アレンは、床につきそうなほど低く頭を下げる。
美桜も祈るような思いで頭を下げた。
長い長い沈黙が続く。
やがてふうっと息を吐いてから、美桜の父が口を開いた。
「美桜、お前はどうなんだ?お前の気持ちは」
美桜は唇をきゅっと引いてから顔を上げた。
「私は、イギリスでアレンと一緒に暮らしたいと思っています。簡単に決めたことではありません。私達は、一月にイギリスで再会した時、お互いを思いながらも気持ちを口にせず別れました。住む世界が違う、そう思ったからです。でも、四日前に私は覚悟を持ってまたイギリスに行きました。お互いの気持ちを確かめ、アレンは私の為に、自分が日本で暮らすと言ってくれました。嬉しかったけれど、それは私が望むこととは違います。私は、アレンを必要としている人達のためにアレンが力を注ぐのを、そばで支えていきたいです。そして、自分らしく生きていくためにも、アレンと一緒にこの先の人生をともに歩みたいです」
「…美桜」
母が少し涙ぐみ、美桜はいたたまれない気持ちになる。
「お父さん、お母さん、私は幸せになる道を見つけたの。たとえそれが、日本を離れることになっても。どうか認めてください」
隣で聞いていたアレンは、たまらずまた口を開いた。
「大切なお嬢さんを遠く離れたイギリスに行かせることは、身を引き裂かれるような思いだと思います。簡単にお許しいただけるとは思っていません。何度でも足を運びますので、どうか少しずつでもお気持ちを話していただけたら」
「いや、その必要はありません」
アレンの言葉をぴしゃりと遮る父の言葉に、美桜はハッとして顔を上げる。
「お父さん!あの…」
「美桜は黙っていなさい」
そして、アレンに顔を上げるように言う。
ためらった後、アレンはゆっくり顔を上げた。
「アレン君。うちの娘はね、小さい時から何でも自分で決める子だった。ダンスを習いたい、ランドセルの色はピンク、進学先はS学園、そして就職まで。全く親の意見など聞かなくてね。どんなに私達が話しても、一度も考えを曲げたことはなかった。そして自分の決めた道を、後悔したり途中で投げ出すこともなかった。一言で言えば、頑固者だな。それも筋金入りの」
誰に似たんだか…と呟くと、母も、ほんとに、と二人で笑い合う。
「そんな娘が、結婚を決めた。アレン君、それがどういう意味か分かるかい?いくら親に何を言われても、絶対に考えを変えない。そして自分で決めたこの先の人生を、決して後悔することなく、必ず幸せになってみせる。そういう子なんだよ、美桜は」
隣で母も静かに笑って頷く。
「そんな娘に私達親が出来ることといったら、娘を信じて応援すること、それだけだよ」
美桜は、溢れる涙を堪えることが出来なかった。
父は優しく娘に微笑む。
「美桜、お前は強くて優しい子だ。お父さんはお前を誇りに思う。自分の決めた道を、しっかり歩いていきなさい。大丈夫、必ず幸せになれるよ」
「はい」
涙でぐしゃぐしゃな顔のまま、美桜は頷く。
「そしてアレン君。どうか娘をよろしくお願いします。イギリスと日本では、いざという時にすぐ駆けつけてやれない。これからは、君に託します。どうか、娘のそばについていてやって欲しい」
よろしくお願いします、と両親は揃ってアレンに頭を下げた。
「そんな、こちらこそ。大切な美桜さんをお二人の分までしっかりお守りします。必ず、必ず幸せにします。お二人のお気持ちも、決して忘れません。本当にありがとうございます」
アレンは感極まったように二人に言い、頭を下げ続けた。
「美桜、良かったわね。幸せにね」
母の温かい声が、美桜の心に沁み込む。
「ありがとう。お父さん、お母さん」
