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第八話 初仕事
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「ミシェルは、接客の経験は……?」
「さ、酒場のホールで、働いていた経験があります!」
「そうか……それなら、すぐにでも働けそうだな……うちの客層は、あまり良いものではないが……それでもいいか?」
「大丈夫です!」
お店の奥の小さな部屋へと案内されたあたしは、自己紹介をした後、イヴァンさんに少し怯えながらではあったけど、質問にはハキハキと答えていた。
実はあたし、大学に通っている時に、居酒屋で働いていた経験があるんだ。
社会勉強に繋がるし、勉強に支障は出ないようにするからと、ママにお願いしまくって、なんとか働かせてもらってたんだ。
まあ……現実から逃げるために始めたらハマってしまったソシャゲに課金がしたいという、なんともしょうもない理由だったけどね……。
「あの、即日採用と、住み込みが可能って聞いていたのですけど、本当なのですか?」
「ああ。あくまで希望するなら対応可能……ということだ」
「でしたら、ぜひそうしてくれると嬉しいです! あたし、この町に来たばかりで、働くところと住むところを探してたところでして!」
「あまり……綺麗な所ではないが……」
「雨風が凌げれば大丈夫です!」
これでも、前世ではなるべく出費を抑えるために、小さくて古いアパートに住んでいたから、割とどんな場所でも暮らせる自信はあったりするんだよね。
「なら……さっそく今日から頼む」
「採用ですか!? ありがとうございます!」
「仕事は……妻から聞いてくれ。俺は、厨房にいる」
「わかりました!」
やった、まさかこんなに早く住む場所と仕事先が見つかるなんて、凄くついてる! 一日でも早く、帰る方法を見つける環境を整えたかったから、嬉しいな!
「お、戻ってきたね。うちの旦那、怖かったかい?」
「そ……そんなことはありませんヨ?」
「あはは、あんたは嘘がへたっぴだねぇ!」
ホールに戻ってきたあたしを迎えてくれたリシューさんは、ゲラゲラと笑いながら、あたしの背中をバシバシと叩いた。
結構お歳は召しているように見えるけど、あたしなんかよりもパワフルな感じがして、とても好印象な人だなぁ。
「無事に採用してもらえたので、仕事を教えてもらってこいと言われました!」
「それはなによりだ! あたしゃ、最近腰が悪くなっちゃってね。だから、あんたのような若い子が来てくれるのは、本当に助かるよ」
「大丈夫ですか? あまり無理はされないでくださいね」
そっか、だからイヴァンさんは、即日採用で求人を出していたんだね。見た目は怖そうな人だけど、本当はリシューさん想いの優しい人だってことだろう。
見た目で人を判断しちゃダメってことだね。反省しなきゃ。
「ありがとね。それで、あんたにしてほしいのは、ホールでお客の注文を聞いて、旦那にそれを伝えること、料理の提供、そして空いた食器の片づけだ。最初は急がなくていいから、落ち付いて仕事をしておくれ」
「大丈夫です。これでも酒場で働いていたことがあるので!」
「なんだい、それを早く言っておくれよ! なら、早速その腕前を見せてもらおうかね!」
そう言うと、リシューさんはあたしにメモ帳とペンを手渡した。
「このメモに注文とテーブルの番号を書いて、厨房にいる旦那に渡しておくれ」
「わかりました」
「ほれ、丁度あそこに座っている男がいるだろう? 彼はアラン様っていうんだけど、うちが店を開いた時から通ってくれている常連でね。まずは彼に接客して、腕前を見せてもらおうじゃないか」
へぇ……あの綺麗な人って、そんなに前からこのお店に通ってる人なんだね。
そんな人を相手に、ミスをするわけにはいかない。接客は久しぶりだし、気合を入れなくちゃ!
「いらっしゃいませ! ご注文をお伺いしますね!」
「ティスティー牛のステーキとライスの小、あとエールを一つ」
「ティスティー牛のステーキ、ライスの小、エールですね! ありがとうございます!」
「……無事に採用されたんだな」
注文された品をメモ帳に書いていると、彼はボソッと呟きながら、視線だけあたしに向けた。
うわぁ……ただ呟いてこっちを見ただけなのに、綺麗すぎてドキドキしちゃうし、思わず溜息が出ちゃいそうなくらいだよ。
「はい! ちょうど人手不足だったみたいでして! ミシェルといいます! これからよろしくお願いしますね!」
「そうか……君は……」
「……?」
「いや、なんでもない。仕事の邪魔をしてすまなかった」
それだけ言うと、もうあたしと話すことはないのか、視線を窓の外へと向けた。
よ、横顔も凄く綺麗……見惚れちゃうっていうのは、こういう時のことを言うのかもしれない……こんな気持ち、初めてかも……はっ!? あたしってば、見惚れてる場合じゃないよ! 早くイヴァンさんに注文を渡しにいかないと!
「イヴァンさん、オーダー入りました!」
「ああ、わかった」
イヴァンさんにメモを渡したとほぼ同時に、チリンチリン――と音が聞こえてきた。
今の音は、誰かが来店した音だよね。早く出迎えに行かなくちゃ。
「いらっしゃいませー!」
「あれ、知らない子がいるぞ?」
「今日からここで働くことになった、ミシェルといいます!」
「元気そうな良い子じゃん! 店の中が華やかになるってもんだな!」
「なんだいあんたら! あたしだけじゃ華やかじゃないってのかい!?」
「そ、それは誤解ってもんよ女将さん!」
いかにも力仕事をしていますって風貌の三人の男性が、リシューさんと冗談交じりに笑い合う。
この人達も常連さんなのかな? なんか、こういうお店とお客さんで仲良さそうに話すのって、なんだか良いなぁ。
よーっし、あたしも常連さんに一日でも早く受け入れてもらえるように、頑張るぞっ!
