魔王様は転生王女を溺愛したい

みおな

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転生王女の作戦2

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「ローズマリー様っ!!」

 部屋に入った途端、ビビアン様がソファーから立ち上がると、私に駆け寄ってくる。

 ビビアン様は私より少し背が高くて、だから抱きしめられると私の顔は、そのふくよかなお胸に埋まってしまう。

「む・・・ぅ、び、ビビアン様、苦しいですわ」

 苦しくて・・・羨ましいわ。さすがに12歳の時よりは育ったけれど、私の胸はささやかで、前世の麻里の時も似たようなものだったから、これ以上は育ちそうにないのよね・・・

「あ、ごめんなさい。大丈夫ですか?ローズマリー様」

「ええ。ビビアン様、ご心配をおかけしましたわ」

 腕を緩めてくれたビビアン様に、にっこりと微笑みかける。
 本当に、この方は素敵なご令嬢だわ。高位貴族であることを驕るでもなく、その責務を果たし、見目麗しく、人間である私を見下したりしない心の持ち主。

 こんな方が、ずっと私の側にいてくれたらいいのに。

「私が、お茶会など開いたことで、ローズマリー様を危険な目に合わせてしまいましたわ。申し訳ございません」

「まぁ!ビビアン様、私はそんなこと思っておりませんわ。あのお茶会に招かれたからこそ、ビビアン様とこうして仲良くなれたのですもの」

 ビビアン様が私の言葉に、目をウルウルさせている。ああ、本当に可愛らしい方。



「は?なんですか、いきなり」

 我が魔王陛下の言葉に、私は思わず聞き返した。
 執務室の机に頬杖をついたまま、アルフレッド様は私をジッと見ている。

「だから、フレイには誰か想う相手がいるのかと聞いている」

「何故、いきなり縁談を勧める親戚のようになっているのです?さては、ローズマリー様ですね?」

 我が魔王陛下は、ローズマリー様にしか興味がない。私の色恋を気にかけるなど、あの姫君に何か言われない限りあり得ない。
 しかし、あの姫君も、そんなお節介なことをしそうなタイプではないんですがね。

「それで、私に誰を勧めようと言うのですか?」

「ジュネール嬢だ」

「ビビアン・ジュネール様はまだ100歳に満たないでしょう。私とは年が離れすぎているのではないですか」

 確か彼女は、まだ90歳ほどだったはず。ジュネール家はケルベロスの家系だ。彼女も、魔王陛下や自分には劣るものの、他の魔族よりは長い時を生きるだろう。
 
 フェンリルの家系の自分と身分的にも問題はないが、やはり若すぎるだろう。

「フレイが望まないのなら、僕がどうこう言うことはできないけれど、1回だけでも会うことはできないか?」

「随分とお気に召されたのですね」

「ローゼが、えらく気に入っている。できることなら、フレイと共に僕たちと一緒にいて欲しい」

 なるほど。さすがに公爵家のご令嬢を、ローズマリー様付きのメイドにするわけにはいかないですが、宰相の妻として王宮に住まえば、ローズマリー様の近くにいることが可能ですね。

 やれやれ。やはり我が魔王陛下の世界は、ローズマリー様を中心に回っているようですね。
 しかし、あれほど陛下が不安視していた最終形態を、受け入れてくれたご寵姫の願いというのなら、私も受け入れるべきでしょう。

「わかりました。お会いしましょう」



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