悪役令嬢？いま忙しいので後でやります

攻略対象者その１

　おかしい。どうしてこうなった？
誰でもいいから教えて欲しい。

　私は、攻略対象者から距離を取るって決意した。それなのに、何故シオンと２人でお茶を飲んでるの？

「お兄様、私に何かお話がありますの？」

「いや、ないよ？」

「なら私などより、他の方とお茶を飲まれた方が楽しいと思いますわ」

　だから、解放して欲しい。
私が言外にそう言うと、シオンが目に見えてしゅんとした。

　藍色の髪に垂れた犬耳が見えるようだ。なんでそんな、捨てられた子犬みたいな顔するのよ！

「リアナは、僕のことが嫌いかい？」

「は？そんなわけないでしょ」

　あ。思わず素で答えちゃった。
まぁ、実際は私はシオンを特別視してるわけじゃないけど、嫌いなんてことはない。
　攻略対象者はみんな、私の愛情と好みをたっぷりと詰め込んだ存在なんだから。

　私の答えに、シオンの顔が花が咲いたように、笑顔になった。
　あれ？本当おかしいな。シオンはリアナとはいつも距離を取って、たまに一緒にいる時はいつも無表情だったのに。
　それでもリアナはシオンを好きで仕方なかったんだけど。

「リアナ、僕の可愛いリアナ。大好きだよ。だから他の人となど言わず、僕とお茶を飲んで欲しいな」

「・・・お兄様、いくら兄妹といえど誤解を招く発言は控えて下さいませ」

　あなたは、リアナじゃなくフローラが好きなんじゃない。
　そんなこと言って、リアナが誤解して好きになったら、どう責任取るつもりなのよ。

「誤解？だって僕はリアナが大好きだよ？」

　シオンが首をこてんと傾げる。くっそ、可愛いな。18歳の男が可愛いって。

　しかし、おかしいなぁ。確かゲームでは、この頃のシオンはリアナの恋心を気づいて、避けまくってたんだけど。
　避けて、避けて、避けまくって、それをフローラのせいだと思ったリアナがフローラをいじめ出しても何も言わなくて、でもフローラが聖女に認定されたら、聖女をいじめた罪でリアナを断罪するんだよね。
　ダメじゃん、シオン。
まぁ、３つ年下の義妹を無碍にできない気持ちもわかるけど。

「お兄様にはフローラ様がいらっしゃるでしょう！」

「フローラ？フローラは友達だよ。何？リアナ、やきもち？」

　そんなわけあるか！嬉しそうな顔をするんじゃない！

　でも、友達？おかしくない？フローラはこの花乙のヒロインだよ？誰もが好きになる素直で可愛くて、優しくて思いやりがあって清純で、しまいには聖女になるほどの高スペック女子だよ？

　おかしい！どうなってるの？
バグ？バグなの？誰か私を元の世界に戻して！バグ修正するから！！