拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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卒業式

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 アルトナー王国王立学園の卒業式。

 基本的に通ってさえいれば卒業できるので、わざわざ卒業式に家族が来ることはない。

 ただ、夜に行われる卒業パーティーは成人の儀も兼ねているので、ここには王族と高位貴族の当主夫妻、そして卒業生の両親も参加する。

 私と婚約者様の婚約解消に関しては、コンラッド公爵様と私の親が婚約解消の書類にサインする必要がある。

 今回、どうやら姉がその役割を果たすために卒業式にやって来た。

「クロエ!会いたかったわ」

「お姉様。お元気でしたか?」

。婚約を解消することになって。クロエがアルトナーに行ってから、お父様ってばお母様に口を聞いてもらえなかったのよ」

 私をぎゅうぎゅう抱きしめる美女は、私の姉だ。

 腰まである黒髪を綺麗に結い上げ、その唇と同じ深紅の髪飾りで留めてある。

 私より五歳年上の姉は、十人いれば十人が振り返るほどの美女である。

 出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるという、絵に描いたような美女だ。

 私の慎ましやかなお胸に、少し分けてもらいたいわ。

「お義兄様たちは?」

「ルーベンス子爵家で待機よ。私は書類にサインしなければならないのと・・・クロエの様子をこの目で見たかったから」

「お姉様」

「大丈夫だとは思っていたけど、もしかしたらということもあるでしょ?良かったわ。元気そうで」

 婚約者様との諸々は、お姉様たちにはお手紙で知らせていたけど、そうよね、心配をかけていたわよね。

「ご心配をおかけしました」

「良いのよ。そもそも、こんな婚約を決めたのはお父様だもの。クロエが謝ることはないわ。それでも・・・良縁だったらとは思っていたのよ」

 何も、最初から解消するつもりで婚約を結んだわけではない。

 私が婚約者様と婚約することになったのには、色々な思惑が絡み合った理由がある。

 その中で、私は自分で納得して今回の婚約を受け入れた。

 婚約者様が真っ当な方だったなら、私はちゃんと婚約者としてコンラッド公爵になる彼を支えるつもりだった。

 残念ながら、婚約者様は残念な方だったので、私はずっと婚約者様の様子を家族に知らせていた。

 貴族の婚約というものは、家と家の契約みたいなものなので、結ぶにも解消するにも、家長の許可が必要になる。

 その上、今回はアルトナー王家の王命という形をとっていたため、女王陛下にも許可を取る必要があった。

 お姉様はそのために、卒業式前に王宮に出向いて、コンラッド公爵と共に婚約解消の手続きをしてくれたのだ。
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