56 / 56
最終話:私の大切な場所
しおりを挟む
ローズリッテの元父親は、痛みに喚き続けていたけど、もうその声に応じるつもりはなかった。
ローズリッテ・フェルゼンとして公爵家に生まれ、セドリック・アークライン王太子殿下の婚約者となった。
国の為、セドリック様の為、自分の持つ能力以上のことをするのが当たり前だと言われ続けて来た。
できて当たり前。
できなければ努力が足りない。
その挙げ句に、聖女を害したと冤罪をかけられ、斬首された。
父親はローズリッテの死すら悲しんでくれなかった。
今なら分かる。
あの男は、王太子殿下の婚約者になる駒が欲しかっただけ。
だからローズリッテの死後、別の「娘」という名の駒を手に入れるために再婚した。
ローズリッテの母親の死後にすぐに再婚しなかったのは、ローズリッテの反抗を防ぐためだったのだろう。
父娘らしい交流をした記憶はないけど、少なくともローズリッテは父親に嫌われているとは思っていなかった。
ほとんど教育のために時間を費やしていたから、接点が少なかったためかもしれない。
それに、母親が幼いうちに病死したことで、自分を産んだせいかもという気持ちがあったことも事実だ。
ずっと婚約者として寄り添って来た、セドリック様の裏切りの方が悲しかった。
レイニー様を好きになったことは仕方ないとして、ちゃんと話し合って欲しかった。
私は別に、王太子妃になりたかったわけじゃない。
聖女であるレイニー様が王太子妃になるというのなら。
セドリック様がレイニー様を愛しているというのなら。
婚約解消にだって応じたのに。
それを冤罪の上に斬首という最低な判断をした。
私がロゼ・リヴァルスとして生まれ変われたのは、レイニー様の中にある礼子という存在のおかげだ。
少なくとも礼子が転生する前のレイニー様は、セドリック様といつも仲睦まじそうに過ごされていた。
いくら聖女といえど、婚約者のいる男性との距離感ではなかった。
もし礼子がいなかったら、私は生まれ変わることもなく、あのまま恨みを持ったまま輪廻の輪に組み込まれたのだろう。
そして、セドリック様にも国王陛下にも元父親にも復讐することも叶わず、新たな生を生きることになったのだと思う。
復讐が正しいことだとは言えない。
でも、もし叶うなら彼らに聞いてみたい。
「自分たちのしてきたことが、本当に正しかったと今でも言えるか?」と。
セドリック様は、ローズリッテとキチンと話し合い、円満に婚約解消していればレイニー様と幸せになれたはず。
国王陛下は、セドリック様の暴走を咎め、正しい方向に導いていれば国は滅びなかったはず。
元父親は、妻と娘に愛情を注ぎ、ちゃんと家族でいたなら、死ぬことはなかったはず。
彼らは選択を間違った。
だから私は、ローズリッテの魂の願うままに彼らに復讐をすることにした。
だけど。
「パパ、ノイン、サウロン様、レイ。戻ろう?」
「もういいのか?」
「うん!私の大切なのは、パパであり、ノインであり、サウロンさまであり、レイであり、魔族のみんななの。私の大切な場所はパパたちのいるここであり、過去じゃないから」
だから、もう過去を振り返るのは終わりにする。
私はこれから長い時間を、パパの娘として幸せに生きるんだ。
***end***
ローズリッテ・フェルゼンとして公爵家に生まれ、セドリック・アークライン王太子殿下の婚約者となった。
国の為、セドリック様の為、自分の持つ能力以上のことをするのが当たり前だと言われ続けて来た。
できて当たり前。
できなければ努力が足りない。
その挙げ句に、聖女を害したと冤罪をかけられ、斬首された。
父親はローズリッテの死すら悲しんでくれなかった。
今なら分かる。
あの男は、王太子殿下の婚約者になる駒が欲しかっただけ。
だからローズリッテの死後、別の「娘」という名の駒を手に入れるために再婚した。
ローズリッテの母親の死後にすぐに再婚しなかったのは、ローズリッテの反抗を防ぐためだったのだろう。
父娘らしい交流をした記憶はないけど、少なくともローズリッテは父親に嫌われているとは思っていなかった。
ほとんど教育のために時間を費やしていたから、接点が少なかったためかもしれない。
それに、母親が幼いうちに病死したことで、自分を産んだせいかもという気持ちがあったことも事実だ。
