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第二十二話 ハーフエルフの魔力
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「……お手伝いといっても、なにからすればいいですか?」
「君にしてほしいことは、俺が作った転移魔法の魔法陣に、エルフの魔力を流してほしい」
アラン様が手を床にかざすと、一筋の光が出現した。その光は規則正しく動いていき、綺麗な魔法陣を描いた。
転移魔法――その名の通り、その場から一瞬で移動する魔法なんだけど、一般的に普及している転移魔法は、正直使い勝手の良いものではない。
第一に、出発点と終着点に、同じ魔法陣を作らないと発動しない。つまり、転移先に行って魔法陣を作らないといけない。これでは準備に手間がかかるんだよね。しかも、有効距離が短い。
第二に、生物は送れないうえに、大きなものは送れない。生物を送ってしまうと、転移時の負担が大きすぎて、簡単に死んでしまう。
第三に、魔力消費量が膨大なことだ。アラン様みたいに、魔力が凄い人はいいけど、ほとんど魔力が無い人が使えば、発動に失敗して魔力を完全に失ってしまい、最悪死に至る。
多くの問題点を解決しつつ、元の世界に帰る方法も探すなんて、不可能じゃ……ううん、あたしが下向いてても意味ないよ。アラン様がやるっていってくれたんだから、あたしだってなんでもやってやる!
「一応の確認なんですけど、あたしってハーフだから、普通のエルフがやるよりも効果は薄いと思いますよ」
「だから良いんだ。純潔のエルフで成功しても、エルフしか使えないものになったら意味が無い。あくまで人間が使えるように出来る可能性がある、ハーフエルフが適任だ」
言われてみれば、確かにそうかも? もしそうなら、あたしのこの嫌いだった血も、誰かの役にたてられるね。
――実は、昔からあたしはこの血や魔力が、あまり好きじゃなかった。
幼い頃は、お母様から頂いた血に誇りを持ち、必ず家のために頑張ると決めていたけど、事情を知らない人からは、あまり良い目で見られなかった。
『みてよあの耳、気持ち悪いですわ』
『森の奥にいる変な連中の血が入ってるんでしょう? 襲われたりしない?』
『何か病原菌みたいなのもってるかもよ。近づかない方がいい』
こんなの、ほんの一握りの陰口だ。思い出したらキリがない。
でも、心が荒み始めた頃には、周りの目なんて気にしない、むしろ優秀なエルフの血を妬んでるだけだと思うことにして、自分の好きなように生きてきた。
今思うと、自分は危なくないと彼らにわかってもらうのを諦めて、投げやりになってただけだったんだって思う。
「ミシェル、頼む」
「わかりました」
先程出現した魔法陣に手をかざし、魔力を注入していく。すると、真っ白だった魔法陣が、紫色へと変化をし、点滅し始めた。
「もしかして、成功?」
「この反応は……下がれ!」
「えっ」
急に下がれと言われても、そんな器用な運動神経なんて、持ち合わせていない。
小さな声を漏らしている間に、目の前で小規模な爆発が起こり、白い光に包まれた。
部屋を壊すほどのものではないが、爆発元の近くにいたあたしは、たまったものじゃない。
うぅ……処刑されない代わりに、こんな形で死んじゃうなんて……やっぱり死ぬ運命からは逃れられないの……?
……でも、ちょっとまって。なんで死んでるのに、こんな悠長に頭の中で騒いでるんだろう? ひょっとして、死んでないんじゃない?
