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愛の夢
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「奏先輩。私、本当にこの曲を弾いてもいいのでしょうか?」
いつまで経ってもつかみきれず、演奏会まであと少しと迫った日の練習で、朱里は奏に恐る恐る尋ねた。
「なんでだ?お前はこの曲、弾きたくないのか?」
「弾きたいです。でも、今の私の状態でお客様に聴いて頂くのは、心苦しくて」
奏は椅子にもたれかかってしばらく考え込む。
「朱里。演奏会は俺達だけでなく、その場のお客様も一緒になって、その時限りの音楽を作り出すものなんだ。今、この練習室で演奏しているお前の音を再現する場ではない。いいか?当日、お客様の想いも感じ取りながら、心のままに演奏してみろ。技術的な事ばかり考えずに、心を音楽で満たして演奏するんだ。恐れずにのびのびとな。そうすれば必ずお客様にもお前の音楽は伝わると俺は思う」
それに、と奏は続けた。
「俺が今のお前に、この曲を弾かせたいと思ったんだ。この曲と一緒に自分の気持ちと向き合ってみろ。きっと何か新しい世界が見えてくるはずだ」
朱里は奏の言葉を考えながら、光一と美園に目を向ける。
二人とも、優しく笑って頷いている。
やってみよう、仲間を信じて。
この曲、そして自分の心に素直に向き合ってみよう。
自分の想いを全て音に乗せ、音楽で心をいっぱいに満たそう。
朱里は三人に力強く頷いてみせた。
*****
「皆様、本日は私達、青南大学管弦楽団カルテットチームの演奏会へようこそ!秋の夕陽に照らさせるこの素敵なロビーで、どうぞご一緒に音楽をお楽しみいただけたらと思います」
マンションの吹き抜けに、マイクを持つ朱里の声が響く。
今日も用意された席は満席。
立ち見や、通りすがりに足を止めてくれる人もいる。
中央の席には、雅や優、瑛の両親。
そしてその隣には瑛と聖美、聖美の母も座っていた。
久しぶりに見る瑛の姿は、なぜだか朱里を切なくさせる。
朱里は気持ちを切り替えて楽しく演奏会をスタートさせた。
まずは馴染みのある曲を何曲か披露する。
クイズや音マネで場が和んだところで、光一がおもむろに車掌さんの帽子をかぶった。
「えー皆様、秋は行楽シーズンですね。これより東京から神戸までの東海道線を、音楽でたどる旅にご案内いたします。それでは出発、進行ー!!」
ピー!と光一が笛を吹き、音楽が始まる。
朱里達三人が新幹線の到着メロディを演奏する中、光一がナレーションを入れる。
「えー、皆様。間もなく静岡、静岡でございます」
光一の口調に客席から笑いが起こる。
朱里達は、『茶摘』や『ふじの山』を織り交ぜて演奏した。
口ずさんで聴いてくれている人もいる。
そのあとも、新幹線のメロディと光一のナレーション、そしてご当地の曲のメドレーで、会場内は大いに湧いた。
やがてゆっくりと夕陽が沈み、ロビーに少し控えめな照明が点灯した頃、コンサートは終盤に差し掛かった。
「それでは、次の曲をご紹介します。フランツ・リスト作曲の『愛の夢』より第3番をお送りします」
そこまで言ってから、朱里は少しマイクを離して深呼吸した。
「皆様にとって大切な人はどなたでしょうか?ご家族、恋人、親友、仲間、きっと多くの人の顔を思い浮かべていらっしゃると思います。そして私にも大切な人がいます。私がこの曲に込める想いは、温かい時間を一緒に過ごしてくれた人への感謝の気持ちです。どうか皆様のこの先の人生も、たくさんの愛に包まれますように。願いを込めて心いっぱい演奏いたします。どうぞお聴きください」
朱里はマイクを置いて座り、大きく息を吸って気持ちを整えた。
顔を上げて三人を見る。
美園、光一、そして奏。
皆が朱里を見て力強く頷いた。
朱里も頷き返すとヴァイオリンを構え、目を閉じて自分の心に耳を澄ませる。
そしてゆっくりと身体を使って弓を弾き、メロディを奏で始めた。
懐かしい光景が脳裏に蘇る。
小さな朱里と小さな瑛。
二人はいつも一緒だった。
転んで泣き出した朱里の頭をなで、手を繋いで一緒に帰ってくれた瑛。
綺麗なちょうちょを捕まえて、朱里の虫かごに入れてくれた瑛。
自転車の練習で、いつまでも後ろを支えて走ってくれた瑛。
どんな時も、瑛は朱里を助けてくれた。
いつもそばにいてくれた。
「瑛くん、ありがとう!だいすき!」
そう言って小さな朱里が瑛に笑いかける。
そう、それはあの頃のいつもの光景。
温かく優しい日々。
愛に満ち溢れていた幸せな日々。
(今までありがとう、瑛)
いつしか朱里は、切なさに目を潤ませていた。
もうあなたの近くにはいられない。
それでも私は、いつまでもあなたに感謝する。
ありがとう、そしてどうか幸せに…。
やがて曲は朱里のカデンツァになり、他の三人の音が消えた。
胸に込み上げる幸せと切なさと感謝、そして大きな愛。
朱里は、ありったけの想いを音に乗せる。
感情をほとばしらせながら一気に駆け上がると、他の三人の音が加わり、パーッと世界が明るく広がるのを感じた。
朱里はひたすらその感動を味わいながら、空間いっぱいに音を響かせる。
(どうか届いて、私の想い)
降り注ぐ音が、愛で満ち溢れていますように。
やがてゆっくりと音は落ち着き、朱里の胸にすっと溶け込んでいった。
静けさが戻り、朱里はそっと目を開ける。
視界がぼやけていた。
(私、泣いてる?)
