嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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ノブレス・オブリージュ

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 ハデス様のご両親とお話する前に、ハデス様の弟さんのゼウス様とお会いした。

 容姿はハデス様と似てらっしゃるけど、雰囲気が全く違うのね。

 ハデス様はなんていうか・・・
細身でいらっしゃるけど、痩せているというのとは違って・・・騎士のような、こう、シュッとした感じなのよ。

 でも、弟さんはまだ十四歳だからなのか、騎士というよりはキレる文官というイメージね。

 とても利発そうだし、しっかりなさっている感じだわ。

 私なんか、言い負かされてしまいそう。

「そうですか。陛下がお認めになられたのですね」

 弟さん・・・ゼウス様が進言した案は、陛下に受け入れていただけたのだとか。

 ウェルズ公爵の従弟にあたるチェルシー伯爵を公爵に。

 そして、ご子息のセニョン様を次期公爵とされる。

 領地などは、ウェルズ公爵家のものをそのままチェルシーが管理。

 チェルシー伯爵領は、新たなが管理することになる。

 そして、ハデス様とゼウス様のご両親は・・・

「父は船着場の下働き、母は娼館の下働きとなります。もちろん、平民として」

「・・・そう、ですか」

 十三歳のハデス様を無一文で放り出したのだから虐待ととられるけど、お金を使わなかったのは意思だったのに、そこまでの罪に問えるのかしら?

「父は出て行く兄に、一応お金は出しましたが。そして、どこででも野垂れ死ねと言い捨てました。当時の兄は十三歳です。本来なら、留学にも誰か侍従をつける必要があります。親としての義務放棄の罪を問えます」

 マデリーン王国では、十五歳未満の子息令嬢の行いに関して、親が責任を負うという法がある。

 たとえば、ハデス様の留学は十三歳だったから、ご両親はハデス様に護衛兼お世話をするものを付けなければならないし、定期的に様子を伺う義務がある。

 私の場合は十五歳だったので、これが適用されない。

 まぁ、私にはお姉様が付いてきて下さったし、お世話になったのはお兄様のご実家だったけど。

 つまり陛下は、保護責任を果たさなかったことで、爵位剥奪をするということなのね。

 それでも降爵でなく爵位剥奪になるのは、とても厳しいわ。

「降爵ではなく、爵位剥奪ですの?」

「父は、公爵としての仕事はキチンとしていると思っていました。実際、王都での仕事はしていましたが、お祖父様たちが亡くなってからは領地管理は領地に置いている家令任せで、ほとんど出向いてもいません。それに、母も貴族としての責務の慈善事業にもお祖母様が亡くなってからはお金を出すだけで・・・」

 ああ。それは駄目だわ。
爵位を継ぐ者には継ぐだけの義務が生じるのよ。

 それがノブレス・オブリージュなんだから。
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