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17 消えた彼女
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《side:ローレンス》
朝の教室内をグルリと見回すが、ルルーシアは見当たらない。
(今日は、まだ登校してないのか?)
落ち着かない気持ちで自席に着いて、ソワソワとルルーシアを待つが、とうとう彼女は姿を現す事なく、一時限目の授業が始まってしまった。
(まさか欠席か?
風邪でも引いたのだろうか?)
次の休み時間に教員に確認しようと心に決めて、取り敢えず授業に集中した。
「は?辞めた?」
「そうですよ。
・・・・・・えっ?
ご本人から聞いていなかったんですか?」
(聞いてない!!!)
気まずそうに目を泳がせる教員の肩を掴む。
「なんで!?」
「私の口からは、家庭の事情としか・・・。
詳しい話は本人に聞いてください」
そう簡単に個人情報を漏らしては貰えないか。
俺は一旦諦めて、教員を解放した。
(ルルーシア・・・どうして・・・?)
ぐるぐると嫌な想像が頭の中に渦巻く。
詳細は本人に聞けと言われても、ただのクラスメイトがいきなり押し掛けたって、事情によっては会わせても貰えないかもしれない。
もう二度と会えなかったりしたら・・・・・・。
焦燥感がどんどん募っていく。
とにかく、事情を知っていそうな人間に、片っ端から話を聞こう。
教室に戻って、ルルーシアと仲良くしていた女子生徒に声を掛ける。
「ルルーシアが学園を去った理由を知らないか?」
「学園の卒業を待たずに、結婚する事になったって言ってました」
・・・・・・・・・・・・・・・は?
「結婚!?誰とっっ!?」
「知りません!
私も聞いたけど、教えて貰えませんでした」
思わず語気を強めた俺に、ビクッと肩を震わせた彼女は、迷惑そうにそう言った。
───結婚?
他の男と?
『契約終了です』
本当にあれで終わりなのか?
俺には話し合う機会も与えず、他の男に嫁ぐつもりなのか?
恋を知りたいと言っていたくらいだから、おそらく相手の男と恋愛関係では無かったのだろう。
政略結婚の相手とスムーズに親密な関係になれる様に、男性との距離感に慣れようとしていたのかもしれない。
(俺は練習相手で、夫になる人物が本命だったって事か?)
彼女の艶やかな銀髪に他の男が触れる事を想像するだけで、胸の中にドス黒い感情が暴れ出しそうになるのに。
(───冷静に、ならなければ)
大きく息を吐いて、頭の中を整理する。
もう少し詳細な情報が欲しい。
ダリル・メイジャー。
悔しいけれど、彼に聞けば色々分かるはず。
昼休憩のチャイムが鳴って直ぐに教室を飛び出した俺は、彼を探した。
騎士科の学舎へと早足で進む。
彼がルルーシアの結婚相手と言う可能性はあるだろうか?
だが、彼はルルーシアを大切に思っている。
その彼ならば、余程の事情がない限り、ルルーシアを退学させたりはしないだろう。
考え込みながら歩いていると、廊下を曲がった所で食堂へ向かうダリルと遭遇した。
彼はまるでこの世の不幸を全て背負い込んだみたいな昏い顔をしていて、その表情を見ただけでルルーシアの相手が彼では無いのだと確信した。
「・・・・・・珍しいですね、騎士科の方に来るなんて」
「君を探していた。
ちょっと、話があるんだけど」
「ああ、ルルの事ですか。
良いですよ。
行きましょうか」
先日話した時と同じ、校舎裏に移動する。
「ルルーシアが学園を辞めて、結婚すると聞いたのだが」
「はっ?知らなかったんですか?」
「ああ、だから詳しい話を知りたくて。
相手は誰なんだ?」
ダリルは苦虫を噛み潰したような顔で拳を握り締めた。
それ程迄に酷い相手なのだろうか?
「・・・・・・カーライル伯爵の、後妻になる予定です」
「はぁっっ!?後妻!?
ルルーシアは婿をとって子爵家を継ぐんじゃ無いのか?
しかもカーライル伯爵と言えば、嗜虐趣味があるという噂があるよな!?」
「アイツ・・・、自分で話すって言ってた癖に、何も話さなかったのかよ・・・・・・」
乱暴に頭を掻いたダリルは、溜息をつきながら話し始めた。
「ルルは父親であるブルーノ子爵との折り合いが悪いのですよ」
ダリルの話は驚くべき内容だった。
俺は、彼女の事を何も知らなかったんだ───。
朝の教室内をグルリと見回すが、ルルーシアは見当たらない。
(今日は、まだ登校してないのか?)
