転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな

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モブ、見届ける。

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「イレーヌ。イレーヌ・レジスタ公爵令嬢。ここへ」

「カレリア・コモンズ侯爵令嬢」

 ヴェルハルトとエドワードが、会場の中央で、イレーヌとカレリアを呼んだ。

 ティアラがラノベ通りに断罪を行おうとするのなら、衆人の中でヴェルハルトたちに婚約破棄を告げさせるはず。

 だから、ティアラをエスコートして、会場の中央に着いたら、イレーヌとカレリアを呼ぶことになっていたのだ。

 何故か、ラノベでも断罪イベントは、到着早々に始まっていたのだが、ラノベを知らないヴェルハルトたちが、少しでも早く始めようとしているのは、どうやらティアラと早く離れたいから、らしい。

 うーん。
攻略対象にそばに居たくないと思われるヒロインって・・・

「それでは行って参りますわ」

「アイル様はここでいてくださいませね」

 イレーヌとカレリアが、呼ばれたことでヴェルハルトたちの元へ向かう。

 イレーヌもカレリアも悪役令嬢ではないけれど、ティアラからすれば物語の登場人物なのだろう。

 だけど、私はティアラの物語の中では、モブである。

 だから、物語の登場人物たちがその物語を終わらせるのを、ここから見届けるつもりだ。

 ティアラが。
ヒロインがこの世界は物語ではなく実際に生きている世界だと気づいてくれていれば。
 誰かを貶めたりせずに。
攻略するのではなく、ちゃんと手順を踏んで誰かと想い合ったのなら。

 それならば、協力だってしたのに。
ヴェルハルトとエドワードは、婚約者と仲睦まじかったけど、それでも彼らがティアラを普通に好きになって、婚約破棄などでなく、ちゃんと話し合って婚約を解消したのなら、応援したのに。

 私は、イレーヌもカレリアもエリーゼも大好きだし、幸せになってほしいと思ってる。

 でも、人の気持ちに絶対はないから。
乙女ゲームの中のティアラなら、好かれる可能性だってあった。

 なのに。
ティアラは、間違えた。

 いじめられてもいないのに、イレーヌを、カレリアを、悪者にした。

 この国では、禁呪と言われる魅了魔法を使って、ヴェルハルトやエドワードを操ろうとした。

 オリバーは魔法にかかってないって聞いたけど、元々オリバーは攻略しやすいキャラだったからかもしれない。

 ティアラの魔法に気付いたカイルが、ヴェルハルトたちに魅了魔法を防御アイテムを持たせていたそうだ。

 例の対策というやつ。
シキも、狙われるかもと持たされたらしく、婚約者に心配させないために、そのことは内密に、だったそうだ。

 当然のことながら、それを知らされたイレーヌやカレリアに、ヴェルハルトたちは叱られた。

 彼らが平謝りしたのは、自然なことである。
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