悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな

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ゲームクリエーターの願望

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「先輩は、ほんっとフローラのこと好きですよね~」

 缶ビール片手に、遠藤詩織がそう言うのを、私は当然だとうなづいた。

「当たり前じゃない!大体、うちのゲーム会社に就職したのだって、自分の考えた乙女ゲームを実用化するためなんだから!」

 そう。私と詩織は、ゲーム会社の社員だ。
 小さな会社だけど、ネットの乙女ゲーム界では、中々の人気作品を出している会社で、私がこの会社に就職した理由もそこにある。

 自分が、学生時代から考えていた乙女ゲームの実用化!!

『魔術王国の花の乙女』

 私が全ての愛を込めたヒロイン、フローラは魔術王国のご令嬢。そんなフローラが多くのイケメンたちを攻略していくリア充ストーリー。
 それが、通称『花乙』だ。

 心優しく、誰からも愛される天使なヒロイン。
 周りのイケメンも、私の好みをそれぞれ凝縮して詰め込んだ。

 周りの友達は、彼氏が出来たり、好きな人が出来たりと、まさにリア充だった。
 私は、残念ながら、今のこの年まで、彼氏というものを得た経験がない。
 その、友達たちへの嫉妬が、高スペック男子を生み出した。

 そんな、私の全てを詰め込んだ『花乙』が明日、リリースされる。
 今日の詩織との乾杯は、そのお祝いなのだ。

「先輩、大丈夫ですかぁ?フラフラしてますけど」

「あー、昨日まで徹夜続きだったからねぇ。へーき、へーき。また、明日ね~」

 缶ビールを飲み終わって、私と詩織は、公園のベンチから立ち上がる。
 お祝いが、公園のベンチとは情けないが、詩織はこのあと彼氏と約束があるらしいのだ。
 一緒に食事だけでもしようと誘ってくれた、心優しい後輩に、公園での缶ビールでの乾杯を求めたのは、まぁ先輩としての意地だ。

 フラフラと帰路に着いた私が最後に覚えているのは、3階の部屋に向かうために登っていた階段を踏み外したことだった。
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