嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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皇帝陛下の悩み

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「はぁ。アレとハデスが逆だったら、こんな思いはしなかったのにな」

 陛下が大きなため息と共に、そんなことを言われた。

 あら?どういうこと?
何か問題のあるお子様がいらっしゃるということ?

 でも末子の王子殿下は、他国の王配にできるほど優秀なのよね?

 視線でハデス様に尋ねてみる。

 ハデス様はご存知なのか、ハァと息を吐かれた。

何かやったのか?」

「今度は、他国の令嬢を留学させろと言い出した。次男アレ長男とお前にコンプレックスを抱いているからな」

 話の見えない私に、皇妃様が説明してくれた。

 皇帝陛下と皇妃様の間には、五人の王子殿下がいる。

 長男がハデス様と同い年のセイン様。
皇帝陛下に良く似た美丈夫で、細かいことにこだわらない豪胆な性格の方だそう。

 次男のサリュ様は二歳年下で、こちらも陛下似なのだけど、少々神経質なタイプなのですって。

 三男のジーク様と四男のソルト様は、皇妃様似で、明るく天真爛漫というかイタズラ好きなのだそう。性格は陛下似ということね。

 五男のスオン様は、容姿は皇妃様似だそうだけど、冷静沈着というか冷酷というか、最も方だとか。

 前皇帝陛下がそういうタイプだったそうよ。

 一番皇帝陛下に相応しい方を他国に出すことにしたのは、年齢のこともあるけど、ご本人が「行く」と言われたから。

 ご長男のセイン様は優秀な方だけど、スオン様を推される貴族もいるのだとか。

 ちゃんとした後継がいるのに、そのことで揉めるのをスオン様はヨシとされなかった。

 本当に十三歳かしら。
今まで会った、どの王太子殿下よりもしっかりされているわ。

 で、その次男のサリュ様が、セイン様とハデス様にコンプレックスを抱いている、と。

 大雑把というわけではなく、豪胆で物事を広い目で見ることができるセイン様。

 優秀で、皇帝陛下のなハデス様。

 物事に細かすぎる性格で、色々なことをキチンと型にはめていかなければ落ち着かないタイプのサリュ様。

 なんとなく、サリュ様のお気持ちが分かる気がした。

 うちもお姉様がとても優秀だもの。

 王妃様の好みではなかったかもしれないけど、お姉様がシリウス殿下の婚約者だったなら、あんな風な扱いは受けなかったかもしれないわ。

 いいえ、受けてもお姉様なら我慢したりしなかったはず。

 きっとサリュ様は、お兄様のように自分がもどかしいんだわ。

 だから、色んなことを言ったりしたりして、自分を変えようとしているんじゃないかしら。

 悪い方ではないと思うの。
だって、困った風でありながら皇帝陛下も皇妃様も、サリュ様を大事と思っているのが理解るもの。
 

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