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「姫君」
どうしたものかと悩んでいると、不意に声をかけられる。
隙間から覗こうとしたら、護衛さんたちが避けてくれ、シーラも後ろに下がる。
目線を上げたら、そこにはシスルが立っていた。
「あ!シスル様~!聞いてください。酷いんですよぉ」
シスルの登場に、ヒロインが喜色満面で、同情を誘うような声を出した(器用だな、おい)けど、シスルは一切そちらを見ようともしない。
「これ、忘れ物」
シスルの手にあったのは、私のハンカチだった。
推しに拙い刺繍を見られた!
わざわざ届けてくれたのは嬉しいけど、恥ずかしい!
「あ・・・りがとうございます」
「可愛い刺繍だったから・・・」
「こっ、これは、初めて刺したんですっ。今はもうちょっと・・・」
慌てて、今はもう少しマシになってると訴えようとして、さほど変わらないかもと俯いた。
大体、お世辞に決まっている。
相手は王族なんだし、五歳も年下の王女に気を遣ってくれたのだろう。
「本当にありがとうございました。取りに戻ろうと思っていたのです」
「シスル様ッ!私、その人に突き飛ばされたんです!!」
ヒロインが立ち上がって、シスルの腕に縋ろうとする。
だけど、シスルはサッと身をひいてそれを避けた。
「シスル様?」
「誰だか知らないけど、勝手に僕の名を呼ぶな。話しかけるな。近づくな」
「どぉしてそんなこと言うんですかぁ?前にご挨拶したデイジーですぅ。シスル様ぁ」
尚も縋ろうとするヒロインに、感心する。
お花畑ヒロインってすごい。
全くへこたれないのね。
そして、どうしてああも語尾を伸ばすのかな。馬鹿にしか見えないんだけど。
しかし、目の前にいるのが、国王陛下に王妃殿下、王女殿下に公爵家嫡男だというのに、全くもってその身分差に怯まないヒロイン。
ある意味、一番の強者かも。
「それから、王女殿下が他人を突き飛ばすなんてあり得ない」
「どうして、その人の味方をするんですかっ?あっ!もしかして権力を笠に脅されてるんですか?」
「馬鹿は口を開くな、不愉快だ。理由は簡単だ。王女殿下の隣には国王陛下に王妃殿下、侍女の方、その周囲を護衛の方々が守っている。触れることすら叶うわけがない」
私をどうしても悪者にしたいヒロインの発言も、シスルは一刀両断だ。
そうそう。
シスルはツンデレさんで、最初はヒロインにも冷たいの。
でも好感度が上がれば、ヒロインにだけはデレてくれるようになるのよね。
「国王陛下、王妃殿下。それでは失礼いたします」
「ああ。フロックスのご子息だったな。わざわざありがとう」
「いえ、もったいないお言葉です」
シスルはお父様たちに挨拶したあと、私の目の前に立つと、フッと微笑った。
「姫君。またお会いできるのを楽しみにしてます」
推しの、ほとんど見れない笑顔に私は、悶絶したのだった。
どうしたものかと悩んでいると、不意に声をかけられる。
隙間から覗こうとしたら、護衛さんたちが避けてくれ、シーラも後ろに下がる。
目線を上げたら、そこにはシスルが立っていた。
「あ!シスル様~!聞いてください。酷いんですよぉ」
シスルの登場に、ヒロインが喜色満面で、同情を誘うような声を出した(器用だな、おい)けど、シスルは一切そちらを見ようともしない。
「これ、忘れ物」
シスルの手にあったのは、私のハンカチだった。
推しに拙い刺繍を見られた!
わざわざ届けてくれたのは嬉しいけど、恥ずかしい!
「あ・・・りがとうございます」
「可愛い刺繍だったから・・・」
「こっ、これは、初めて刺したんですっ。今はもうちょっと・・・」
慌てて、今はもう少しマシになってると訴えようとして、さほど変わらないかもと俯いた。
大体、お世辞に決まっている。
相手は王族なんだし、五歳も年下の王女に気を遣ってくれたのだろう。
「本当にありがとうございました。取りに戻ろうと思っていたのです」
「シスル様ッ!私、その人に突き飛ばされたんです!!」
ヒロインが立ち上がって、シスルの腕に縋ろうとする。
だけど、シスルはサッと身をひいてそれを避けた。
「シスル様?」
「誰だか知らないけど、勝手に僕の名を呼ぶな。話しかけるな。近づくな」
「どぉしてそんなこと言うんですかぁ?前にご挨拶したデイジーですぅ。シスル様ぁ」
尚も縋ろうとするヒロインに、感心する。
お花畑ヒロインってすごい。
全くへこたれないのね。
そして、どうしてああも語尾を伸ばすのかな。馬鹿にしか見えないんだけど。
しかし、目の前にいるのが、国王陛下に王妃殿下、王女殿下に公爵家嫡男だというのに、全くもってその身分差に怯まないヒロイン。
ある意味、一番の強者かも。
「それから、王女殿下が他人を突き飛ばすなんてあり得ない」
「どうして、その人の味方をするんですかっ?あっ!もしかして権力を笠に脅されてるんですか?」
「馬鹿は口を開くな、不愉快だ。理由は簡単だ。王女殿下の隣には国王陛下に王妃殿下、侍女の方、その周囲を護衛の方々が守っている。触れることすら叶うわけがない」
私をどうしても悪者にしたいヒロインの発言も、シスルは一刀両断だ。
そうそう。
シスルはツンデレさんで、最初はヒロインにも冷たいの。
でも好感度が上がれば、ヒロインにだけはデレてくれるようになるのよね。
「国王陛下、王妃殿下。それでは失礼いたします」
「ああ。フロックスのご子息だったな。わざわざありがとう」
「いえ、もったいないお言葉です」
シスルはお父様たちに挨拶したあと、私の目の前に立つと、フッと微笑った。
「姫君。またお会いできるのを楽しみにしてます」
推しの、ほとんど見れない笑顔に私は、悶絶したのだった。
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