拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

文字の大きさ
29 / 130

公務とお茶会。

しおりを挟む
 メルキオール帝国に戻ったことで、皇女としての公務が再開することになった。

 メルキオール帝国では基本、高位貴族は家庭教師から学ぶから、学園には通わない。

 その分社交は、十歳を超えるとお茶会やパーティーなどの参加が可能になる。

 私も皇女として、幼い頃から家庭教師が付いていて、語学やマナーなどは学んでいた。

 だから他国のアルトナー王国でも、まぁ一般知識とはいえ問題なく成績を維持できた。

 そのことから考えると、元婚約者様って本気でどこかに常識を落として来られたのかしら?

 だって次男とはいえ、公爵家の子息だもの。

 ちゃんと教育されてたわよね?

「アルトナー王国の王太女殿下は、皇妃様に似てらっしゃいますの?」

 今日の公務は、公爵家主催のお茶会への参加だ。

 私に問いかけてきたのは、メルキオール帝国ハルジョン侯爵令嬢のエミリア様。

 エメラルドグリーンの髪と瞳をした、柔らかな雰囲気のご令嬢。

 でも、中身は勝ち気な方なのよね。

「ええ。背格好は同じくらいですわね。アルトナー王国女王陛下の方が、お母様よりは大人っぽく見えますかしら。うちのお母様は・・・ほら、お姉様と姉妹と言ってもおかしくない方ですから」

「とてもお若くお美しい方で、三姉妹のようですわね。知らない方なら、姉と言っても信じてしまわれるかと」

 私が苦笑まじりにそう答えると、エミリア様はそう言って笑われた。

 そうなのよね。
私やお姉様が年相応に容姿が変われば、お母様の方が『娘』みたいに見えるわ。

「アルトナーの王太女様も似てらっしゃいますの?」

「ビアンカ王太女殿下は、王配殿下似ですわね。中身は女王陛下似ですけど」

 銀髪に紫の瞳なのは、アルトナー王家の特徴だけど、それ以外は伯母様よりは王配殿下に似ている。

 ただし、中身の辛辣さは伯母様似だわ。

 妹のベリンダ様もだけど、生まれながらの王族だと思う。

 厳しくも正しい判断ができる人。

 伯母様よりも手強いかもしれないわ。伯母様は、少し短気なところがあるから。

 そう考えると、お母様が一番手強い方かもしれないわ。

 見た目は若くて可愛らしい容姿だし、物腰は柔らかいからみんな油断するもの。

「帝国では何か変わったことはありまして?」

「そうですわね・・・脳内に芥子の花が咲いているような小娘が現れましたわ」

「芥子の花・・・」

 元婚約者様やファンティーヌ様のような令嬢が、帝国にも?

「レグディア男爵家の庶子ですわ。夫人が甘やかした結果、脳内に花畑ができたようですの」

 


しおりを挟む
感想 372

あなたにおすすめの小説

見捨てられたのは私

梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。 ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。 ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。 何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。 ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。 え?イザックの婚約者って私でした。よね…? 二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。 ええ、バッキバキに。 もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

お久しぶりです、元旦那様

mios
恋愛
「お久しぶりです。元旦那様。」

初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。 王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。 第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。 常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。 ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。 みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。 そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。 しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

処理中です...