20 / 75
第二十話 頬へのキス!?
しおりを挟む
「あ、あわわわわ……」
後ろから、リズの慌てた声が聞こえてきているような気がするが、それを気にしている余裕はない。だって、頬とはいえ、異性に初めてキスをされたんだ。平静でいろという方が無理な話だ。
なんとかして、落ち着かないといけないのに、心臓のバクバクが一向に収まる気配がない。顔どころか体中が熱くて、汗も止まらない。
「おや、二人共そんなに顔を赤くして、どうしたんだい? これくらい、普通の挨拶だろう? それに、僕達は結婚するのだし、何も問題はない」
「……き、キスされた……ほっぺに……男性に、キスされた……」
「セリア様? 大丈夫かい?」
「はっ…………え、ええ」
全然大丈夫じゃないわよ! 誰のせいで、こんなにドキドキしていると思っているの!? やっぱり、この方は私の復讐相手だわ! 今回のことも含めて、絶対に痛い目に合わせてやるんだからっ!
「王族ってすごい……あっ! あの、その……申し遅れました! り、りり、リズです! よろしくお願いします、アルフレッド王子!」
「よろしくね、リズ嬢」
今度は頬ではなく、手の甲にキスをされたリズは、色々と限界になったのか、頭から煙を出してしまっている。
リズにはそうするなら、私の時もしなさいよ! そうすれば、こんなに必死に冷静になる必要はなかったのに!
「立ち話もなんだから、座って話そうか」
アルフレッド様は私達のために椅子を引いてくれたり、部屋の温度は大丈夫かと聞いてくれたりと、丁寧で優しい対応をしてくれた。
「今日は君達のために、おいしい茶葉と菓子を手に入れたんだ。気に入ってもらえると嬉しいな」
屈託のない笑顔はとても眩しく、なによりもとても魅力的に見える。私がもし彼に処刑される未来を知っていなかったり、戦争なんてしていなかったら、おそらく一瞬で惚れてしまってもおかしくないくらい、アルフレッド様の笑顔は素敵だ。
……って、私ったら、なに浮ついたことを考えているの!? 優しそうな笑顔に、騙されちゃダメ! 相手は復讐相手! お母様を奪った戦争を起こした、ソリアン国の王家……!
「ところで、おでこは大丈夫だったかい?」
「あ、ええ……その節は、情けない姿をお見せしてしまい、大変申し訳ございませんでした。それと、素敵なお見舞いを贈ってくださり、ありがとうございました」
「どういたしまして。あの花、僕の好きな花なんだけど、気に入ってくれたかな?」
「はい、とても」
本当は、あの花もこのお城に持ってきたかったのだが、残念なことに既に枯れてしまっている。
「そうだ、お見舞いの件について、君に謝罪をしなければならない」
「えっ? 謝罪、ですか?」
「あの時は、君のおでこのことを気にして薬を贈ったが、もっと沢山送っておけばよかったと思ってね。今もだろうけど……君、体のあちこちを痛めているだろう?」
「っ……!?」
どうして、アルフレッド様が私の怪我のことを知っているの? 外からは気づかれないように、肌が出ないドレスを着ているし、動きにも出さないようにしていたのに。
「セリア様、怪我をしていたんですか!?」
「え、ええ……アルフレッド様、どうしてそれをご存じなのですか?」
「動きを見ていればわかるさ。あの時も今も、若干動きがぎこちないし、時々一瞬顔が歪んでいる。それが、僕には痛みを隠しているように見えたのさ。まあ、随分と誤魔化しているようだから、普通の人は見ても気づかない程度のものだろうけどね」
なんて観察眼だ。ずっと一緒に過ごしていた家族や、お城の人でも気づかないようなものを、あんな一瞬で見抜いてしまうだなんて。
やはり、この人は油断できない。警戒しておくに越したことは無さそうだ。
「念の為に、色々な薬と肌に刺激が少ない服を用意しておいた。もうすぐ湯浴みの準備ができるから、その後に適切に処置させよう」
「お話中に失礼します。お茶のご用意できました」
「ありがとう。さあどうぞ、めしあがれ」
応接室でお茶の準備をしていた女性から、お花の良い香りがする紅茶と、色とりどりのクッキーを出してもらった。
こんな素敵なもの、ずっと虐げられてきた私が食べたことなんて、あるわけもなく……思わず、ごくりと喉を鳴らした。
相手はソリアン国の王家。このお茶とクッキーに、何が混ぜられているかわからないのだから、迂闊に手を出してはいけない……それはわかっているのに、おいしそうな見た目と匂いに勝てず、手が伸びてしまった。
「では、お言葉に甘えて。いただきます……」
紅茶をゆっくりと口に含む。爽やかなお花の香りがスッと鼻を抜けていく。
クッキーもサクサクで、バターの風味が口の中に優しく広がっていく。甘さが控えめだからか、いくらでも食べられそうだ。
「お、おいひぃ……! おいひぃれふぅ……! こんなおいひいの、うまれへはひめへれふぅ……!」
「もう、リズ。はしたないですわよ。食べるか喋るか、どっちかになさい」
幸せの絶頂と言わんばかりに堪能するリズの様子に、思わずクスクスと笑っていたが、実は私もおいしさに感動していた。少しでも気を抜いたら、涙が溢れ出てしまいそうだ。
なにせ私は、生まれてこの方、まともな食事を食べたことがない。家族が豪華な食事を食べているのを眺めながら、硬くなったパンや、野菜クズしか入っていないスープばかりだった。
「素直なのはいいことさ。たくさん用意してあるから、遠慮なく食べてほしい。あっ、でもあんまり食べ過ぎると、夕食に響くかもしれないから、そこは各自気をつけてね。あははっ」
そ、そんな笑顔で明るく振舞っても、私は絶対に騙されない。騙されないんだから……!
