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第20話
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マグエルはロートレック侯爵に引きずられるようにして馬車に押し込まれた。
結局、まともな会話は成立せずだったが、フォレスト王国に行けば嫌でも自分の愚かさを教え込まれるだろう。
出発はエリンとの兼ね合いがあるので、ノクスが伯爵家に話してから決めることとなった。
フォレスト王国のビスクランド家にも連絡しなければならないが、そこは魔道具の出番である。
フォレスト王国は魔法王国と呼ばれるほどで、魔道具の開発も盛んなのだ。
アシュタル王国は、魔法が使える者はほとんどいないが、セラフィム子爵家が魔道具を扱っているので、生活に根付いている。
マグエルとロートレック侯爵が去り、ネーヴェ伯爵家に向かうためにノクスが出かけることとなった。
(帰らないのかしら?)
チラリとラギトを見ると、少し話がしたいと言われてしまった。
ラギトと2人きりで室内はダメだと言う兄ノクスの意見で、ニケはラギトと庭に出ることにした。
子爵家とはいえ、セラフィム家の庭はロートレック侯爵家に負けないほどの敷地があり、子爵夫人であるニケの母親ビアンカの趣味で、綺麗な薔薇園まである。
薔薇園に足を向けたニケたちは、ガゼボに腰を落ち着けると、向かい合って座った。
「王太子殿下。お話をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
遠い親戚とはいえ、相手はこの国の王太子である。
ほとんど話したこともない相手だ。
さっさと用件を聞いて、帰ってもらいたいというのが、ニケの本音だった。
ラギトはその、綺麗な金の瞳を細めてニケを見つめると、そっとその手をニケの頭へと伸ばした。
「?」
「キツい判断をしなきゃならなくて辛かったね。本当はあんなこと言いたくなかったんだろう?よく頑張ったね」
ラギトの言葉に、ニケは目を見開いた。
その優しく撫でてくれる手に、優しい眼差しに、ニケの瞳からポロリと涙が1粒こぼれる。
あんなこと言いたくなかったね。辛かったね。よく頑張ったね。
その言葉が、胸に染み渡る。
ニケは貴族の令嬢だ。貴族らしく物事を判断し、処断しなくてはならない時がある。
しかもセラフィム家の娘として、時にそれは厳しいと言われることすら平然としなくてはならない。
だけど。
まだニケは15歳の少女で、婚約者であるマグエルにだって最初は夢を描いていた。
父親と母親のように、兄や姉のように、愛し愛される関係を築きたかった。
もしそれが無理でも、他に心惹かれる相手がいるのなら、そう言って欲しかった。
こんな風に、家族と引き離して平民として暮らさなければならないような、そんなことさせたくなかった。
だけど、ニケはセラフィム子爵家の娘だ。その名に相応しい言動をする義務があるのだ。兄も姉もそうしてきた。
頭では理解していても、ニケの心の中にはハリネズミのように無数の棘が出来ているようで、ずっと苦しかった。
だからー
ラギトの言葉はニケの心の棘を溶かすように、優しく響いた。
結局、まともな会話は成立せずだったが、フォレスト王国に行けば嫌でも自分の愚かさを教え込まれるだろう。
出発はエリンとの兼ね合いがあるので、ノクスが伯爵家に話してから決めることとなった。
フォレスト王国のビスクランド家にも連絡しなければならないが、そこは魔道具の出番である。
フォレスト王国は魔法王国と呼ばれるほどで、魔道具の開発も盛んなのだ。
アシュタル王国は、魔法が使える者はほとんどいないが、セラフィム子爵家が魔道具を扱っているので、生活に根付いている。
マグエルとロートレック侯爵が去り、ネーヴェ伯爵家に向かうためにノクスが出かけることとなった。
(帰らないのかしら?)
チラリとラギトを見ると、少し話がしたいと言われてしまった。
ラギトと2人きりで室内はダメだと言う兄ノクスの意見で、ニケはラギトと庭に出ることにした。
子爵家とはいえ、セラフィム家の庭はロートレック侯爵家に負けないほどの敷地があり、子爵夫人であるニケの母親ビアンカの趣味で、綺麗な薔薇園まである。
薔薇園に足を向けたニケたちは、ガゼボに腰を落ち着けると、向かい合って座った。
「王太子殿下。お話をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
遠い親戚とはいえ、相手はこの国の王太子である。
ほとんど話したこともない相手だ。
さっさと用件を聞いて、帰ってもらいたいというのが、ニケの本音だった。
ラギトはその、綺麗な金の瞳を細めてニケを見つめると、そっとその手をニケの頭へと伸ばした。
「?」
「キツい判断をしなきゃならなくて辛かったね。本当はあんなこと言いたくなかったんだろう?よく頑張ったね」
ラギトの言葉に、ニケは目を見開いた。
その優しく撫でてくれる手に、優しい眼差しに、ニケの瞳からポロリと涙が1粒こぼれる。
あんなこと言いたくなかったね。辛かったね。よく頑張ったね。
その言葉が、胸に染み渡る。
ニケは貴族の令嬢だ。貴族らしく物事を判断し、処断しなくてはならない時がある。
しかもセラフィム家の娘として、時にそれは厳しいと言われることすら平然としなくてはならない。
だけど。
まだニケは15歳の少女で、婚約者であるマグエルにだって最初は夢を描いていた。
父親と母親のように、兄や姉のように、愛し愛される関係を築きたかった。
もしそれが無理でも、他に心惹かれる相手がいるのなら、そう言って欲しかった。
こんな風に、家族と引き離して平民として暮らさなければならないような、そんなことさせたくなかった。
だけど、ニケはセラフィム子爵家の娘だ。その名に相応しい言動をする義務があるのだ。兄も姉もそうしてきた。
頭では理解していても、ニケの心の中にはハリネズミのように無数の棘が出来ているようで、ずっと苦しかった。
だからー
ラギトの言葉はニケの心の棘を溶かすように、優しく響いた。
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