15 / 30
お土産にしたいのです
しおりを挟む
ヴィンセント様が私の口の中に放り込んだチョコレートは、とても甘くて、スゥーっと溶けていきました。
「美味しいです」
私が頬を押さえてそう言うと、ヴィンセント様はまた一粒、私に差し出してくれます。
口を開けて、今度はすぐに溶けてなくならないようにモグモグせずにジッと舌の上に置いていたのですが、すぐに柔らかくなって溶けてしまいました。
「ほら、次をやるから」
指でつまんだチョコレートで、私の唇を突つきます。
お皿の上のチョコレートが残り少なくなっているのを見て、私は口を開くのを躊躇いました。
アレッタさんに、お土産に持って帰りたいです。
口を開こうとしない私に、ヴィンセント様はどうした?と尋ねられました。
「お土産に持って帰りたいです」
「・・・そうか。なら、土産分は別に買うからこれは食べると良い」
「良いのですか?」
「ああ。イブリン、城のみんなの分を買って、届けるように伝えろ」
「かしこまりました」
イブリンがお店の奥に向かって行きました。
私はお金を持っていないので、今回はヴィンセント様にお願いするしかありません。
ちゃんとお金を稼げるようになったら、ヴィンセント様にも何かお返ししたいです。
だってヴィンセント様はいつもいつも、私にたくさんの物を与えてくれるのです。
美味しいお菓子も、綺麗なドレスも、優しい言葉も、たくさんたくさんくれます。
「ヴィンセント様、ありがとうございます」
「ああ。ルディアが喜んでくれるなら、何でも買ってやる。だから、言葉にして言ってくれ」
「でも、我儘にならないですか?」
「こんなのは我儘でもなんでもない。駄目なことはちゃんと駄目だと教えるから、俺やノワール、イブリンには思ったことをちゃんと言ってくれ」
ヴィンセント様の言葉に、こくりと頷きました。
塔では、水をくださいとかお願いしても、我儘を言うと叱られていましたから、お願いすることはいけないことだと思っていました。
「ルディアは、まだ精神が子供のままなんだ。色んなことを少しずつ教えるから、ゆっくり大人になっていけばいい。俺もノワールもイブリンもアレッタも、誰もルディアを叱ったりしないから」
「はい」
メルキオール王国のお城のみんなは、とても優しいです。
ネモフィラ王国の人たちみたいに、私を罵ったりしません。
嘘もつきません。
だから、ヴィンセント様の言葉は信じられます。
女神様。
私、幸せです。だから、私に優しいこの人たちに、何か恩返しがしたいです。
聖女の力以外に何ができるかわからないですけど、私がんばります。
「美味しいです」
私が頬を押さえてそう言うと、ヴィンセント様はまた一粒、私に差し出してくれます。
口を開けて、今度はすぐに溶けてなくならないようにモグモグせずにジッと舌の上に置いていたのですが、すぐに柔らかくなって溶けてしまいました。
「ほら、次をやるから」
指でつまんだチョコレートで、私の唇を突つきます。
お皿の上のチョコレートが残り少なくなっているのを見て、私は口を開くのを躊躇いました。
アレッタさんに、お土産に持って帰りたいです。
口を開こうとしない私に、ヴィンセント様はどうした?と尋ねられました。
「お土産に持って帰りたいです」
「・・・そうか。なら、土産分は別に買うからこれは食べると良い」
「良いのですか?」
「ああ。イブリン、城のみんなの分を買って、届けるように伝えろ」
「かしこまりました」
イブリンがお店の奥に向かって行きました。
私はお金を持っていないので、今回はヴィンセント様にお願いするしかありません。
ちゃんとお金を稼げるようになったら、ヴィンセント様にも何かお返ししたいです。
だってヴィンセント様はいつもいつも、私にたくさんの物を与えてくれるのです。
美味しいお菓子も、綺麗なドレスも、優しい言葉も、たくさんたくさんくれます。
「ヴィンセント様、ありがとうございます」
「ああ。ルディアが喜んでくれるなら、何でも買ってやる。だから、言葉にして言ってくれ」
「でも、我儘にならないですか?」
「こんなのは我儘でもなんでもない。駄目なことはちゃんと駄目だと教えるから、俺やノワール、イブリンには思ったことをちゃんと言ってくれ」
ヴィンセント様の言葉に、こくりと頷きました。
塔では、水をくださいとかお願いしても、我儘を言うと叱られていましたから、お願いすることはいけないことだと思っていました。
「ルディアは、まだ精神が子供のままなんだ。色んなことを少しずつ教えるから、ゆっくり大人になっていけばいい。俺もノワールもイブリンもアレッタも、誰もルディアを叱ったりしないから」
「はい」
メルキオール王国のお城のみんなは、とても優しいです。
ネモフィラ王国の人たちみたいに、私を罵ったりしません。
嘘もつきません。
だから、ヴィンセント様の言葉は信じられます。
女神様。
私、幸せです。だから、私に優しいこの人たちに、何か恩返しがしたいです。
聖女の力以外に何ができるかわからないですけど、私がんばります。
690
あなたにおすすめの小説
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる