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20 運命からの逃亡
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《side:ルルーシア》
───コンコン。
扉をノックする音がして、ローレンス様に抱き締められていた私は慌てて彼から距離を取った。
「そろそろ話はついた?
待ちくたびれたんだけど」
開いた扉から顔を出したのはダリルだ。
「ああ、協力有難う」
ローレンス様は急にキリッとした表情になり、私の手を引いて再びソファーへと向かった。
当たり前の様に私とローレンス様が並んで座り、向かいにダリルも腰を下ろす。
「根回しは済んでるんだろうな?」
ダリルがニヤリと笑ってローレンス様を見た。
「一応、ある程度は。
結婚の許可は取ってあるし、ルルーシアが望めば子爵家と縁を切らせる手段も・・・・・・。
因みに、ルルーシアは、ご両親の事をどう思っているの?」
ローレンス様に話を振られて、躊躇いながらも口を開く。
「私の両親、ですか?
端的に言って・・・・・・」
「うん」
「・・・・・・愚物、ですかね」
「愚ぶ・・・・・・」
呆気に取られた顔で固まるローレンス様を見て、しまったと思った。
辛辣過ぎたかもしれない。
「済みません、つい本音が・・・」
「本音、なんだ。
ふっ・・・ハハッ・・・・・・。
・・・愚物って・・・・・・フフッ」
なんだろう?
ドン引きされたのかと思ったのに、ローレンス様はお腹を抱えて笑っている。
「いや、間違ってはいないけど、言い方!!」
ダリルには白い目で見られた。
「フフッ・・・良かった。
じゃあ、縁を切っても問題ない?」
ローレンス様はまだ少し笑いながら、私に聞いた。
「はい」
「その後、ブルーノ子爵家が潰れても良い?」
潰れても?
なんだか、不穏な話になって来たけど。
「構いません。
ブルーノの家門に思い入れは無いので。
領民の事は少し心配ですが、父ほど領主に相応しく無い人間もいないと思うので、他の貴族が治めてくれた方がきっと幸せでしょう」
「その辺は、ちゃんとした人間が次の領主になる様に手を回しておこう」
「ありがとうございます」
「で?今日はこの後どうするの?
ルルーシアを子爵家に帰す訳にはいかないよな?
ウチに匿うか?」
ダリルの提案に、ローレンス様は首を横に振った。
「いや、大丈夫だ。
すぐにエイムズ家に連れて帰る」
事もなげにサラリと言い切ったローレンス様に困惑する。
「いや、それはまずいでしょう?
父は下手をしたら、私が誘拐されたと騒ぎ出しますよ?
そんな事になったら、侯爵家にまでご迷惑が・・・・・・」
「今日中に子爵の許可を取れば良い。
さっき、ダリル殿がこの部屋に入ったのと同時に、ウチの従者が状況を察してブルーノ家に向かっている。
俺がルルーシアを口説き落とせたら、カーライル伯爵の支度金の倍額を提示してでも、婚姻の許可をもぎ取る様にと指示してある」
「そんな、倍額だなんて・・・・・・」
カーライル伯爵が提供した支度金はかなりの金額だと聞く。
私にそんな価値があるとは思えない。
血の気が引いた私に、ローレンス様は悪戯っぽく微笑む。
「俺に買われてくれるんだろ?
因みに、ルルーシアと縁を切らせる為の手切金も含んだ金額だから、そんなに高い買い物ではない」
いや充分高いでしょ!!
そんな私の困惑を他所に、男性二人は話を進めて行く。
「まあ、子爵は守銭奴だから、それで手を打つだろうな。
侯爵家からの要望には逆らい難いだろうし。
カーライル伯爵の方は?」
「そっちも手段は考えてある。
叩けば埃がわんさか出そうだから、問題ない」
「たった五日で、よく色々手配したな」
ダリルがローレンス様に、感心した様な視線を向ける。
「ああ、心配性の従兄弟殿に認めて貰わなきゃいけないからね」
「合格点だ」
何故そんな上から目線?
