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4 公爵様のお邸
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お姉様夫婦と一緒に住むのは憂鬱だ。
毎日あのラブラブっぷりを見せつけられるのかと思うと、拷問でしか無い。
私は、出来るだけ早く結婚したいと願い出たのだが、お姉様の結婚と余りにも連続だと大変だという事で、一年後にと決まった。
しかし、お姉様達が結婚して直ぐに、私はイングレース公爵邸に居を移す事になる。
「幸せそうな二人と同じ邸に住むのは、苦痛なんじゃ無いか?
どうせ来年には入籍するのだし、少し早いが、君が良ければ直ぐにでも、ウチに引っ越して来ればいい」
お姉様達の結婚式の帰りに、ダニエル様がそう言ったからだ。
「宜しいのですかっ!?」
思わず前のめりになってしまう。
彼は何故こんなにも、私の気持ちを理解してくれるのだろうか?
細やかな気遣いに涙が出そうだった。
そのお言葉に甘えて、『公爵夫人としての教育を受ける為』と称し、正式な婚姻前にも関わらず、私は実家を出る事にした。
公爵家では、想像以上の歓待を受けて戸惑った。
使用人達は、皆、単なるお飾りの妻である筈の私を大歓迎してくれる。
なんだか申し訳ない気持ちになってしまう。
契約結婚だと知らされていないのかと思ったが、ダニエル様に確認すると、全員に説明してあるとの事。
謎は深まるばかりだ。
「此方は執事のイバン。
それと、今日から君の侍女になって貰う、マリベルとソニアだ。
他の使用人については、追々紹介していく」
「「宜しくお願い致します、奥様」」
・・・・・・いや、まだ奥様では無いのだが。
ダニエル様も、使用人達も、その呼び方を当たり前のように受け止めているみたいなので、どうにも指摘し難い。
まあ、どうせ約一年後には『奥様』になるのだけれど。
「パトリシア・アルバラードです。
本日から、此方のお邸でお世話になります。
皆さん、宜しくお願いします」
せめてもの反抗で、家名も名乗った。
気付いて!
私は、まだアルバラードなのよぉ!
「では、奥様をお部屋にご案内しますね」
マリベルとソニアが朗らかに微笑みながら、私の荷物を手に取る。
呼び方の件は完全にスルーされてしまった。
・・・もういいや。(諦め)
マリベルはお母様と同じくらいの年齢の優しそうな女性で、以前はダニエル様の乳母も務め、今は侍女長と私の侍女を掛け持ちしているらしい。
そして、ソニアは彼女の娘さんなのだと言う。
「侍女長のお仕事だけでも大変なのでは無いの?」
「坊っちゃんの奥様の侍女を、他の者に任せる訳には参りませんので!」
心配になって問いかけた私に、思いの外パワフルな答えが返って来た。
「母さん、〝坊っちゃん〟と呼ぶと、また旦那様が拗ねますよ」
ソニアがマリベルを窘める。
怒るんじゃなくて、拗ねるのか。
微笑ましいな。
「此方が本日から、奥様のお部屋になります。
何か足りない物等ございましたら、遠慮なく仰って下さいませ。
内装や家具なども、お好みでなければ自由に変えて頂いて結構ですので、何でもお申し付け下さい」
案内されたお部屋は、センスの良い高級な家具が揃えられている。
不足などある筈もない。
それなのに、気に入らなければ好きに変えれば良いって・・・贅沢が過ぎるでしょう!
流石、公爵家だわ。
歓待され過ぎて、逆に居心地が悪いぐらいだわ。
「お気遣い有難う。
でも、私には充分過ぎる程に素敵なお部屋だわ」
「良かったです。
このお部屋は、旦那様が奥様の為に拘って準備なさったんですよ」
「・・・そう、なの」
ソニアの嬉しそうな言葉に、驚きが隠せない。
私の為に、ダニエル様が自ら用意して下さったの!?
お飾りの妻の待遇が良過ぎて、ちょっと怖い。
何かの罠なんじゃないかと思えてくる。
そして、実家から持って来た荷物を片付ける為にクローゼットを開けた時、その疑惑はさらに深まる事になる。
───なんだコレ?
広過ぎるクローゼットの中に、色取り取りのドレスが、大量に並んでいる。
普段使いのシンプルな物から、昼間のお茶会用、夜会用の豪華な物まで、全てが揃っている。
一応、少しだけスペースが空いているが、私が持って来たドレスがギリギリ入る程度だ。
ガラスケースの中には、ネックレスやイヤリング等の宝飾品が、コレまた大量に並んでいる。
どれも目眩がする程に美しい。
何の罠なのっ!?
遥か遠くの東の国の昔話で、道に迷った旅人を家に招き入れて、歓待して油断させ、寝静まった所を殺して喰うという、『鬼婆』なる物語があると聞いた事がある。
それか!?