まるで子どものように涙でいっぱいの顔の美桜を見て、両親は優しく笑った。
◇
「うわー、綺麗。今日もキラキラの海!」
「本当だ。この海のそばで美桜は働いてるんだね」
電車の窓から見える海は、太陽の光をいっぱいに浴びて、眩しいほど輝いている。
アレンはそっと美桜の横顔を見た。
外の景色を見つめる美桜は、どこか寂しそうにも見える。
アレンは、今日二人でここに来た目的を考えて、思わずうつむいた。
(美桜にばかり、何度寂しいお別れをさせてしまうんだ、俺は)
「ほら、着いたよ」
顔を上げると、美桜は優しく微笑んでこちらを見ている。
(幸せにしなければ。必ず)
アレンは心の中で強く頷いて決意を新たにし、美桜と一緒に電車を降りた。
従業員用の入り口でIDを見せた美桜は、同伴者名簿にアレンの名を書き、通行証を受け取る。
そのまま地下のオフィスに行くと、廊下の窓からそっと中の様子をうかがった。
時刻は夕方の四時半。
ちょうど今日の主要なショーが全て終わり、ほっと一息つける時間だ。
案の定、オフィスでは、由香とみどりがお茶を飲みながら談笑していた。
美桜は小さく深呼吸すると、アレンに、ドアの近くで待っていてと頼み、一人でオフィスに入っていく。
「失礼します」
入口でお辞儀をすると、由香とみどりが振り返って、パッと笑顔になった。
「美桜!おかえりー」
「早かったね。もっとゆっくりしてきても良かったんだよ」
「いえ、あの、本当にありがとうございました。突然のわがままを聞いていただいて」
「いいのいいの。私達だってどーんと背中を押しちゃったしね」
「いえ、感謝しています。ありがとうございました。これ、お土産です」
「あー、頼んでた買い出しね!ありがとう!」
「それで?どうだったの?」
「そうそう、お土産話の方は?」
「あ、はい。それなんですけど…」
身を乗り出してくる由香とみどりに、美桜は少しためらうように黙り込む。
「…あ、いや、別に無理に話さなくても。ねえ、みどり?」
「そうよ、うん。いいのよ、美桜」
元気がない様子の美桜に、もしやうまくいかなかったのかと、由香とみどりは焦って取り繕う。
「いえ、お話します」
そう言うと、美桜はドアを振り返って、アレン、と声をかけ、手招きした。
一体なにを?と美桜の様子を見ていた由香とみどりは、やがて呼ばれて入ってきた背の高いイギリス人を見て、驚いて後ずさる。
「きゃー、何?ちょっと、イケメンよ!」
「初めまして。アレン・ウォーリングと申します」
「わっ、しゃべった!えーっと、ナイストゥミートゥ」
「由香、この人日本語話してるから!」
「え?そうなの?あ、えーっとマイネームイズ」
「だから日本語でいいってば!」
由香とみどりは、互いの手を握りながら半ばパニックになっている。
「お二人のことは、美桜から聞いています。由香先輩とみどり先輩ですね」
アレンが微笑みながら言うと、二人はますます気が動転したようだ。
「きゃー!名前、私の名前を」
「お、落ち着いて、由香。とりあえず、話を聞こう」
「そ、そ、そうね」
そうして二人でしばらく息を整えてから、ようやくアレンの横にいる美桜の存在を思い出した。
「あ!美桜!ひょっとしてイギリスには彼に会いに行ったの?」
「そういうことか!で、一緒に帰って来たのね」
「ってことは、つまり…」
「あなた達、うまくいったのね?」
は、はい、と美桜が控えめに頷くと、なーんだ!早く言ってよと由香が美桜の背中をバシッと叩く。
「い、いてて」
「だったらなんでそんな、どよんとした顔してるのよ?良かったじゃない。思い切ってイギリスに行って」