そう思い、目を開けてみると……魔法によって作られた障壁が、あたしの体をすっぽりと包み、爆発から守ってくれていた。
「怪我は無いか?」
「あ、はい! 大丈夫です! 本当に助かりました……やっぱりアラン様は、困った時に助けてくれる、優しくて頼れる王子様みたいな人ですね!」
「褒められるようなことはしていない」
そんなことはないと思うんだけどなぁ。現にアラン様がいなかったら、あたしは死んでたと思うよ。
「とにかく無事で何よりだ。それにしても……ハーフエルフの魔力が加わると、こういう変化をするのか……面白い。魔法の根幹を担う、魔法回路を組みなおしてみるか……ミシェルは少し休んでてくれ」
「え、もうですか?」
「良いサンプルが手に入ったから、少し集中したい。暇なら隙に本を読んでくれても構わない」
「わかりました。それじゃ、まずはこの本から読んでみようかな……」
手に取ったのは、中級の魔導書だった。
これくらいのレベルの本では、あたしが望む魔法は手に入らないだろうけど、基礎や応用を学んでこそ、凄いものが生み出せるはずだ。
……まあ、あんなことがあってからすぐに、集中して本を読むなんて、さすがに無理そうな気がするけど……あはは……。
「君にしてほしいことは、俺が作った転移魔法の魔法陣に、エルフの魔力を流してほしい」
アラン様が手を床にかざすと、一筋の光が出現した。その光は規則正しく動いていき、綺麗な魔法陣を描いた。
転移魔法――その名の通り、その場から一瞬で移動する魔法なんだけど、一般的に普及している転移魔法は、正直使い勝手の良いものではない。
第一に、出発点と終着点に、同じ魔法陣を作らないと発動しない。つまり、転移先に行って魔法陣を作らないといけない。これでは準備に手間がかかるんだよね。しかも、有効距離が短い。
第二に、生物は送れないうえに、大きなものは送れない。生物を送ってしまうと、転移時の負担が大きすぎて、簡単に死んでしまう。
第三に、魔力消費量が膨大なことだ。アラン様みたいに、魔力が凄い人はいいけど、ほとんど魔力が無い人が使えば、発動に失敗して魔力を完全に失ってしまい、最悪死に至る。
多くの問題点を解決しつつ、元の世界に帰る方法も探すなんて、不可能じゃ……ううん、あたしが下向いてても意味ないよ。アラン様がやるっていってくれたんだから、あたしだってなんでもやってやる!
「一応の確認なんですけど、あたしってハーフだから、普通のエルフがやるよりも効果は薄いと思いますよ」
「だから良いんだ。純潔のエルフで成功しても、エルフしか使えないものになったら意味が無い。あくまで人間が使えるように出来る可能性がある、ハーフエルフが適任だ」
言われてみれば、確かにそうかも? もしそうなら、あたしのこの嫌いだった血も、誰かの役にたてられるね。
――実は、昔からあたしはこの血や魔力が、あまり好きじゃなかった。
幼い頃は、お母様から頂いた血に誇りを持ち、必ず家のために頑張ると決めていたけど、事情を知らない人からは、あまり良い目で見られなかった。
『みてよあの耳、気持ち悪いですわ』
『森の奥にいる変な連中の血が入ってるんでしょう? 襲われたりしない?』
『何か病原菌みたいなのもってるかもよ。近づかない方がいい』
こんなの、ほんの一握りの陰口だ。思い出したらキリがない。
でも、心が荒み始めた頃には、周りの目なんて気にしない、むしろ優秀なエルフの血を妬んでるだけだと思うことにして、自分の好きなように生きてきた。
今思うと、自分は危なくないと彼らにわかってもらうのを諦めて、投げやりになってただけだったんだって思う。
「ミシェル、頼む」
「わかりました」
先程出現した魔法陣に手をかざし、魔力を注入していく。すると、真っ白だった魔法陣が、紫色へと変化をし、点滅し始めた。
「もしかして、成功?」
「この反応は……下がれ!」
「えっ」
急に下がれと言われても、そんな器用な運動神経なんて、持ち合わせていない。
小さな声を漏らしている間に、目の前で小規模な爆発が起こり、白い光に包まれた。
部屋を壊すほどのものではないが、爆発元の近くにいたあたしは、たまったものじゃない。
うぅ……処刑されない代わりに、こんな形で死んじゃうなんて……やっぱり死ぬ運命からは逃れられないの……?
……でも、ちょっとまって。なんで死んでるのに、こんな悠長に頭の中で騒いでるんだろう? ひょっとして、死んでないんじゃない?
そう思い、目を開けてみると……魔法によって作られた障壁が、あたしの体をすっぽりと包み、爆発から守ってくれていた。
「怪我は無いか?」
「あ、はい! 大丈夫です! 本当に助かりました……やっぱりアラン様は、困った時に助けてくれる、優しくて頼れる王子様みたいな人ですね!」
「褒められるようなことはしていない」
そんなことはないと思うんだけどなぁ。現にアラン様がいなかったら、あたしは死んでたと思うよ。
「とにかく無事で何よりだ。それにしても……ハーフエルフの魔力が加わると、こういう変化をするのか……面白い。魔法の根幹を担う、魔法回路を組みなおしてみるか……ミシェルは少し休んでてくれ」
「え、もうですか?」
「良いサンプルが手に入ったから、少し集中したい。暇なら隙に本を読んでくれても構わない」
「わかりました。それじゃ、まずはこの本から読んでみようかな……」
手に取ったのは、中級の魔導書だった。
これくらいのレベルの本では、あたしが望む魔法は手に入らないだろうけど、基礎や応用を学んでこそ、凄いものが生み出せるはずだ。
……まあ、あんなことがあってからすぐに、集中して本を読むなんて、さすがに無理そうな気がするけど……あはは……。
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