顔を上げると、美園や光一、そして奏が優しくこちらを見て微笑んでいた。
奏が大きく頷いてみせ、朱里がホッとして微笑んだ時、客席から大きな拍手が湧き起こった。
四人は立ち上がり、深々とお辞儀をする。
鳴り止まない拍手の中、朱里は胸を詰まらせながら客席を見渡して微笑んだ。
*****
涙を堪えながら大きな拍手を送っていた聖美は、ふと隣の瑛を見た。
次の瞬間、驚いて拍手の手が止まる。
瑛は半ばぼう然としながら、じっと前を見据えていた。
その目には涙が浮かんでいる。
「…瑛さん」
瑛は、自分が泣いていることにも気づいていないようだった。
その視線の先を追って聖美は前を見る。
大きな拍手に応えるように、朱里が笑顔で頷いていた。
朱里の演奏、そして瑛の涙。
二人の想いと互いの絆。
頭に浮かんだ考えを打ち消すように、聖美は膝の上でギュッと両手を握りしめた。
*****
「かんぱーい!」
演奏会の盛会を祝い、四人は居酒屋でグラスを高く合わせた。
「いやー、良かったよな、今日の演奏会も」
「ええ、光一先輩の車掌さんもウケてたし。それになんと言っても!朱里のあの神がかった演奏!」
美園に持ち上げられて、朱里は慌てて否定する。
「美園ちゃん、そんな。神がかってなんかないってば」
すると、いや、と光一が口を開く。
「朱里、もの凄い集中力で入り込んでたぞ。特にあのカデンツァ!あんなの、一度も練習で弾いたことないフレーズだっただろ?音楽の神様が降りてきたみたいだった」
「うんうん、ほんとですよね。私、鳥肌立ちましたよ。朱里、一体どういう心境だったの?あのカデンツァ」
え、と朱里は戸惑う。
「それがその、何も考えてなかったような…。とにかく気持ちが込み上げてきて…」
「そうなんだー。私もそんな体験してみたいな」
するとそれまで黙っていた奏が話し出した。
「朱里。あの曲と向き合ってどうだった?今日の演奏で、何かをつかんで前に進めたんじゃないか?」
朱里は少し考えてみる。
「そうですね。ずっと心に抱えていた自分の気持ちや悩みを、全部音に乗せられた気がします。あの曲を弾くことで、自分を解放できたような気もして…。今はとても清々しい気分です」
「そっか。良かったな」
「はい。奏先輩、色々ありがとうございました」
微笑み合う奏と朱里を見比べてから、美園が思い出したように言う。
「そう言えば朱里、今日は終演後に桐生家の皆さんとお話しなくて良かったの?すぐに控え室に戻って来てたけど」
「あ、うん。大丈夫よ」
朱里はあれ以来ずっと瑛を避けていた。
瑛にああ言われた以上、こちらから近づいて話しかける訳にはいかない。
瑛の両親と雅にだけ軽く挨拶をして、朱里はすぐさま控え室に戻った。
「次の演奏会の依頼も、また社長から直々にいただいたしな」
「ええ。次はクリスマスコンサートですね!楽しみー」
「クリスマスの曲、たくさん演奏しましょうよ!」
「おう!あと、コスプレもな」
光一のセリフに、皆はギョッとする。
「コ、コスプレ?」
「そうよ!クリスマスだからな。サンタとトナカイ、雪だるまとか?」
そ、それはちょっと、と朱里と美園はたじろぐ。
「ま!とにかく楽しいクリスマスコンサートにしようぜ!」
奏がまとめ、皆は大きく頷いた。
いつまで経ってもつかみきれず、演奏会まであと少しと迫った日の練習で、朱里は奏に恐る恐る尋ねた。
「なんでだ?お前はこの曲、弾きたくないのか?」
「弾きたいです。でも、今の私の状態でお客様に聴いて頂くのは、心苦しくて」
奏は椅子にもたれかかってしばらく考え込む。
「朱里。演奏会は俺達だけでなく、その場のお客様も一緒になって、その時限りの音楽を作り出すものなんだ。今、この練習室で演奏しているお前の音を再現する場ではない。いいか?当日、お客様の想いも感じ取りながら、心のままに演奏してみろ。技術的な事ばかり考えずに、心を音楽で満たして演奏するんだ。恐れずにのびのびとな。そうすれば必ずお客様にもお前の音楽は伝わると俺は思う」
それに、と奏は続けた。
「俺が今のお前に、この曲を弾かせたいと思ったんだ。この曲と一緒に自分の気持ちと向き合ってみろ。きっと何か新しい世界が見えてくるはずだ」
