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大切な存在《シオン視点》
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アクツート伯爵家の一件以来、ソルとリアナの距離が縮まったような気がする。
伯爵家の後片付けのあと王宮に戻り、国王陛下である父上と伯爵家取り潰しの話を詰めた。
当然、伯爵と息子は処刑。伯爵夫人は何も知らなかったようだが、取り潰しの伯爵家に残ってもどうにもならない。
当主と次期当主である息子の罪は、貴族なら一族で取るのが当然である。当然なのだが、何も知らなかった夫人を処刑や罪に問うた場合、リアナがどう思うか。
悩んだ僕に、聖女となったフローラが提案してきた。
「平民に落とすというのもなんですし、私付きの侍女にでもなってもらいますか?」
「いや、聖女付きの侍女なんて高待遇だろう?」
「んー、王太子妃付きとなると高待遇過ぎますか。でも、リアナ様のお心を痛めたくないですし・・・ご本人はどうおっしゃってるんです?」
「伯爵と息子のしたことを思うと、処刑されても仕方ないと。ただ、使用人と実家には罪がないから、どうか慈悲をと言われた」
もちろん使用人たちや伯爵夫人の実家まで断罪するつもりはない。
まぁ、リアナが無事だったからだが。無事だったからこそ、当事者以外の処遇に困っているのだが。
優しいリアナは、当事者はともかくそれ以外の人間の処罰を嫌うだろう。
それでも、僕たちがリアナを思って処罰したと理解し、きっと心を痛めるだろう。
それでなくても傷ついたリアナに、これ以上痛みを与えたくない。
「まともな方のようですね。やはり、私付きになってもらいましょう?そうしたらリアナ様もお喜びになられると思うんですよね」
「リアナは優しい子だからな」
「もちろん、扱いは一番下になりますけど。断罪した家族を冷遇していないというのも、国民に対して好印象だと思うんですよね」
確かに、そうかもしれない。身分は落とした上だが、聖女付きにしたと聞けば、悪い印象は抱かれないだろう。
「貴族だから優遇しているととられないだろうか」
「当事者は処刑ですからね。それに、この国では余程のことがない限り、平民は処刑はされないじゃないですか」
「それもそうか。なら、そうするか」
フローラのことは、友人としてしか見ていないが、それでも婚約者になってからは随分と多くの助言をしてもらっている。
彼女は、頭も良く、よく気がつく女性だ。少々、リアナにべったりなのが不満だが、冷たく当たられるよりは何倍もいい。
フローラが聖女である以上、彼女が王太子妃、未来の王妃になることは決定事項なのだから。
「最近、リアナがソルから離れないんだよな・・・」
懸念していたことが片付いて、つい愚痴がこぼれてしまう。
フローラは仕方ないなという顔で、笑った。
「いいじゃないですか。婚約者なんだし。それに・・・ソル様と一緒にいるリアナ様、すごく柔らかい感じになりましたよ?」
「ああ、それは僕も気づいた。入学式で倒れて以来、僕やソルとも距離を置こうとしていたリアナが、あの女の一件以来少しずつだが僕らに歩み寄ってきた。そして、今回の件で不安気な様子が少し消えてきたみたいだ」
そうだ。
大切なリアナが微笑っていられるなら、それがソルの側でもいいじゃないか。
大切な大切な、異母妹。
これからもソルと共に僕のそばにいてくれるなら、それでいいのかもしれない。
伯爵家の後片付けのあと王宮に戻り、国王陛下である父上と伯爵家取り潰しの話を詰めた。
当然、伯爵と息子は処刑。伯爵夫人は何も知らなかったようだが、取り潰しの伯爵家に残ってもどうにもならない。
当主と次期当主である息子の罪は、貴族なら一族で取るのが当然である。当然なのだが、何も知らなかった夫人を処刑や罪に問うた場合、リアナがどう思うか。
悩んだ僕に、聖女となったフローラが提案してきた。
「平民に落とすというのもなんですし、私付きの侍女にでもなってもらいますか?」
「いや、聖女付きの侍女なんて高待遇だろう?」
「んー、王太子妃付きとなると高待遇過ぎますか。でも、リアナ様のお心を痛めたくないですし・・・ご本人はどうおっしゃってるんです?」
「伯爵と息子のしたことを思うと、処刑されても仕方ないと。ただ、使用人と実家には罪がないから、どうか慈悲をと言われた」
もちろん使用人たちや伯爵夫人の実家まで断罪するつもりはない。
まぁ、リアナが無事だったからだが。無事だったからこそ、当事者以外の処遇に困っているのだが。
優しいリアナは、当事者はともかくそれ以外の人間の処罰を嫌うだろう。
それでも、僕たちがリアナを思って処罰したと理解し、きっと心を痛めるだろう。
それでなくても傷ついたリアナに、これ以上痛みを与えたくない。
「まともな方のようですね。やはり、私付きになってもらいましょう?そうしたらリアナ様もお喜びになられると思うんですよね」
「リアナは優しい子だからな」
「もちろん、扱いは一番下になりますけど。断罪した家族を冷遇していないというのも、国民に対して好印象だと思うんですよね」
確かに、そうかもしれない。身分は落とした上だが、聖女付きにしたと聞けば、悪い印象は抱かれないだろう。
「貴族だから優遇しているととられないだろうか」
「当事者は処刑ですからね。それに、この国では余程のことがない限り、平民は処刑はされないじゃないですか」
「それもそうか。なら、そうするか」
フローラのことは、友人としてしか見ていないが、それでも婚約者になってからは随分と多くの助言をしてもらっている。
彼女は、頭も良く、よく気がつく女性だ。少々、リアナにべったりなのが不満だが、冷たく当たられるよりは何倍もいい。
フローラが聖女である以上、彼女が王太子妃、未来の王妃になることは決定事項なのだから。
「最近、リアナがソルから離れないんだよな・・・」
懸念していたことが片付いて、つい愚痴がこぼれてしまう。
フローラは仕方ないなという顔で、笑った。
「いいじゃないですか。婚約者なんだし。それに・・・ソル様と一緒にいるリアナ様、すごく柔らかい感じになりましたよ?」
「ああ、それは僕も気づいた。入学式で倒れて以来、僕やソルとも距離を置こうとしていたリアナが、あの女の一件以来少しずつだが僕らに歩み寄ってきた。そして、今回の件で不安気な様子が少し消えてきたみたいだ」
そうだ。
大切なリアナが微笑っていられるなら、それがソルの側でもいいじゃないか。
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これからもソルと共に僕のそばにいてくれるなら、それでいいのかもしれない。
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