拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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それを人は愚行と呼びます。

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 アルトナー王国には、貴族の令息令嬢が十四歳から絶対に通わなければならない学園がある。

 アルトナー王国の貴族家の在り方を学ぶ学園で、とりあえず三年間通いさえすれば卒業でき、卒業したことでアルトナー王国の成人貴族と認められる。

 学園では一般の授業とは別に、後継につく者は領地経営などの勉強を。

 騎士を目指す者は、剣技の鍛錬を。

 王宮侍女や文官を目指す者は、それに連なる勉強を。

 それぞれが、自分が身につけるべきコースを選んで学ぶ。

 成績が最下位でも、通いさえすれば卒業できるわけだから、たまーに、本当にたまに学園時代は遊び呆ける者もいるらしいけど、そういう人間は九割の確率で家から放逐されるらしい。

 まぁ、それはそうよね。
脛かじりのタダ飯食らいなんて、お荷物でしかないわよね。

 お金の有り余っている家だと面倒を見るらしいけど、一割程度いればいいところだと思うわ。

 でもまさか自分の婚約者、しかも公爵家を継ごうという人が、そのたまーにしかいない特殊な人だとは思わなかった。

 ただ、聞いたところによると学園入学時は真面目に勉強していたらしいのよね。

 だから、私との婚約を王家が決めたみたい。

 婚約者様がのは、私と婚約したからなのか、それともファンティーヌ様との距離が近くなったからなのか。

 元々は、ファンティーヌ様は、王都から遠く離れた男爵家の領地に住まれていて、婚約者様ともほとんど会ったことがなかったのだそう。

 まぁ、なんかと婚約して不満なところに、可愛らしい従妹が一緒に住むのだものね。

 好きになるのは仕方ないとしても、学業を疎かにしてどうするつもりなのかしら?

 兄が王配になるから、自分が絶対に公爵家を継げるとでも?

 一応、婚約者になったから調べたけど、コンラッド公爵家には親戚筋に養子になれる方が数名いるわよ?

 泥の船の上で居眠りしていたら、その船沈むわよ?

 ああ。
もしかして、ファンティーヌ様の男爵家に婿入りなさるつもりなのかしら?

 だけど、ファンティーヌ様も婚約者様も領地経営の勉強もなさらずに、男爵家をお継ぎになったら・・・

 没落すると思うけど。

 それとも私が知らないだけで、お二人とも実は、能ある鷹は爪を隠す、なのかしらね。

 婚約解消する私には関係ない話だけど。

 そもそも、お会いすることもないし、学園でたまに見かけることはあるけど、もう顔もはっきり覚えていないわ。

 隣にピンク色の髪のご令嬢がいるから、多分あれが婚約者様かなぁと思う程度よ。

 もちろん、婚約者様の方も同じでしょうね。

 黒髪黒目の別人が私だと名乗っても、気付かないと思うわ。
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