この二人はいつの間にこんなに仲良くなったのかしら。
───コンコン。
扉をノックする音がして、ローレンス様に抱き締められていた私は慌てて彼から距離を取った。
「そろそろ話はついた?
待ちくたびれたんだけど」
開いた扉から顔を出したのはダリルだ。
「ああ、協力有難う」
ローレンス様は急にキリッとした表情になり、私の手を引いて再びソファーへと向かった。
当たり前の様に私とローレンス様が並んで座り、向かいにダリルも腰を下ろす。
「根回しは済んでるんだろうな?」
ダリルがニヤリと笑ってローレンス様を見た。
「一応、ある程度は。
結婚の許可は取ってあるし、ルルーシアが望めば子爵家と縁を切らせる手段も・・・・・・。
因みに、ルルーシアは、ご両親の事をどう思っているの?」
ローレンス様に話を振られて、躊躇いながらも口を開く。
「私の両親、ですか?
端的に言って・・・・・・」
「うん」
「・・・・・・愚物、ですかね」
「愚ぶ・・・・・・」
呆気に取られた顔で固まるローレンス様を見て、しまったと思った。
辛辣過ぎたかもしれない。
「済みません、つい本音が・・・」
「本音、なんだ。
ふっ・・・ハハッ・・・・・・。
・・・愚物って・・・・・・フフッ」
なんだろう?
ドン引きされたのかと思ったのに、ローレンス様はお腹を抱えて笑っている。
「いや、間違ってはいないけど、言い方!!」
ダリルには白い目で見られた。
「フフッ・・・良かった。
じゃあ、縁を切っても問題ない?」
ローレンス様はまだ少し笑いながら、私に聞いた。
「はい」
「その後、ブルーノ子爵家が潰れても良い?」
潰れても?
なんだか、不穏な話になって来たけど。
「構いません。
ブルーノの家門に思い入れは無いので。
領民の事は少し心配ですが、父ほど領主に相応しく無い人間もいないと思うので、他の貴族が治めてくれた方がきっと幸せでしょう」
「その辺は、ちゃんとした人間が次の領主になる様に手を回しておこう」
「ありがとうございます」
「で?今日はこの後どうするの?
ルルーシアを子爵家に帰す訳にはいかないよな?
ウチに匿うか?」
ダリルの提案に、ローレンス様は首を横に振った。
「いや、大丈夫だ。
すぐにエイムズ家に連れて帰る」
事もなげにサラリと言い切ったローレンス様に困惑する。
「いや、それはまずいでしょう?
父は下手をしたら、私が誘拐されたと騒ぎ出しますよ?
そんな事になったら、侯爵家にまでご迷惑が・・・・・・」
「今日中に子爵の許可を取れば良い。
さっき、ダリル殿がこの部屋に入ったのと同時に、ウチの従者が状況を察してブルーノ家に向かっている。
俺がルルーシアを口説き落とせたら、カーライル伯爵の支度金の倍額を提示してでも、婚姻の許可をもぎ取る様にと指示してある」
「そんな、倍額だなんて・・・・・・」
カーライル伯爵が提供した支度金はかなりの金額だと聞く。
私にそんな価値があるとは思えない。
血の気が引いた私に、ローレンス様は悪戯っぽく微笑む。
「俺に買われてくれるんだろ?
因みに、ルルーシアと縁を切らせる為の手切金も含んだ金額だから、そんなに高い買い物ではない」
いや充分高いでしょ!!
そんな私の困惑を他所に、男性二人は話を進めて行く。
「まあ、子爵は守銭奴だから、それで手を打つだろうな。
侯爵家からの要望には逆らい難いだろうし。
カーライル伯爵の方は?」
「そっちも手段は考えてある。
叩けば埃がわんさか出そうだから、問題ない」
「たった五日で、よく色々手配したな」
ダリルがローレンス様に、感心した様な視線を向ける。
「ああ、心配性の従兄弟殿に認めて貰わなきゃいけないからね」
「合格点だ」
何故そんな上から目線?
この二人はいつの間にこんなに仲良くなったのかしら。
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