ずっと婚約者として寄り添って来た、セドリック様の裏切りの方が悲しかった。
レイニー様を好きになったことは仕方ないとして、ちゃんと話し合って欲しかった。
私は別に、王太子妃になりたかったわけじゃない。
聖女であるレイニー様が王太子妃になるというのなら。
セドリック様がレイニー様を愛しているというのなら。
婚約解消にだって応じたのに。
それを冤罪の上に斬首という最低な判断をした。
私がロゼ・リヴァルスとして生まれ変われたのは、レイニー様の中にある礼子という存在のおかげだ。
少なくとも礼子が転生する前のレイニー様は、セドリック様といつも仲睦まじそうに過ごされていた。
いくら聖女といえど、婚約者のいる男性との距離感ではなかった。
もし礼子がいなかったら、私は生まれ変わることもなく、あのまま恨みを持ったまま輪廻の輪に組み込まれたのだろう。
そして、セドリック様にも国王陛下にも元父親にも復讐することも叶わず、新たな生を生きることになったのだと思う。
復讐が正しいことだとは言えない。
でも、もし叶うなら彼らに聞いてみたい。
「自分たちのしてきたことが、本当に正しかったと今でも言えるか?」と。
セドリック様は、ローズリッテとキチンと話し合い、円満に婚約解消していればレイニー様と幸せになれたはず。
国王陛下は、セドリック様の暴走を咎め、正しい方向に導いていれば国は滅びなかったはず。
元父親は、妻と娘に愛情を注ぎ、ちゃんと家族でいたなら、死ぬことはなかったはず。
彼らは選択を間違った。
だから私は、ローズリッテの魂の願うままに彼らに復讐をすることにした。
だけど。
「パパ、ノイン、サウロン様、レイ。戻ろう?」
「もういいのか?」
「うん!私の大切なのは、パパであり、ノインであり、サウロンさまであり、レイであり、魔族のみんななの。私の大切な場所はパパたちのいるここであり、過去じゃないから」
だから、もう過去を振り返るのは終わりにする。
私はこれから長い時間を、パパの娘として幸せに生きるんだ。
***end***
195
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(36件)
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))
書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
真実の愛のおつりたち
毒島醜女
ファンタジー
ある公国。
不幸な身の上の平民女に恋をした公子は彼女を虐げた公爵令嬢を婚約破棄する。
その騒動は大きな波を起こし、大勢の人間を巻き込んでいった。
真実の愛に踊らされるのは当人だけではない。
そんな群像劇。
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載。
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
復讐しないで111,444,400許す話しも大分けど私は復讐容認派なのでロゼちゃんの仕返しは愉しかった(  ̄ー ̄)ニヤリただいつまでも復讐に使うには時間がもったいよ❗せっかく良い所に転生したなら今度は目一杯楽しまなくちゃね( ・∀・)楽しいお話をありがとうございます🎉😉❤️。
読んでくださりありがとうございます😊
ロゼの人生(魔族生?)は長いので、これからいっぱい楽しいことをして、パパに愛されて、恋もして、幸せだったなぁって思える日々を送って欲しいと、作者も思います。
ありがとうございました😊
【妄想劇場】
パパ魔王「ロゼは私の娘だ」
VS.
先代フェルゼン公爵「転生してもローゼリッテは私の孫だ」
Go Fight!!
【結果】
夫人の介入により、両者ノックアウト
ロゼ「お婆様、強い!」
ノイン「魔王様が手も足も出ないなんて……(怯」
いや、ロゼが「喧嘩する人嫌い」って言ったらその時点で撃沈するのでは。
パパ魔王の両親
「「ロゼちゃんに会いたい……」」
パパ「遠くから見るだけなら許す」
ロゼ「会ったらお小遣いくれるかなぁ」
パパ「欲しいものがあるならパパが買ってやる!父上たちはロゼをさらって行きかねないから会うのはダメだ!」
皆「・・・(やれやれ)」