悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな

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ヒロイン対悪役令嬢?

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 前から歩いてくるリリー嬢の姿を見て、私は思わずため息をついた。
 最近は、アリスティア様がそばにいてくれるし、ソルも少し離れた位置でいてくれるのでリリー嬢も寄ってこなかったんだけど。

 今はたまたま、アリスティア様はハロルドと話があって教室の入り口にいて、ソルはシオンに呼ばれて側にいなかった。

 私は、ちょうどいいからお手洗いに行って、教室へと戻ろうとした時、前からやってくるリリー嬢と対面することになったのだ。

「ねぇ、リアナ様」

 いつも周りに他の人がいる時には、可愛らしい表情を崩さないリリー嬢が、私を睨みつけてくる。

「あんたほんと邪魔なのよ。悪役のくせに、ヒロインポジって何のつもりなの?王子も側近たちも好きになるのはヒロインである私なのよ!どうせ、あんたも転生者なんでしょ。ざまあとかするつもりなの?」

「なにをおっしゃっていますの?」

「とぼけないで!」

 やっぱりリリー嬢も転生者みたいだ。だけど、ここで馬鹿正直に認めるわけにはいかない。

「何をおっしゃっているのか私にはわかりませんわ。ここで身分どうこう言うのはアレですけど、少し貴族としての品格を疑われましてよ」

「傲慢な悪役王女のくせにっ!」

 背を向けた私の腕をリリー嬢が引き寄せた。
 やばい!私は階段の最上階でリリー嬢と対面していた。リリー嬢は私を階段から落とすつもり?

 体を強張らせた私の腕から手を離すと、リリー嬢がニヤリと笑った。
 そして、そのまま階段へと身を投げる。

 まさか、自分で階段から落ちるつもり?そうか!このまま落ちて、私が突き落としたと言うつもりなんだ。
 話の内容まで聞こえなくても、私とリリー嬢がここで何かを話していたのは、何人かが目撃している。
 そこで、リリー嬢が階段から落ちたら、私が突き落としたと思われてもおかしくない。

 別に私はリリー嬢が階段から落ちようと、怪我しようと何とも思わない。私はそんなできた人間ではない。
 だけど、リリー嬢の思い通りになることは気に入らない。

 私は、満足そうに宙に浮いたリリー嬢の腕を掴むと、思い切り引き寄せた。
 彼女の体を上へと投げるように振り回すと、自分の体が宙を浮いた。

 そしてー

 私は悲鳴もなく、そのまま階段下へと投げ出されていった。

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