「あ、はい。お二人にあの時背中を押していただいたこと、本当に感謝しています。それで、あの。今日はお話したいことがあって来ました」
いつになく真剣な表情の美桜に、由香とみどりの顔からも笑顔が消えた。
「何?どうしたの?改まって」
美桜は、隣のアレンと顔を見合わせてから、思い切ったように口を開いた。
「あの日、イギリスに行かせてもらって、彼と再会しました。二人で気持ちを確かめて、今後の事を話し合いました。それで…」
美桜は一瞬泣きそうな表情をし、ギュッと口を結ぶ。
気持ちを持ち直すと、顔を上げた。
「私、結婚してイギリスで暮らすことにしました。つまり、ここを…退職させていただきたいのです」
「…美桜」
由香もみどりも、さっきまでとは別人のように、言葉を失って立ち尽くす。
「お二人には本当にお世話になりました。こんな私をいつも支えて励ましてくださって。お二人のおかげで、これまで楽しく続けてこられました。ありがとうございました。こんな形でいきなり辞めることになり、本当に申し訳ありません。引き継ぎなどはきちんとしますので、どうか」
「美桜」
気を緩めると泣きそうになる、そう思って一気にまくしたてる美桜を、由香が遮った。
「美桜、あのさ。ちょっと聞いていい?」
「は、はい」
「美桜はさ、ここの仕事好き?」
「はい。大好きでした」
「嫌な事とかなかった?辞めたくなったり」
「辞めたいと思った事なんて、一度もありません。落ち込む事はあっても、仲間や先輩のおかげで、いつもすぐに立ち直れました」
「この職場で働いてて、良かったって思う?」
「はい。ここでの経験や、出会えた仲間達は、私の人生の宝物です」
「じゃあ、辞める必要なんてある?」
え?と美桜がためらっていると、由香は美桜の隣のアレンに声をかける。
「えーっと、アレンさん、でしたっけ?」
「はい」
そう言ってアレンが一歩由香に近づくと、
「ああー!ダメダメ!ちょっと下がってて。イケメンなんだから」
後ろの机をガタガタさせながら後ずさり、両手を出してアレンを遠ざける。
「あ、はい。すみません」
アレンがまた元の位置に戻ると、よろしい、と由香は頷く。
「えー、アレンさん。あなたは、妻が日本に里帰りする時、快く送り出せますか?」
「はい、もちろんです」
「たとえそれが、一年に三回、いや四回だとしても?」
「もちろん、いつでも好きな時に帰ってもらいたいです」
「では、一度の里帰りが二週間、いや、三週間になったとしたら?」
「構いません。自由に好きなだけ、日本で楽しんできて欲しいです」
「その気持ち、誓えますか?」
「はい、誓います」
「よろしい。では次に、美桜さん」
「は、はい」
「あなたは、ここでの仕事が好きだと言いましたね。ここで出会えた仲間達は宝物だと」
「はい」
「では、もしその仲間があなたの助けを必要としていたら?助けますか?」
「はい。私に出来ることなら、何でもします」
「その気持ち、誓えますか?」
「はい、誓います」
「よろしい」
由香は満足そうに頷くと、体を反らせながら、ゆったり美桜とアレンに向き合った。
「それでは、美桜さん。あなたには今後、イギリスからオンラインでミーティングに参加していただきます。ショーの企画やアイデアなど、これまでと変わらず、みんなと一緒に話し合いながら作り上げていってください。そして日本に里帰りする時には、たとえ一週間でもショーに出演していただきたい。あなたには、現場で後輩達に教えてもらいたい事が、まだまだたくさんあります。いいですね?」
信じられない思いで聞いていた美桜は、由香のまっすぐな視線に慌てて頷く。
「は、はい」