朱里は奏の言葉を考えながら、光一と美園に目を向ける。
二人とも、優しく笑って頷いている。
やってみよう、仲間を信じて。
この曲、そして自分の心に素直に向き合ってみよう。
自分の想いを全て音に乗せ、音楽で心をいっぱいに満たそう。
朱里は三人に力強く頷いてみせた。
*****
「皆様、本日は私達、青南大学管弦楽団カルテットチームの演奏会へようこそ!秋の夕陽に照らさせるこの素敵なロビーで、どうぞご一緒に音楽をお楽しみいただけたらと思います」
マンションの吹き抜けに、マイクを持つ朱里の声が響く。
今日も用意された席は満席。
立ち見や、通りすがりに足を止めてくれる人もいる。
中央の席には、雅や優、瑛の両親。
そしてその隣には瑛と聖美、聖美の母も座っていた。
久しぶりに見る瑛の姿は、なぜだか朱里を切なくさせる。
朱里は気持ちを切り替えて楽しく演奏会をスタートさせた。
まずは馴染みのある曲を何曲か披露する。
クイズや音マネで場が和んだところで、光一がおもむろに車掌さんの帽子をかぶった。
「えー皆様、秋は行楽シーズンですね。これより東京から神戸までの東海道線を、音楽でたどる旅にご案内いたします。それでは出発、進行ー!!」
ピー!と光一が笛を吹き、音楽が始まる。
朱里達三人が新幹線の到着メロディを演奏する中、光一がナレーションを入れる。
「えー、皆様。間もなく静岡、静岡でございます」
光一の口調に客席から笑いが起こる。
朱里達は、『茶摘』や『ふじの山』を織り交ぜて演奏した。
口ずさんで聴いてくれている人もいる。
そのあとも、新幹線のメロディと光一のナレーション、そしてご当地の曲のメドレーで、会場内は大いに湧いた。
やがてゆっくりと夕陽が沈み、ロビーに少し控えめな照明が点灯した頃、コンサートは終盤に差し掛かった。
「それでは、次の曲をご紹介します。フランツ・リスト作曲の『愛の夢』より第3番をお送りします」
そこまで言ってから、朱里は少しマイクを離して深呼吸した。
「皆様にとって大切な人はどなたでしょうか?ご家族、恋人、親友、仲間、きっと多くの人の顔を思い浮かべていらっしゃると思います。そして私にも大切な人がいます。私がこの曲に込める想いは、温かい時間を一緒に過ごしてくれた人への感謝の気持ちです。どうか皆様のこの先の人生も、たくさんの愛に包まれますように。願いを込めて心いっぱい演奏いたします。どうぞお聴きください」
朱里はマイクを置いて座り、大きく息を吸って気持ちを整えた。
顔を上げて三人を見る。
美園、光一、そして奏。
皆が朱里を見て力強く頷いた。
朱里も頷き返すとヴァイオリンを構え、目を閉じて自分の心に耳を澄ませる。
そしてゆっくりと身体を使って弓を弾き、メロディを奏で始めた。
懐かしい光景が脳裏に蘇る。
小さな朱里と小さな瑛。
二人はいつも一緒だった。
転んで泣き出した朱里の頭をなで、手を繋いで一緒に帰ってくれた瑛。
綺麗なちょうちょを捕まえて、朱里の虫かごに入れてくれた瑛。
自転車の練習で、いつまでも後ろを支えて走ってくれた瑛。
どんな時も、瑛は朱里を助けてくれた。
いつもそばにいてくれた。
「瑛くん、ありがとう!だいすき!」
そう言って小さな朱里が瑛に笑いかける。
そう、それはあの頃のいつもの光景。
温かく優しい日々。
愛に満ち溢れていた幸せな日々。
(今までありがとう、瑛)
いつしか朱里は、切なさに目を潤ませていた。
もうあなたの近くにはいられない。
それでも私は、いつまでもあなたに感謝する。
ありがとう、そしてどうか幸せに…。
やがて曲は朱里のカデンツァになり、他の三人の音が消えた。
胸に込み上げる幸せと切なさと感謝、そして大きな愛。
朱里は、ありったけの想いを音に乗せる。
感情をほとばしらせながら一気に駆け上がると、他の三人の音が加わり、パーッと世界が明るく広がるのを感じた。
朱里はひたすらその感動を味わいながら、空間いっぱいに音を響かせる。
(どうか届いて、私の想い)
降り注ぐ音が、愛で満ち溢れていますように。
やがてゆっくりと音は落ち着き、朱里の胸にすっと溶け込んでいった。
静けさが戻り、朱里はそっと目を開ける。
視界がぼやけていた。
(私、泣いてる?)