それなのか!?(違う)
毎日あのラブラブっぷりを見せつけられるのかと思うと、拷問でしか無い。
私は、出来るだけ早く結婚したいと願い出たのだが、お姉様の結婚と余りにも連続だと大変だという事で、一年後にと決まった。
しかし、お姉様達が結婚して直ぐに、私はイングレース公爵邸に居を移す事になる。
「幸せそうな二人と同じ邸に住むのは、苦痛なんじゃ無いか?
どうせ来年には入籍するのだし、少し早いが、君が良ければ直ぐにでも、ウチに引っ越して来ればいい」
お姉様達の結婚式の帰りに、ダニエル様がそう言ったからだ。
「宜しいのですかっ!?」
思わず前のめりになってしまう。
彼は何故こんなにも、私の気持ちを理解してくれるのだろうか?
細やかな気遣いに涙が出そうだった。
そのお言葉に甘えて、『公爵夫人としての教育を受ける為』と称し、正式な婚姻前にも関わらず、私は実家を出る事にした。
公爵家では、想像以上の歓待を受けて戸惑った。
使用人達は、皆、単なるお飾りの妻である筈の私を大歓迎してくれる。
なんだか申し訳ない気持ちになってしまう。
契約結婚だと知らされていないのかと思ったが、ダニエル様に確認すると、全員に説明してあるとの事。
謎は深まるばかりだ。
「此方は執事のイバン。
それと、今日から君の侍女になって貰う、マリベルとソニアだ。
他の使用人については、追々紹介していく」
「「宜しくお願い致します、奥様」」
・・・・・・いや、まだ奥様では無いのだが。
ダニエル様も、使用人達も、その呼び方を当たり前のように受け止めているみたいなので、どうにも指摘し難い。
まあ、どうせ約一年後には『奥様』になるのだけれど。
「パトリシア・アルバラードです。
本日から、此方のお邸でお世話になります。
皆さん、宜しくお願いします」
せめてもの反抗で、家名も名乗った。
気付いて!
私は、まだアルバラードなのよぉ!
「では、奥様をお部屋にご案内しますね」
マリベルとソニアが朗らかに微笑みながら、私の荷物を手に取る。
呼び方の件は完全にスルーされてしまった。
・・・もういいや。(諦め)
マリベルはお母様と同じくらいの年齢の優しそうな女性で、以前はダニエル様の乳母も務め、今は侍女長と私の侍女を掛け持ちしているらしい。
そして、ソニアは彼女の娘さんなのだと言う。
「侍女長のお仕事だけでも大変なのでは無いの?」
「坊っちゃんの奥様の侍女を、他の者に任せる訳には参りませんので!」
心配になって問いかけた私に、思いの外パワフルな答えが返って来た。
「母さん、〝坊っちゃん〟と呼ぶと、また旦那様が拗ねますよ」
ソニアがマリベルを窘める。
怒るんじゃなくて、拗ねるのか。
微笑ましいな。
「此方が本日から、奥様のお部屋になります。
何か足りない物等ございましたら、遠慮なく仰って下さいませ。
内装や家具なども、お好みでなければ自由に変えて頂いて結構ですので、何でもお申し付け下さい」
案内されたお部屋は、センスの良い高級な家具が揃えられている。
不足などある筈もない。
それなのに、気に入らなければ好きに変えれば良いって・・・贅沢が過ぎるでしょう!
流石、公爵家だわ。
歓待され過ぎて、逆に居心地が悪いぐらいだわ。
「お気遣い有難う。
でも、私には充分過ぎる程に素敵なお部屋だわ」
「良かったです。
このお部屋は、旦那様が奥様の為に拘って準備なさったんですよ」
「・・・そう、なの」
ソニアの嬉しそうな言葉に、驚きが隠せない。
私の為に、ダニエル様が自ら用意して下さったの!?
お飾りの妻の待遇が良過ぎて、ちょっと怖い。
何かの罠なんじゃないかと思えてくる。
そして、実家から持って来た荷物を片付ける為にクローゼットを開けた時、その疑惑はさらに深まる事になる。
───なんだコレ?
広過ぎるクローゼットの中に、色取り取りのドレスが、大量に並んでいる。
普段使いのシンプルな物から、昼間のお茶会用、夜会用の豪華な物まで、全てが揃っている。
一応、少しだけスペースが空いているが、私が持って来たドレスがギリギリ入る程度だ。
ガラスケースの中には、ネックレスやイヤリング等の宝飾品が、コレまた大量に並んでいる。
どれも目眩がする程に美しい。
何の罠なのっ!?
遥か遠くの東の国の昔話で、道に迷った旅人を家に招き入れて、歓待して油断させ、寝静まった所を殺して喰うという、『鬼婆』なる物語があると聞いた事がある。
それか!?
それなのか!?(違う)
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