「アレンさん。そんな訳で、あなたの奥様が日本とオンラインミーティングをする際は、どうか許して、見守っていただきたい。そして日本に帰国した際は、奥様がまたここでショーに出演することをご了承いただけますか?」
「はい、もちろんです。よろしくお願いいたします」
「うむ。よろしい」
すると、もう我慢の限界とばかりに、みどりが一気に笑い始めた。
「あはは!もう由香ったら。やめてよー。私、笑い堪えるのに必死だったんだから。どう考えても変な人だったよ?それなのに、美桜もアレンさんも真面目に答えてるし…ってちょっと、美桜、まさか泣いてる?」
「だ、だって、嬉しくて、思ってもみなくて、そんな…。私、ここを辞めなきゃって、悲しくて、でも」
しゃくり上げそうなほど涙を流す美桜の背中を、アレンがそっと撫でる。
「まあね、由香はどう見ても怪しい神父さんだったけど、言ってることは間違ってなかったわ。美桜、辞める必要なんてない。たとえイギリスにいたって私達は一緒に働けるわ。まだまだがっつり関わってもらうわよ」
「そうよー、縁が切れると思ったら大間違いよー。あ、帰国する時はお土産忘れないでよね。いつもの紅茶と、それから」
「ショートブレッド!」
由香とみどりと美桜、三人の声が重なり、思わず皆で笑い出した。
結婚おめでとう、と改めて二人から祝福を受ける、涙と笑顔の美桜の横顔を見ながら、本当に良かったとアレンは心から思った。
◇
「ここから見る夕焼け、綺麗なんだ」
そう言って美桜は、登り切った丘の頂上でアレンを振り返る。
「本当だ。イギリスで見る夕焼けみたい」
「アレンの秘密の場所?」
「ああ。ずっとこの先の海で繋がっている気がする」
「そうね」
柵の前に二人並んで、夕陽が沈みかけた海を眺める。
パークの中央に位置するこの「見晴らしの丘」は、その名の通り見晴らしが良いだけで、他には何もない。
急な坂道や階段が続くため、ここまで上がってくるゲストはほとんどいない。
「私もね、時々一人でここで考え事したりしてたんだ。秘密のお気に入りの場所」
「一緒だね」
アレンが微笑みかける。
「うん。アレンにも見て欲しかったんだ」
二人はしばらく黙って海を眺め続ける。
その横顔に、寂しさはもうなかった。
たくさんの優しさに触れ、二人は感謝の気持ちでいっぱいだった。
「美桜、俺は必ず美桜を幸せにする」
「うん、私も。必ずアレンを幸せにする」
温かな夕焼けの中、二人は顔を見合わせて微笑んだ。
◇
「お待たせ!わー、ほんとにアレンだ」
「よー、どうだい、久しぶりの日本は?」
待ち合わせした行きつけのカフェ。
絵梨と仁は、入って来るなりアレンに声をかける。
「うん、なんか浦島太郎みたいな気分。四年ってすごく色々変わるんだね」
「そりゃそうよ。四年もあれば、街も変わるし女も変わる」
「ぶっ!何よそれ?全く仁ったら」
ねえ?と顔を寄せてくる絵梨に、美桜も思わず笑い出す。
「さてと、とりあえずドリンク買ってくる。ケーキも食べちゃおうかな」
「あ、私も!ティラミス食べたい。仁くんはコーヒーでいい?一緒に買ってくるよ」
「うん、頼む。サンキュー、美桜ちゃん」
女子二人が楽しそうにカウンターへ向かうのを見送りながら、仁はアレンに切り出す。
「で?何がどうなってるのか、説明してもらおうか?」
この間までは互いの連絡先すら知らなかったアレンと美桜から呼び出され、仁はある程度予想していた。
しかもアレンは、日本に四年ぶりに帰って来ている、となれば、話はもうこれしか思いつかない。
「お前達、決心したんだろ?」
「ああ」
「そうか、だと思ったよ」
付き合うことにしたんだな、と言いかけた仁の言葉は、アレンの予想外の台詞に打ち消される。