落ち着かない気持ちで自席に着いて、ソワソワとルルーシアを待つが、とうとう彼女は姿を現す事なく、一時限目の授業が始まってしまった。
(まさか欠席か?
風邪でも引いたのだろうか?)
次の休み時間に教員に確認しようと心に決めて、取り敢えず授業に集中した。
「は?辞めた?」
「そうですよ。
・・・・・・えっ?
ご本人から聞いていなかったんですか?」
(聞いてない!!!)
気まずそうに目を泳がせる教員の肩を掴む。
「なんで!?」
「私の口からは、家庭の事情としか・・・。
詳しい話は本人に聞いてください」
そう簡単に個人情報を漏らしては貰えないか。
俺は一旦諦めて、教員を解放した。
(ルルーシア・・・どうして・・・?)
ぐるぐると嫌な想像が頭の中に渦巻く。
詳細は本人に聞けと言われても、ただのクラスメイトがいきなり押し掛けたって、事情によっては会わせても貰えないかもしれない。
もう二度と会えなかったりしたら・・・・・・。
焦燥感がどんどん募っていく。
とにかく、事情を知っていそうな人間に、片っ端から話を聞こう。
教室に戻って、ルルーシアと仲良くしていた女子生徒に声を掛ける。
「ルルーシアが学園を去った理由を知らないか?」
「学園の卒業を待たずに、結婚する事になったって言ってました」
・・・・・・・・・・・・・・・は?
「結婚!?誰とっっ!?」
「知りません!
私も聞いたけど、教えて貰えませんでした」
思わず語気を強めた俺に、ビクッと肩を震わせた彼女は、迷惑そうにそう言った。
───結婚?
他の男と?
『契約終了です』
本当にあれで終わりなのか?
俺には話し合う機会も与えず、他の男に嫁ぐつもりなのか?
恋を知りたいと言っていたくらいだから、おそらく相手の男と恋愛関係では無かったのだろう。
政略結婚の相手とスムーズに親密な関係になれる様に、男性との距離感に慣れようとしていたのかもしれない。
(俺は練習相手で、夫になる人物が本命だったって事か?)
彼女の艶やかな銀髪に他の男が触れる事を想像するだけで、胸の中にドス黒い感情が暴れ出しそうになるのに。
(───冷静に、ならなければ)
大きく息を吐いて、頭の中を整理する。
もう少し詳細な情報が欲しい。
ダリル・メイジャー。
悔しいけれど、彼に聞けば色々分かるはず。
昼休憩のチャイムが鳴って直ぐに教室を飛び出した俺は、彼を探した。
騎士科の学舎へと早足で進む。
彼がルルーシアの結婚相手と言う可能性はあるだろうか?
だが、彼はルルーシアを大切に思っている。
その彼ならば、余程の事情がない限り、ルルーシアを退学させたりはしないだろう。
考え込みながら歩いていると、廊下を曲がった所で食堂へ向かうダリルと遭遇した。
彼はまるでこの世の不幸を全て背負い込んだみたいな昏い顔をしていて、その表情を見ただけでルルーシアの相手が彼では無いのだと確信した。
「・・・・・・珍しいですね、騎士科の方に来るなんて」
「君を探していた。
ちょっと、話があるんだけど」
「ああ、ルルの事ですか。
良いですよ。
行きましょうか」
先日話した時と同じ、校舎裏に移動する。
「ルルーシアが学園を辞めて、結婚すると聞いたのだが」
「はっ?知らなかったんですか?」
「ああ、だから詳しい話を知りたくて。
相手は誰なんだ?」
ダリルは苦虫を噛み潰したような顔で拳を握り締めた。
それ程迄に酷い相手なのだろうか?
「・・・・・・カーライル伯爵の、後妻になる予定です」
「はぁっっ!?後妻!?
ルルーシアは婿をとって子爵家を継ぐんじゃ無いのか?
しかもカーライル伯爵と言えば、嗜虐趣味があるという噂があるよな!?」
「アイツ・・・、自分で話すって言ってた癖に、何も話さなかったのかよ・・・・・・」
乱暴に頭を掻いたダリルは、溜息をつきながら話し始めた。
「ルルは父親であるブルーノ子爵との折り合いが悪いのですよ」
ダリルの話は驚くべき内容だった。
俺は、彼女の事を何も知らなかったんだ───。
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