配信者ルミ、バズる~超難関ダンジョンだと知らず、初級ダンジョンだと思ってクリアしてしまいました~

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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選手入場

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―――最終章・第6章―――

午後13時。

控え室。

いよいよ、決勝戦が始まる時間だ。

ルミは、立ち上がって、控え室を出る。

廊下を歩いていくと、選手入場口の前に、袴姿の女性が立っていた。

チサトンである。

「いよいよ決勝やな」

声をかけてきた。

ルミは答える。

「……はい」

「あんたのことは、メイが敗れたあとからずっと注目してたで。めちゃくちゃ強いやんか。こんな新人がおったなんて、知らんかったわ」

「えっと……恐縮です」

「決勝は、正々堂々、勝負や。よろしくな」

チサトンが握手の手を差し出してくる。

ルミは、その手を握り返した。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

「うん! ほな、いこか!」

互いに手を離す。

チサトンが、選手入場口を歩いていった。

その後に続くように、ルミも入場口を通過していく。

会場に入る。

その瞬間、爆発するような歓声が炸裂した。

鳴り止まぬ拍手。

喝采。

フラッシュを焚く報道関係者たち。

その中を悠々と歩いていくチサトン。

ルミも、静かに歩く。

やがて二人はステージの上にあがった。

歓声が上がり続ける中、実況の司会が始まった。



神埼『さあ、みなさん、いよいよ、大阪大会も最後の一戦となりました!』

神埼『大阪大会決勝……開幕でございまああぁぁす!!』



オオオおおおおおおおおおおっ……!!

……と、歓声が轟く。

観客席は満席であり、活気も熱気も尋常ではない。



神埼『実況は引き続き、神埼リツナと、新田恭子の二人でお送りして参ります! ヨロシク!』

神埼『決勝戦を始める前に、新田さんから、決勝戦についてコメントをお願いしたいと思います』

新田『ん……私か』

新田『そうだな。もう、みんな理解していると思うが、今年の決勝戦を争う二人は、別格だ』

新田『東京大会でも、これほどの強者がぶつかり合うことはないだろう。バトルアリーナ史上、最高の一戦になることは、間違いない』



ふぉおおおおおおおおおおおおっ……!!

……と、観客たちが盛り上がる。

誰もが予感していたことだ。

今年の決勝は、例年にない熱戦になると。

戦闘のプロが集まる魔法局の局員、新田さえ言うのだから、いよいよ予感が確信に変わる。



新田『このような戦いに立ち会えたことを、喜ばしく思う。純粋に私も、この戦いを楽しんで観させてもらおう。……以上だ」

神埼『ありがとうございました! 私も、決勝の開始が楽しみでなりません! さっきから心臓がバクバクです!』




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