冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな

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私は私だと教えられました

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「ああ。。出会った時からルディアは聖女だったからな」

 え?そうなんですか?
それでは、私の記憶が戻る前のルディアも聖女で・・・

 あれ?
ええと、どういうことです?

 混乱に陥った私の背中を、ヴィンセント様は優しく撫でて下さいます。

「落ち着け。女神はこう言ったんだろう?《時間を巻き戻した》と。つまり、現在のルディアも俺と出会ったルディアもだということだ」

「え、あ、確かに・・・でも、ならどうして私はここに・・・」

「別ルートとか言っていたな。多分、そのせいだろう。ルディアが生きて幸せになるために、平民から聖女になる人生ではなく、違った人生を用意した、ということではないか?」

 なる、ほど?
難しくて理解できているかわかりませんが、確かにヴィンセント様のおっしゃることが正解ではないかと思えます。

 女神様は・・・
私のことを気遣ってくださっていましたから。

「つまりな、ルディアはルディアのままなんだ。過去に殺された記憶があろうと、なんだろうと、俺の目の前にいるルディアはルディアのままだ。確かに俺との今までは忘れてしまったかもしれない。それは、現在の記憶が戻ったせいで二度と戻らないかもしれない。だが、過去の時間よりも長い時間を、これから俺たちは過ごしていくことになる。これから、思い出は作っていけばいいし、ルディアが忘れてしまったことも俺は覚えている。いつでも話してやるから、これから知っていけばいい」

「ヴィンセント様・・・っ」

「泣くな。俺はルディアにはいつも笑っていて欲しい」

 背中を撫でてくれていた手が肩に回り、逆の指でそっと目元が拭われました。

 正直にお話して良かったです。

「私・・・ここにいてもいいんですか」

「いてもらわなければ困る。ルディアは俺の婚約者なのだから」

「・・・っ!はい。はいっ!」

 誰かに必要とされるのは、こんなにも心が温かくなるものなのですね。

 聖女としてでなく、ルディアとして必要としてもらえるのは、こんなにも。

「ヴィンセント様。たくさん教えてください。私とヴィンセント様が婚約した理由も、出会った頃のことも」

「楽しい話ばかりではないかもしれないぞ?それでも良いのか?」

「それでもです。知りたいのです。知って、ちゃんとヴィンセント様の婚約者になりたい」

 私の言葉に、ヴィンセント様は一瞬目を見開き、その後花が綻んだように微笑んでくださいました。

 
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