顔を上げると、美園や光一、そして奏が優しくこちらを見て微笑んでいた。
奏が大きく頷いてみせ、朱里がホッとして微笑んだ時、客席から大きな拍手が湧き起こった。
四人は立ち上がり、深々とお辞儀をする。
鳴り止まない拍手の中、朱里は胸を詰まらせながら客席を見渡して微笑んだ。
*****
涙を堪えながら大きな拍手を送っていた聖美は、ふと隣の瑛を見た。
次の瞬間、驚いて拍手の手が止まる。
瑛は半ばぼう然としながら、じっと前を見据えていた。
その目には涙が浮かんでいる。
「…瑛さん」
瑛は、自分が泣いていることにも気づいていないようだった。
その視線の先を追って聖美は前を見る。
大きな拍手に応えるように、朱里が笑顔で頷いていた。
朱里の演奏、そして瑛の涙。
二人の想いと互いの絆。
頭に浮かんだ考えを打ち消すように、聖美は膝の上でギュッと両手を握りしめた。
*****
「かんぱーい!」
演奏会の盛会を祝い、四人は居酒屋でグラスを高く合わせた。
「いやー、良かったよな、今日の演奏会も」
「ええ、光一先輩の車掌さんもウケてたし。それになんと言っても!朱里のあの神がかった演奏!」
美園に持ち上げられて、朱里は慌てて否定する。
「美園ちゃん、そんな。神がかってなんかないってば」
すると、いや、と光一が口を開く。
「朱里、もの凄い集中力で入り込んでたぞ。特にあのカデンツァ!あんなの、一度も練習で弾いたことないフレーズだっただろ?音楽の神様が降りてきたみたいだった」
「うんうん、ほんとですよね。私、鳥肌立ちましたよ。朱里、一体どういう心境だったの?あのカデンツァ」
え、と朱里は戸惑う。
「それがその、何も考えてなかったような…。とにかく気持ちが込み上げてきて…」
「そうなんだー。私もそんな体験してみたいな」
するとそれまで黙っていた奏が話し出した。
「朱里。あの曲と向き合ってどうだった?今日の演奏で、何かをつかんで前に進めたんじゃないか?」
朱里は少し考えてみる。
「そうですね。ずっと心に抱えていた自分の気持ちや悩みを、全部音に乗せられた気がします。あの曲を弾くことで、自分を解放できたような気もして…。今はとても清々しい気分です」
「そっか。良かったな」
「はい。奏先輩、色々ありがとうございました」
微笑み合う奏と朱里を見比べてから、美園が思い出したように言う。
「そう言えば朱里、今日は終演後に桐生家の皆さんとお話しなくて良かったの?すぐに控え室に戻って来てたけど」
「あ、うん。大丈夫よ」
朱里はあれ以来ずっと瑛を避けていた。
瑛にああ言われた以上、こちらから近づいて話しかける訳にはいかない。
瑛の両親と雅にだけ軽く挨拶をして、朱里はすぐさま控え室に戻った。
「次の演奏会の依頼も、また社長から直々にいただいたしな」
「ええ。次はクリスマスコンサートですね!楽しみー」
「クリスマスの曲、たくさん演奏しましょうよ!」
「おう!あと、コスプレもな」
光一のセリフに、皆はギョッとする。
「コ、コスプレ?」
「そうよ!クリスマスだからな。サンタとトナカイ、雪だるまとか?」
そ、それはちょっと、と朱里と美園はたじろぐ。
「ま!とにかく楽しいクリスマスコンサートにしようぜ!」
奏がまとめ、皆は大きく頷いた。
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