「アルフレッド様。お話中に申し訳ございません。国王様がお呼びです」
「父上が? わかった、すぐに向かうと伝えてくれ。申し訳ない、お二方。僕は少々席を外すから、ゆっくり過ごしてくれ。では、また後で」
よほど急ぎの用事なのだろうか。アルフレッド様は、急いで部屋を後にしていく。
はぁ、なんだか長旅とは比較にならないくらい、どっと疲れてしまった。今のうちに、ゆっくり休んでおこう。
「わたしも、ここでゆっくりしていていいのでしょうか?」
「何も言われておりませんし、よろしいのではなく?」
「うーん……いや、わたしはセリア様のお友達ですが、一緒に来た使用人でもあるのですから、お仕事はちゃんとしませんと! 近くにいる人に、どうすればいいか聞いてきますね! あ、何かあったら呼んでください! わたし、三秒で駆け付けますから!」
リズは、引き止める前に颯爽と部屋を出ていってしまった。
仕事熱心なのはとても良いことだけど……せっかくゆっくり出来るのだから、もう少しお喋りがしたかったわね……残念……。
後ろから、リズの慌てた声が聞こえてきているような気がするが、それを気にしている余裕はない。だって、頬とはいえ、異性に初めてキスをされたんだ。平静でいろという方が無理な話だ。
なんとかして、落ち着かないといけないのに、心臓のバクバクが一向に収まる気配がない。顔どころか体中が熱くて、汗も止まらない。
「おや、二人共そんなに顔を赤くして、どうしたんだい? これくらい、普通の挨拶だろう? それに、僕達は結婚するのだし、何も問題はない」
「……き、キスされた……ほっぺに……男性に、キスされた……」
「セリア様? 大丈夫かい?」
「はっ…………え、ええ」
全然大丈夫じゃないわよ! 誰のせいで、こんなにドキドキしていると思っているの!? やっぱり、この方は私の復讐相手だわ! 今回のことも含めて、絶対に痛い目に合わせてやるんだからっ!
「王族ってすごい……あっ! あの、その……申し遅れました! り、りり、リズです! よろしくお願いします、アルフレッド王子!」
「よろしくね、リズ嬢」
今度は頬ではなく、手の甲にキスをされたリズは、色々と限界になったのか、頭から煙を出してしまっている。
リズにはそうするなら、私の時もしなさいよ! そうすれば、こんなに必死に冷静になる必要はなかったのに!
「立ち話もなんだから、座って話そうか」
アルフレッド様は私達のために椅子を引いてくれたり、部屋の温度は大丈夫かと聞いてくれたりと、丁寧で優しい対応をしてくれた。
「今日は君達のために、おいしい茶葉と菓子を手に入れたんだ。気に入ってもらえると嬉しいな」
屈託のない笑顔はとても眩しく、なによりもとても魅力的に見える。私がもし彼に処刑される未来を知っていなかったり、戦争なんてしていなかったら、おそらく一瞬で惚れてしまってもおかしくないくらい、アルフレッド様の笑顔は素敵だ。
……って、私ったら、なに浮ついたことを考えているの!? 優しそうな笑顔に、騙されちゃダメ! 相手は復讐相手! お母様を奪った戦争を起こした、ソリアン国の王家……!