「俺達、結婚する」
「やっぱりな、結婚…え?け、結婚?」
仁は、椅子から落ちそうになるほど驚いてのけ反った。
目を見開いたまま固まっている。
「仁には、最初に俺の口から伝えたかった」
アレンは真っ直ぐに仁を見据えて言う。
しばらく呆然としていた仁は、やがて参ったとばかりに笑い出した。
「結婚、そうか、結婚か。ははは、さすがにそれは考えてなかった。うん、ははは」
ふうと一息ついてから、仁はしみじみとした口調になる。
「すごいよ、お前達。よく決心したな。ここまでくるとあっぱれだよ、うん」
そう言って、カウンターで注文している美桜を振り返る。
「美桜ちゃんも、よほどの覚悟で決めたんだろうな。イギリスで暮らすってことだろ?」
「ああ。仁との約束は必ず守る。決して彼女を悲しませることはしない」
「あったりまえだ!」
バシッとアレンの腕を叩いてから、仁はアレンに笑いかけた。
「幸せになれよ。二人で」
意外なほど清々しい気分だった。
そして、そんな気持ちになれた自分を、自分で褒めてやりたい、と仁は思った。
「はーい、お待たせ。仁くんのコーヒーね」
美桜達が席に戻ってきて、皆で久しぶりの再会を喜ぶ。
「このカフェで四人揃うなんて、懐かしいね」
「うん。あの頃は楽しかったよね」
すると絵梨が、改めてアレンと美桜の顔を見比べながら身を乗り出して聞く。
「ところでお二人さん。なぜ今日はまたお揃いで?私と仁に話でもあるんじゃありませんこと?」
やはり絵梨も、ここに来るまでにある程度予想していたのだろう。
(いやー、でもどこまで想像してるのやら?)
仁は心の中でほくそ笑む。
「うん。あの、あのね」
少しうつむきながら、はにかんだように美桜が話し出す。
「実は、私とアレン、結婚することにしたの」
えっ!と驚いて目を大きく見開いたかと思うと、次の瞬間絵梨は、ぽろぽろと大粒の涙をこぼし始めた。
「わ!え、絵梨ちゃん?ちょっと大丈夫?」
「結婚…、美桜がアレンと結婚なんて。すごい、すごいよ。だって私、二人の気持ち気付いてたから。お互い惹かれ合ってるの、見てて分かったもん。それなのに、何も言わずに別れたりして…。あの時私まで切なかった。だから嬉しくて。良かったね、美桜」
「…絵梨ちゃん」
美桜の目からも涙がこぼれ落ちる。
そうだ、いつだってそばで自分のことを見守ってくれていた。
言葉にしなくても、気持ちを分かってくれていたんだ、絵梨は。
そして今も、まるで自分の事のように涙を流して喜んでくれている。
「ありがとう、絵梨ちゃん。本当にありがとう」
「おめでとう、美桜。幸せにね」
二人は泣きながら笑い合った。
「いやー、めでたい。こんなめでたい日はないわ。乾杯しよ!乾杯」
ようやくいつもの明るさで、絵梨がグラスを上げる。
「美桜、アレン、結婚おめでとう!」
かんぱーい!と四人はグラスを高く合わせる。
「あーあ、でも美桜、イギリスに行っちゃうのか。寂しくなるな。アレン、美桜のこと頼んだわよ。悲しい思いさせちゃダメよ」
「ああ、分かってる。約束する。それに絵梨も仁も、いつでもフォレストガーデンに遊びに来てくれ」
「あ、そっか!その手があったか!」
絵梨は急に嬉しそうな顔に戻る。
「じゃんじゃん行っちゃう!美桜に会いに!
あの素敵なフォレストガーデンに!」
ああ、我が心のふるさと、と、またもやミュージカル口調になる絵梨に、美桜も笑い出す。
(楽しみ!この先の人生も、きっと素敵なことが待っている気がする)
美桜は心からそう思った。
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