「さ、酒場のホールで、働いていた経験があります!」
「そうか……それなら、すぐにでも働けそうだな……うちの客層は、あまり良いものではないが……それでもいいか?」
「大丈夫です!」
お店の奥の小さな部屋へと案内されたあたしは、自己紹介をした後、イヴァンさんに少し怯えながらではあったけど、質問にはハキハキと答えていた。
実はあたし、大学に通っている時に、居酒屋で働いていた経験があるんだ。
社会勉強に繋がるし、勉強に支障は出ないようにするからと、ママにお願いしまくって、なんとか働かせてもらってたんだ。
まあ……現実から逃げるために始めたらハマってしまったソシャゲに課金がしたいという、なんともしょうもない理由だったけどね……。
「あの、即日採用と、住み込みが可能って聞いていたのですけど、本当なのですか?」
「ああ。あくまで希望するなら対応可能……ということだ」
「でしたら、ぜひそうしてくれると嬉しいです! あたし、この町に来たばかりで、働くところと住むところを探してたところでして!」
「あまり……綺麗な所ではないが……」
「雨風が凌げれば大丈夫です!」
これでも、前世ではなるべく出費を抑えるために、小さくて古いアパートに住んでいたから、割とどんな場所でも暮らせる自信はあったりするんだよね。
「なら……さっそく今日から頼む」
「採用ですか!? ありがとうございます!」
「仕事は……妻から聞いてくれ。俺は、厨房にいる」
「わかりました!」
やった、まさかこんなに早く住む場所と仕事先が見つかるなんて、凄くついてる! 一日でも早く、帰る方法を見つける環境を整えたかったから、嬉しいな!
「お、戻ってきたね。うちの旦那、怖かったかい?」
「そ……そんなことはありませんヨ?」
「あはは、あんたは嘘がへたっぴだねぇ!」
ホールに戻ってきたあたしを迎えてくれたリシューさんは、ゲラゲラと笑いながら、あたしの背中をバシバシと叩いた。
結構お歳は召しているように見えるけど、あたしなんかよりもパワフルな感じがして、とても好印象な人だなぁ。
「無事に採用してもらえたので、仕事を教えてもらってこいと言われました!」
「それはなによりだ! あたしゃ、最近腰が悪くなっちゃってね。だから、あんたのような若い子が来てくれるのは、本当に助かるよ」
「大丈夫ですか? あまり無理はされないでくださいね」
そっか、だからイヴァンさんは、即日採用で求人を出していたんだね。見た目は怖そうな人だけど、本当はリシューさん想いの優しい人だってことだろう。
見た目で人を判断しちゃダメってことだね。反省しなきゃ。
「ありがとね。それで、あんたにしてほしいのは、ホールでお客の注文を聞いて、旦那にそれを伝えること、料理の提供、そして空いた食器の片づけだ。最初は急がなくていいから、落ち付いて仕事をしておくれ」
「大丈夫です。これでも酒場で働いていたことがあるので!」
「なんだい、それを早く言っておくれよ! なら、早速その腕前を見せてもらおうかね!」
そう言うと、リシューさんはあたしにメモ帳とペンを手渡した。
「このメモに注文とテーブルの番号を書いて、厨房にいる旦那に渡しておくれ」
「わかりました」
「ほれ、丁度あそこに座っている男がいるだろう? 彼はアラン様っていうんだけど、うちが店を開いた時から通ってくれている常連でね。まずは彼に接客して、腕前を見せてもらおうじゃないか」
へぇ……あの綺麗な人って、そんなに前からこのお店に通ってる人なんだね。
そんな人を相手に、ミスをするわけにはいかない。接客は久しぶりだし、気合を入れなくちゃ!
「いらっしゃいませ! ご注文をお伺いしますね!」
「ティスティー牛のステーキとライスの小、あとエールを一つ」
「ティスティー牛のステーキ、ライスの小、エールですね! ありがとうございます!」
「……無事に採用されたんだな」
注文された品をメモ帳に書いていると、彼はボソッと呟きながら、視線だけあたしに向けた。
うわぁ……ただ呟いてこっちを見ただけなのに、綺麗すぎてドキドキしちゃうし、思わず溜息が出ちゃいそうなくらいだよ。
「はい! ちょうど人手不足だったみたいでして! ミシェルといいます! これからよろしくお願いしますね!」
「そうか……君は……」
「……?」
「いや、なんでもない。仕事の邪魔をしてすまなかった」
それだけ言うと、もうあたしと話すことはないのか、視線を窓の外へと向けた。
よ、横顔も凄く綺麗……見惚れちゃうっていうのは、こういう時のことを言うのかもしれない……こんな気持ち、初めてかも……はっ!? あたしってば、見惚れてる場合じゃないよ! 早くイヴァンさんに注文を渡しにいかないと!
「イヴァンさん、オーダー入りました!」
「ああ、わかった」
イヴァンさんにメモを渡したとほぼ同時に、チリンチリン――と音が聞こえてきた。
今の音は、誰かが来店した音だよね。早く出迎えに行かなくちゃ。
「いらっしゃいませー!」
「あれ、知らない子がいるぞ?」
「今日からここで働くことになった、ミシェルといいます!」
「元気そうな良い子じゃん! 店の中が華やかになるってもんだな!」
「なんだいあんたら! あたしだけじゃ華やかじゃないってのかい!?」
「そ、それは誤解ってもんよ女将さん!」
いかにも力仕事をしていますって風貌の三人の男性が、リシューさんと冗談交じりに笑い合う。
この人達も常連さんなのかな? なんか、こういうお店とお客さんで仲良さそうに話すのって、なんだか良いなぁ。
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