婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな

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第2章

ヒロインのお願い

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「私、アゼル様のことが好きなのです」

 繰り返し言われてしまったわ。
そっかー。ヒロインはアゼルルート狙いだったのね。

 え?ちょっと待って。そしたら私はアゼルに断罪されちゃうじゃない。

 それにアゼルには婚約者がいるんだけど。
 リアーネ・オスカール侯爵令嬢。
蜂蜜色の髪と瞳をした、大人しいご令嬢だ。

 アゼルの婚約者だけど、ゲーム内ではほとんど出てこないのよね。
 実物は、とてもお優しい方だ。
会うことは少ないけど、お手紙のやりとりはずっとしている。

 しかし、本当に会う機会はほとんどない。アゼル、会ってるのかしら?
 アベルの婚約者のセシーリア・ヴィクト公爵令嬢とはイザヴェリ家やヴィクト家で何度も会ってるんだけど。

 私が円満に婚約解消するためにも、ヒロインにはサイードルートを突き進んで欲しいところだ。

 だけど、それは私の勝手な望みであって、それをヒロインに押し付けるわけにもいかない。

「アゼルお兄様には・・・婚約者がいらっしゃいましてよ」

「わ、分かってます。分かってますけど、でも、あの、(イベントさえおきれば・・・)」

 後半は小声になっていたけど、私はちゃんと聞き取っていた。
 イベントね。やっぱり、ヒロインは転生者か。入学式の感じでそうだと思ってだけど。

 ヒロインは、私が転生者だとは気づいてないみたい。疑ってはいるだろうけど。

 しかしアゼルルートね。
となると、次に起きるのはアゼルのイベントよね。

 倉庫に閉じ込められるアゼルとヒロイン。ヒロインは暗いところが苦手で、震えるヒロインをアゼルは抱きしめてやる。大丈夫だって。自分がついてるからって。

 それから、お互いの生い立ちだったりを話しているうちに、2人とも眠ってしまって、翌朝探しに来たヴィヴィに、アゼルがヒロインを抱きしめているのを見られるのよね。

 ヴィヴィは思わずアゼルからヒロインを引きはがして、彼女を罵倒するんだけど、アゼルがそれに対して怒りをあらわにするの。

 でも思うんだけど、自分を溺愛してくれているはずの兄が他の女性を抱きしめていて、しかも兄には婚約者がいるんだから、ヴィヴィの罵倒って当然のことじゃないのかな。

 結局、これ以降アゼルは家族と距離をおくようになるし、ヴィヴィは最終的に断罪されちゃうんだけど・・・

 あれ?リアーネ様って全然出てこないわ。ヒロインと結ばれるんだから、婚約解消なんだろうけど、説明文も出てこない。

 もし、リアーネ様に悪影響がなくて、アゼルが望むのならヒロインが攻略することを邪魔するつもりはない。
 でも、生い立ちや悩みを話しても、アゼルが彼女に傾倒するとは思えないけど・・・
 だってアゼル、めっちゃシスコンと化してるもの。あのアゼルがヴィヴィわたしを責めたなら、それってゲームの強制力しかあり得ないわ。



 






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