「ところで、おでこは大丈夫だったかい?」
「あ、ええ……その節は、情けない姿をお見せしてしまい、大変申し訳ございませんでした。それと、素敵なお見舞いを贈ってくださり、ありがとうございました」
「どういたしまして。あの花、僕の好きな花なんだけど、気に入ってくれたかな?」
「はい、とても」
本当は、あの花もこのお城に持ってきたかったのだが、残念なことに既に枯れてしまっている。
「そうだ、お見舞いの件について、君に謝罪をしなければならない」
「えっ? 謝罪、ですか?」
「あの時は、君のおでこのことを気にして薬を贈ったが、もっと沢山送っておけばよかったと思ってね。今もだろうけど……君、体のあちこちを痛めているだろう?」
「っ……!?」
どうして、アルフレッド様が私の怪我のことを知っているの? 外からは気づかれないように、肌が出ないドレスを着ているし、動きにも出さないようにしていたのに。
「セリア様、怪我をしていたんですか!?」
「え、ええ……アルフレッド様、どうしてそれをご存じなのですか?」
「動きを見ていればわかるさ。あの時も今も、若干動きがぎこちないし、時々一瞬顔が歪んでいる。それが、僕には痛みを隠しているように見えたのさ。まあ、随分と誤魔化しているようだから、普通の人は見ても気づかない程度のものだろうけどね」
なんて観察眼だ。ずっと一緒に過ごしていた家族や、お城の人でも気づかないようなものを、あんな一瞬で見抜いてしまうだなんて。
やはり、この人は油断できない。警戒しておくに越したことは無さそうだ。
「念の為に、色々な薬と肌に刺激が少ない服を用意しておいた。もうすぐ湯浴みの準備ができるから、その後に適切に処置させよう」
「お話中に失礼します。お茶のご用意できました」
「ありがとう。さあどうぞ、めしあがれ」
応接室でお茶の準備をしていた女性から、お花の良い香りがする紅茶と、色とりどりのクッキーを出してもらった。
こんな素敵なもの、ずっと虐げられてきた私が食べたことなんて、あるわけもなく……思わず、ごくりと喉を鳴らした。
相手はソリアン国の王家。このお茶とクッキーに、何が混ぜられているかわからないのだから、迂闊に手を出してはいけない……それはわかっているのに、おいしそうな見た目と匂いに勝てず、手が伸びてしまった。
「では、お言葉に甘えて。いただきます……」
紅茶をゆっくりと口に含む。爽やかなお花の香りがスッと鼻を抜けていく。
クッキーもサクサクで、バターの風味が口の中に優しく広がっていく。甘さが控えめだからか、いくらでも食べられそうだ。
「お、おいひぃ……! おいひぃれふぅ……! こんなおいひいの、うまれへはひめへれふぅ……!」
「もう、リズ。はしたないですわよ。食べるか喋るか、どっちかになさい」
幸せの絶頂と言わんばかりに堪能するリズの様子に、思わずクスクスと笑っていたが、実は私もおいしさに感動していた。少しでも気を抜いたら、涙が溢れ出てしまいそうだ。
なにせ私は、生まれてこの方、まともな食事を食べたことがない。家族が豪華な食事を食べているのを眺めながら、硬くなったパンや、野菜クズしか入っていないスープばかりだった。
「素直なのはいいことさ。たくさん用意してあるから、遠慮なく食べてほしい。あっ、でもあんまり食べ過ぎると、夕食に響くかもしれないから、そこは各自気をつけてね。あははっ」
そ、そんな笑顔で明るく振舞っても、私は絶対に騙されない。騙されないんだから……!
「アルフレッド様。お話中に申し訳ございません。国王様がお呼びです」
「父上が? わかった、すぐに向かうと伝えてくれ。申し訳ない、お二方。僕は少々席を外すから、ゆっくり過ごしてくれ。では、また後で」
よほど急ぎの用事なのだろうか。アルフレッド様は、急いで部屋を後にしていく。
はぁ、なんだか長旅とは比較にならないくらい、どっと疲れてしまった。今のうちに、ゆっくり休んでおこう。
「わたしも、ここでゆっくりしていていいのでしょうか?」
「何も言われておりませんし、よろしいのではなく?」
「うーん……いや、わたしはセリア様のお友達ですが、一緒に来た使用人でもあるのですから、お仕事はちゃんとしませんと! 近くにいる人に、どうすればいいか聞いてきますね! あ、何かあったら呼んでください! わたし、三秒で駆け付けますから!」
リズは、引き止める前に颯爽と部屋を出ていってしまった。
仕事熱心なのはとても良いことだけど……せっかくゆっくり出来るのだから、もう少しお喋りがしたかったわね……残念……。
232
あなたにおすすめの小説
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし
さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。
だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。
魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。
変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。
二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。
義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!
ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。
貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。
実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。
嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。
そして告げられたのは。
「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」
理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。
…はずだったが。
「やった!自由だ!」
夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。
これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが…
これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。
生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。
縁を切ったはずが…
「生活費を負担してちょうだい」
「可愛い妹の為でしょ?」
手のひらを返すのだった。
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる