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転生王女の思案
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決意したものの、いきなり王女が厨房に行ったところで何もできないことは分かっている。
父様を説得するにも、ちゃんとした結果を示さないと、あの人は絶対うなづかない。
しかし結果を示すには、何かをやらないといけない。
私は堂々巡りに陥っていた。
温かい食事が取れないのは、毒味が必要だから。
なら、毒味が要らなければ温かいまま食べることができる。
毒味が不要となるのは、信用のなる人間が作ること。
そこまではいいのだが、どれだけ信用足る人間が作ったとしても、毒味の必要がなくなることはない。
第一、王宮の料理人が信用されてないわけがない。厳選な審査の上で採用された人達だ。
だけど、そんな人達だって、悪意を持つ人間に、もし自分の大切な人を人質にとられたら?
家族である私が作ったとしても、それは100%安全ではないのだ。
私が、陛下を、兄を姉を、蹴落とそうとしていたら?
私はそんなこと考えるつもりはないけど、他から見たら可能性がゼロではない、ということなのだ。
あー、これは前途多難だわ。
厨房の片隅で、生地を型で抜き取りながら、私は頭を悩ませていた。
何してるかって?
転生してから、毒味の必要があるから、食べたいお菓子を頼むのも中々面倒だった。
それなら、自分が食べるのなら毒味もいらないかということで、厨房を借りて、お菓子作りをしているのだ。
元々、お菓子作りが趣味だったのもあって、考え事がある時は、お菓子作りが一番。
ちなみに、料理は得意ではない。レシピ見ながらなら作れるけど、見ずに作れるのは簡単なものだけだ。
「姫様、焼きあがりましたよ」
料理長が、焼き上がったクッキーを籠へと移してくれる。
最初は、私が訪れたことに戦々恐々し、遠巻きで見ていた料理人たちも、回を重ねるごとに慣れてきたのか、今では私がいても、それぞれの仕事に集中している。
ただ、オーブンを使う為か、料理長だけは常に私の側にいて、道具の準備や片付けをしてくれていた。
・・・料理長のすることではないわ。
確かに、初日オープンの蓋の重さにびっくりしたけど。天板の重さにフラフラもしたけど。
どうしてこうなったの?片付けとか見習いの人で良くない?
「こちらのクッキーは、焼き上がったら皆様で召し上がって下さいね」
型抜きが終わった生地を天板に並べ、料理長に託す。
ありがとうございますと、あちこちから声がかけられた。
私はクッキーが入った籠を提げると、厨房を後にした。
厨房の入口を出たところで、後ろから伸びてきた手に籠を奪われる。
「ローズマリー様、お持ちします」
「あら、レナード。ルヒトお兄様は?」
「殿下は、カイル殿下と手合わせをしてらっしゃいますよ」
レナードは、ルヒトお兄様付きの護衛騎士だ。短く刈られたダークブラウンの髪に、切れ長の同色の瞳。お兄様と同じ19歳だ。
へぇ。鍛錬中か。
レナードがルヒトお兄様の側を離れることなんかほとんどないけど、カイルお兄様の護衛騎士がいるから、任せたってことかしらね。
ん?にしても、なんでここに来たの?
疑問に感じて振り返る。
數歩あとをついて来るレナードが、ジッと私を見ていた。
え・・・と、何故そんなに見てるの?
「レナード、私の顔に何か付いていますか?」
「・・・・・・いえ」
そうですか。付いてませんか。なら、何故ジッと見ているのですか?
そう聞きたいが、聞いてはいけないと前世の自分が言っている。
なんか、ぞわぞわする。いかん。これはこれ以上考えない方がいい。
「お兄様たちのところへ行きます」
私は、レナードから視線を外すと、鍛錬を行なっているという中庭へと歩き出した。
父様を説得するにも、ちゃんとした結果を示さないと、あの人は絶対うなづかない。
しかし結果を示すには、何かをやらないといけない。
私は堂々巡りに陥っていた。
温かい食事が取れないのは、毒味が必要だから。
なら、毒味が要らなければ温かいまま食べることができる。
毒味が不要となるのは、信用のなる人間が作ること。
そこまではいいのだが、どれだけ信用足る人間が作ったとしても、毒味の必要がなくなることはない。
第一、王宮の料理人が信用されてないわけがない。厳選な審査の上で採用された人達だ。
だけど、そんな人達だって、悪意を持つ人間に、もし自分の大切な人を人質にとられたら?
家族である私が作ったとしても、それは100%安全ではないのだ。
私が、陛下を、兄を姉を、蹴落とそうとしていたら?
私はそんなこと考えるつもりはないけど、他から見たら可能性がゼロではない、ということなのだ。
あー、これは前途多難だわ。
厨房の片隅で、生地を型で抜き取りながら、私は頭を悩ませていた。
何してるかって?
転生してから、毒味の必要があるから、食べたいお菓子を頼むのも中々面倒だった。
それなら、自分が食べるのなら毒味もいらないかということで、厨房を借りて、お菓子作りをしているのだ。
元々、お菓子作りが趣味だったのもあって、考え事がある時は、お菓子作りが一番。
ちなみに、料理は得意ではない。レシピ見ながらなら作れるけど、見ずに作れるのは簡単なものだけだ。
「姫様、焼きあがりましたよ」
料理長が、焼き上がったクッキーを籠へと移してくれる。
最初は、私が訪れたことに戦々恐々し、遠巻きで見ていた料理人たちも、回を重ねるごとに慣れてきたのか、今では私がいても、それぞれの仕事に集中している。
ただ、オーブンを使う為か、料理長だけは常に私の側にいて、道具の準備や片付けをしてくれていた。
・・・料理長のすることではないわ。
確かに、初日オープンの蓋の重さにびっくりしたけど。天板の重さにフラフラもしたけど。
どうしてこうなったの?片付けとか見習いの人で良くない?
「こちらのクッキーは、焼き上がったら皆様で召し上がって下さいね」
型抜きが終わった生地を天板に並べ、料理長に託す。
ありがとうございますと、あちこちから声がかけられた。
私はクッキーが入った籠を提げると、厨房を後にした。
厨房の入口を出たところで、後ろから伸びてきた手に籠を奪われる。
「ローズマリー様、お持ちします」
「あら、レナード。ルヒトお兄様は?」
「殿下は、カイル殿下と手合わせをしてらっしゃいますよ」
レナードは、ルヒトお兄様付きの護衛騎士だ。短く刈られたダークブラウンの髪に、切れ長の同色の瞳。お兄様と同じ19歳だ。
へぇ。鍛錬中か。
レナードがルヒトお兄様の側を離れることなんかほとんどないけど、カイルお兄様の護衛騎士がいるから、任せたってことかしらね。
ん?にしても、なんでここに来たの?
疑問に感じて振り返る。
數歩あとをついて来るレナードが、ジッと私を見ていた。
え・・・と、何故そんなに見てるの?
「レナード、私の顔に何か付いていますか?」
「・・・・・・いえ」
そうですか。付いてませんか。なら、何故ジッと見ているのですか?
そう聞きたいが、聞いてはいけないと前世の自分が言っている。
なんか、ぞわぞわする。いかん。これはこれ以上考えない方がいい。
「お兄様たちのところへ行きます」
私は、レナードから視線を外すと、鍛錬を行なっているという中庭へと歩き出した。
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