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1 残酷な真実
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私の名前はリリアナ・ロイエンタール。
ロイエンタール公爵家の長女。
そして、この国の第二王子である、アルベルト殿下の婚約者だ。
貴族学院への入学を数日後に控えたある日の事。
その日の王子妃教育は、講師の先生の急用の為、予定より30分以上早く終了してしまった。
教育が終わった後には、アルベルト殿下と午後のお茶をするのが恒例だった。
ーーー早くアル様にお会いしたい。
もうすぐ一つ年上のアルベルト殿下と、一緒に学院に通う事が出来る様になる。
浮かれていた私は、早過ぎる時間にも関わらず、待ち切れなくて、つい第二王子宮へと足を向けてしまったのだ。
「アルベルトは、余程リリアナ嬢を愛しているのだね」
アルベルト殿下の執務室に近付いた時、細く開いた扉の中から、第一王子であるライナルト殿下の声が聞こえる。
自分の名前を耳にして、私の足はピタリと止まった。
この後私は、愛する彼の残酷な本音を聞くことになるのだ。
「愛してなどいませんよ。
あんなつまらない女、僕の好みではないですから。
〝有力貴族の娘だから妃にするのに丁度良い〟と、陛下に言われたので選んだだけです。
結婚には愛など必要ありません。
本当に愛する女は愛妾にでもすれば良いのです。
正妃にしようと思えば、要らぬ苦労をさせることになるでしょう?
大事な人には、厳しい〝王子妃教育〟などで、大変な思いはさせたく無いですから」
その瞬間、私の胸の奥は冷たく凍りついて、目の前が急に真っ暗になった。
気が付いたら、公爵邸の自室のベッドに倒れ込んでいた。
どうやって王子宮から帰って来たのか、全く覚えていない。
「お茶会をキャンセルする」と、誰か王子宮の使用人に告げてから帰って来ただろうか?
だけど・・・、何も伝えていなかったとしても仕方がないだろう。
その場で気を失わなかっただけでも、褒めてもらいたい位なのだから。
胸が潰れそうに痛くて、思うように息が出来ない。
悲しくて仕方ないのに、完璧な淑女を目指すべく教育を受けてきた私の瞳からは、どうしても涙が流れなかった。
ーーー泣く事も出来ないなんて。
流せない涙の分、苦しさが胸の中にどんどん降り積もって行くような気がして、叫び出したくなる衝動を必死で抑え込んだ。
『愛してなどいません』
彼の台詞が、何度も、何度も、頭の中に蘇る。
「こんな気持ちになるのならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」
一人きりの部屋で思わず漏らした呟きは、誰の耳にも入らずに消えた。
私は生粋の公爵令嬢だった。
家族は皆んな、私をとても大切にしたが、一方で、貴族としての生き方、責任を幼少の頃から厳しく教え込まれた。
両親の仲は良かったが、元々は政略結婚であったし、4歳離れたお兄様にも政略の意味がある婚約者がいる。
貴族の結婚とはそう言う物だ。
だから、私も将来政略結婚をするものだと思っていたし、それに不満も疑問も感じてはいなかった。
自分が恋をする事など、一生涯あり得無いのだと思っていた。
10歳の時、王宮で開かれたお茶会で、絵本の中から抜け出て来たような、美しくて優しい王子様に出会うまでは。
ロイエンタール公爵家の長女。
そして、この国の第二王子である、アルベルト殿下の婚約者だ。
貴族学院への入学を数日後に控えたある日の事。
その日の王子妃教育は、講師の先生の急用の為、予定より30分以上早く終了してしまった。
教育が終わった後には、アルベルト殿下と午後のお茶をするのが恒例だった。
ーーー早くアル様にお会いしたい。
もうすぐ一つ年上のアルベルト殿下と、一緒に学院に通う事が出来る様になる。
浮かれていた私は、早過ぎる時間にも関わらず、待ち切れなくて、つい第二王子宮へと足を向けてしまったのだ。
「アルベルトは、余程リリアナ嬢を愛しているのだね」
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自分の名前を耳にして、私の足はピタリと止まった。
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「愛してなどいませんよ。
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〝有力貴族の娘だから妃にするのに丁度良い〟と、陛下に言われたので選んだだけです。
結婚には愛など必要ありません。
本当に愛する女は愛妾にでもすれば良いのです。
正妃にしようと思えば、要らぬ苦労をさせることになるでしょう?
大事な人には、厳しい〝王子妃教育〟などで、大変な思いはさせたく無いですから」
その瞬間、私の胸の奥は冷たく凍りついて、目の前が急に真っ暗になった。
気が付いたら、公爵邸の自室のベッドに倒れ込んでいた。
どうやって王子宮から帰って来たのか、全く覚えていない。
「お茶会をキャンセルする」と、誰か王子宮の使用人に告げてから帰って来ただろうか?
だけど・・・、何も伝えていなかったとしても仕方がないだろう。
その場で気を失わなかっただけでも、褒めてもらいたい位なのだから。
胸が潰れそうに痛くて、思うように息が出来ない。
悲しくて仕方ないのに、完璧な淑女を目指すべく教育を受けてきた私の瞳からは、どうしても涙が流れなかった。
ーーー泣く事も出来ないなんて。
流せない涙の分、苦しさが胸の中にどんどん降り積もって行くような気がして、叫び出したくなる衝動を必死で抑え込んだ。
『愛してなどいません』
彼の台詞が、何度も、何度も、頭の中に蘇る。
「こんな気持ちになるのならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」
一人きりの部屋で思わず漏らした呟きは、誰の耳にも入らずに消えた。
私は生粋の公爵令嬢だった。
家族は皆んな、私をとても大切にしたが、一方で、貴族としての生き方、責任を幼少の頃から厳しく教え込まれた。
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だから、私も将来政略結婚をするものだと思っていたし、それに不満も疑問も感じてはいなかった。
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