拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな

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侯爵家と子爵家の関係

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 我がアデライン子爵家と、デルモンド侯爵家はある事業を共同で行っています。

 それは、お互いの領地と王都を結ぶ街道の改善工事と、領地の上下水道の工事です。

 発案は我が家で、我が領地から王都に向かうにはデルモンド侯爵領を通るのです。

 子爵領の領民たちは仕事を持っている人間が多く、逆に侯爵領の中には無職だったり、金銭的に厳しい領民が多くいました。

 それで、デルモンド侯爵家にこの事業を提案したのですわ。

 金銭的に余裕のあるアデライン子爵家が主導となり、デルモンド侯爵領の領民たちを労働力として雇う。

 子爵家が雇うとなると、反発が起きる場合が多いので、デルモンド侯爵家に出資し、デルモンド侯爵家が雇ったという形をとったのです。

 ご両親である侯爵夫妻や、後継の嫡男の方はちゃんとご存知だったのですが・・・

 どうやら、私の元婚約者の次男の方はご存知なかったみたいですね。

 うちのお父様は善良な人間ですが、損しか出さない相手を甘やかすほど、お人好しではありません。

 そのお父様が事業は継続というのなら、デルモンド侯爵家との縁に何らかの価値があるのでしょう。

「ただし、条件を呑んでもらう。王家の意向にもよるから、一緒に王宮へと向かおう」

「わ、わかりました」

「奥様はこちらでお預かりしておきますわ。旦那様、よろしいでしょう?」

「ああ。顔色が悪いから、うちで休まれて待たれると良い」

 デルモンド侯爵夫人は、真っ青な顔のまま立ちあがろうとされています。

「そんな、ご迷惑は・・・」

「そんな様子で王宮へ行かれても、歩くのもままならないでしょう。お仕事のお話は殿方にお任せしましょう?」

 お母様が、夫人を再びソファーへと座らせます。

 侯爵は心配そうにしながらも、お父様と一緒に王宮へと出かけて行かれました。

 お母様はお茶を準備させ、夫人の隣に座り泣き崩れる夫人を宥めています。

「申し訳ございません。申し訳ございません。申し訳ございません・・・」

 繰り返し謝罪の言葉を呟く侯爵夫人に、あの元婚約者に殺意がわきましたわ。

 ご本人が阿呆なのは勝手ですけど、お母様にこんな思いをさせるなんて。

「おば様。おば様が謝ることなど何もありませんわ。ラナリス様があまりに楽しそうに対応されていたので、そのままにした私もいけなかったのです」

「・・・自国の王女殿下のお顔を知らないばかりか、自分の婚約者の顔もわからないなんて」

「私も言えば良かったのです。ごめんなさい」

「いいえ、いいえ!ミリムさんに悪いところなど!あんな子と婚約なんて本当に申し訳がなかったわ」

 どうしましょう。
慰めようがありませんわ。

 
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