悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな

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ゲームステージの学園

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「熱がしばらく続いたと聞いたが、体調はどうだ?」

 藍色の髪に金の瞳の、ナイスミドル・・・この国の国王、つまり私の父親に問われ、私は傅いた。

「大丈夫ですわ。お父様」

「なら、学院には明日からでも通えそうだな」

「学院・・・」

 花乙の舞台となる、魔術学院のことだ。私が転生し、目を覚ましたのが、その魔術学院の医務室である。

 この国の貴族は、16歳になるとこの学院に通わなければならない。王族も例外なく、18歳までの3年間通っている。
 シオンや、宰相の息子のハロルドは最高学年。騎士団長の息子のジェイムスと魔術団長の息子のイリアスとフローラは1学年上だ。

 ちなみに私リアナは16歳で、学院の入学式で倒れたのだ。

「なんだ?通いたくない理由でもあるのか?」

「・・・貴族の義務ノブレス・オブリージュですものね」

 変なとこで勘がいいんだから。
通いたくない理由は簡単。そこが乙女ゲームの舞台だからだ。
 攻略対象は全員いるし、各イベントもほとんどが学院で起こる。

 別にフローラに嫉妬するつもりも、嫌がらせするつもりもないけど、どこで強制力が働くか分からないから、できることなら回避したい。・・・無理なことはわかってるんだけどね。

「倒れる前、何があったのかは知らんが、元気になったのなら休ませるわけにはいかん。王族として義務を放棄させるわけにはいかんからな」

「わかっておりますわ」

 だから、行かないとは言ってないじゃん。希望よ、希望。行かずに済んだらいいなぁってき・ぼ・う!

「だが、仮にも第1王女だしな、明日からの登校に向けて、護衛騎士をつけることにした」

「え・・・それって・・・」

 やばい、やばい!やばい!!それって、ソルじゃないの?
 国の暗部に所属してる暗殺者、ソル・フィルズ。

 おかしい!ソルが出てくるのは、シオンが卒業してフローラと婚約してからのはず!
 シオンに引き続いてバグなの?ソルの登場は来年と思って油断してた。

 シオンの処刑もやだけど、ソルは常にリアナに冷ややかなんだよ!口調は丁寧なのに、もう目線ひとつで殺されそうな感じなんだよ!
 リアナのこと嫌いなんだなぁって、雰囲気が物語ってる相手とずっと一緒なんてごめん被りたい。

「結構ですわ。お兄様に付けてください」

「シオンには、カイが付いているだろう」

「チッ」

「お前、今舌打ちしたか?」

「・・・まさか。私は王女でしてよ?舌打ちなどするわけがありませんでしょう」

 しましたけどね。
そうだった。シオンには、カイっていう暗部所属の護衛が付いてたんだった。

「とにかく、これは決定事項だ。後で部屋に挨拶に向かわせるからな」

「嫌ですわ」

「お前・・・あんまりごねるようなら、その護衛騎士と婚約させるぞ。そうすれば、嫌でも共にいなくてはならなくなるだろうからな」

 なんて鬼畜な親なんだ!
そりゃ、王女なんて政略結婚するのは当然だろうけど、護衛騎士と結婚じゃ政略結婚にならないでしょうが。
 そこまでして、護衛騎士を付けたいわけ?分かったわよ!従いますよ!
婚約者に殺されたくないからね!!

「わかりましたわ」

 権力に屈服してしまったわ。護衛騎士、ソルじゃないってこと・・・ないだろうなぁ。どうしよう。


 
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