悪役令嬢?いま忙しいので後でやります

みおな

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私の存在理由

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 シオンお兄様に謝罪してから1ヶ月たった。

 私は結局、学院を辞めることとなった。魔術の授業だけ出るのでは、出席日数も足りないし、それならもういっそ辞めた方が綺麗かなと思って。

 国王陛下であるお父様も、何も言わなかった。多分、リリー嬢のこととか、アクツート伯爵のこととかあったから、シオンお兄様が押し切ったんだと思う。

 週に2回、王宮内でイリアス様から魔術の講義を受けている。
 あとは、ソルやフローラ様から講義を受けたりして日々を過ごしている。

 私は王宮にある居住区から出ることはなくなった。図書室も、アリスティア様たちとお茶会をする庭園も、全てが居住区にあるため、必要性がないのだ。

 今朝、お兄様から学院から戻って来たら街に買い物に行こうかと誘われたが、私は断ってしまった。

 私は・・・
もう何かに期待したり、楽しみを見つけることが怖くなっていた。
 
 学院に通うことを楽しみにしていたわけではない。最初は、攻略対象がいてイベントが起こる学院に通うことを避けたいと思っていた。
 リリー嬢やアクツート伯爵のこともあったし、決して楽しいことばかりではなかった。
 だけど、通えなくなるとわかった時、ものすごく虚無感に襲われた。

 諦めることは苦しい。なら、期待しないことだ。

 部屋の窓際の椅子に座り、ぼんやりと外を見る。
 部屋から出ないからと、ソルにも鍛錬に行ってもらっている。

 ソルは最初は離れることを拒絶したけど、絶対に部屋から出ないし、1人にして欲しいと言うと、私の部屋の下で他の暗部のメンバーと鍛錬を始めた。

 時々見上げてくるソルから、視線を外す。だけど、窓際からは動かない。姿が見えなくなれば、心配して部屋にやってくるだろう。私は1人にしていて欲しかった。

 私はー
私はどうしてこの世界に転生したのだろう。どうして、リアナ・アイリーンに転生したのだろう。

 あのまま、階段から落ちて死んでしまったままでよかったのに。

 リアナだって、叶わない恋だとしても、間違った行為だとしても、シオンに恋をして、ヒロインを虐めて断罪されるとしても、後悔したりしなかったのではないか。

 シオンもソルも、みんなも、ヒロインであるフローラに恋をするのが当たり前なのに。
 なのに、私が転生したからソルはリアナと婚約することになったのではないか。

 私はどうして、この世界に転生したのだろう。


 

 


 
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