婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな

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第3章

そして、未来へ《最終話》

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 アゼルを除く攻略対象とダンスを終えた後、私のもとにリアーネがやってきた。

 隣に戻っていたハルトナイツに、少し離れることを告げて、とりあえずものすごく嫌がられたけどほんの少しだからと言って、壁際に移動する。

「溺愛っぷりがすごいわね。ハルトナイツってあんなにデレだったの?」

 クスクスと笑うリアーネをジト目で睨む。

「自分だってサイードに結構デレられてるじゃない。今だって、ほらジッとこっちを見てるわよ」

「サイード様は、自分のしてきたことを反省されたのよ。だから婚約者と向き合おうとされてるだけで、別にデレてるわけではないわよ」

「それ、本気で言ってるの?サイード言ってたわよ。リアーネのこと大切にしたいって」

 実際、サイードは婚約者だからとかではなく、自分自身を見て好いてくれるリアーネを思っているのだろう。

 そう。乙女ゲームの中で、サイードという個人を認めてくれたヒロインを思ったのと同じように。

「でも、良かったわね。ハルトナイツと結ばれて」

「うん、そうね。乙女ゲームの中で見たハルトナイツとは違うけど、現実のハルトナイツのこと、結構好きなのよね」

「まさか遠く離れたレンブラント皇国に嫁いじゃうなんてね。次に会うときは、皇太子妃なのね」

「リアーネはサイード殿下の王子妃ね」

 2人顔を合わせてクスクスと微笑う。

 少し離れた位置に、ヒロインの姿が見えた。
 私たちの贈ったドレスを身にまとい、楽しそうに男爵子息と話している。

「ヒロインもなんだか幸せそうね」

「そうね。もし乙女ゲームのようにサイードやアゼルを攻略できたとしても、平民の彼女には楽しいことばかりじゃなかったでしょうね」

 あれはゲームの中だから、ハッピーエンドで終われた話。
 平民の彼女と結ばれるために、無実の公爵令嬢であるヴィヴィを断罪したことで、攻略対象とヒロインには決して幸せな結末は訪れないだろう。

 もし断罪しなかったとしても、ヒロインが貴族の家に嫁ぐことはできないし、王族や高位貴族の攻略対象たちが、平民として汗水垂らして働いて暮らしていけるとも思えない。

 人には自分に相応しい立ち位置というものがあるのだ。
 シンデレラのようなお話は、物語やゲームの中だけのこと。

 私もリアーネも、これから王子妃皇太子妃としての教育に苦しむことだってあるだろう。

 だが、それは高位貴族として生まれた、自分に相応しい立ち位置なのだ。

「これから、頑張らないとね」

「そうね。せっかく断罪を免れたんだもの。絶対、幸せになるわ」

「ヴィヴィなら、どんな悪役令嬢が現れても、絶対勝てるわよ!」

 そう言って笑ったリアーネは、サイードの元へと戻って行く。
 私も、私の元へと駆け寄ってくるハルトナイツの元へとゆっくりと足を進める。

 この先ー
レンブラント皇国に行ってからだって、もしかしたら強力なライバルが現れるかもしれない。

 だけど、私は負けない。
悪役令嬢として、絶対勝ってやる!


***end***


 お読みいただき、ありがとうございました。また、次の作品でお会いできますように。







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感想 22

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みんなの感想(22件)

sakikaname
2025.05.03 sakikaname

おすすめから来て 一気読みしましたー!
面白かった( ´͈ ᗨ `͈ )◞♡⃛

みんなの(主人公含む)の結婚式が観たかった………
そして 向こうに行ってからもいろいろありそうだし、、、 ぜひ 続編が読みたい所です!!
気が向いたらぜひお願いしますm(_ _)m

2025.05.04 みおな

お読みいただきありがとうございます😊

解除
sarumaro
2023.04.24 sarumaro

面白かったーレンブラント皇国ヴィヴィ奮闘編があったら、いいなーって

2023.04.24 みおな

読んでくださってありがとうございました😊

解除
riconeko
2022.04.21 riconeko

第2章の「ユサールの決意」では、王家の子供は第一王子と第二王子だけとなっていますが、その後「了承」では、第三王子が登場します。読み落としてしまっている箇所があるのでしょうか?

面白くて、どんどん読み進めていますが、アレ?っと思ったので。。。

2022.04.21 みおな

感想ありがとうございます😊
そして、ご指摘ありがとうございます。
ガーン😱元々、2人兄弟設定だったのが、途中からストーリーが変わり、婚約者や後継問題上で弟が出て来たのでした😭
途中、修正しました。ありがとうございました。

解除

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