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悪役令嬢の在り方《リアナ・アイリーン視点》
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子供の頃からー
ずっとシオン兄様が好きだった。
子供の頃は、兄様も優しくしてくれた。笑いかけてくれた。
でも、シオン兄様が学院に通うようになった頃から、私は距離を取られるようになった。
理由はわかってる。私が兄様に近づく令嬢や王宮のメイドたちにも酷く当たっていたから。
自分でも駄目だってわかってたけど、嫉妬する気持ちを抑えきれなかった。
学院に入学する日ー
突然、自分の中にもう1人の自分が現れた。
真っ暗な中、『彼女』の目を通して世界を見る。
『彼女』の思考も私の中に流れ込んできた。シオン兄様が、私を断罪して処刑する?そんな・・・
『彼女』の言う『げえむ』というのが何なのかわからなかったけど、『こうりゃくたいしょう』というのがシオン兄様たちで、『あくやくれいじょう』というのが私のことだというのは分かった。
そして、『こうりゃくたいしょう』というのは、『ひろいん』と結ばれるということ。『あくやくれいじょう』は断罪され処刑されるということ。
最初は、あまりにショックで、もうこのまま死んでしまいたいと思った。
だけど、『彼女』がシオン兄様を避けるように行動すると、何故かシオン兄様が追いかけて来るようになった。
そして、まるで子供の頃のように、優しく甘やかしてくれる日々。
嬉しかった。ずっと、ずっと望んでた時間を手に入れた。
私とシオン兄様は血が繋がっているから、婚姻することはできない。そんなことは初めからわかってた。
わかってたけど、私はシオン兄様しか見えなかった。
でも『彼女』は、ソルという護衛に恋をしたみたいだった。
最初は、『こうりゃくたいしょう』であるその護衛を避けていたけど、『彼女』の気持ちが傾いていくのは、私には手にとるように分かった。
その頃には、私がいるのはリアナの心の中ということ、それから、その中に黒い塊があるということに気付いていた。
その黒い塊は、闇の聖女という力だと、聖の聖女であるフローラという人が言っていた。
シオン兄様の婚約者になった人。
不思議と怒りがわかなかった。
きっと、シオン兄様が彼女を特別な好きでないということ。また彼女も兄様を特別な好きでないことに気づいたから。
思考の中にいると、色んな人の気持ちがよくわかった。
シオン兄様もフローラという聖女も、ソルという護衛も、みんな『彼女』が特別。
その『彼女』は、29歳だというけれど、とにかく恋愛に関しては、はっきり言って私以下だと思う。
みんなの気持ちにまるっきり気づかないし、勝手に勘違いして落ち込んだりする。
だけど。
ずっと『彼女』を見て来たから、私にとっても『彼女』は特別になった。
『彼女』が傷ついたり苦しんだりすると、黒い塊は大きくなる。
思考の中にいる私は、この塊が危険な物だと理解できた。
思考の中に沈んできた『彼女』とも話せたし、最後に1つくらい良いことをして消えるのもいいかもしれない。
この塊を、私が呑み込んで消えたら、リアナの中から闇の聖女とやらは消せる。
私は眠ると言ったから、『彼女』は私が消えても気付かずに済むだろう。29歳というわりに泣き虫だから。
私はー
とても清々しい気持ちで黒い塊を呑み込んだ。
今度、生まれてくるときは、『彼女』みたいに愛される存在になりたい。そう思いながら・・・
ずっとシオン兄様が好きだった。
子供の頃は、兄様も優しくしてくれた。笑いかけてくれた。
でも、シオン兄様が学院に通うようになった頃から、私は距離を取られるようになった。
理由はわかってる。私が兄様に近づく令嬢や王宮のメイドたちにも酷く当たっていたから。
自分でも駄目だってわかってたけど、嫉妬する気持ちを抑えきれなかった。
学院に入学する日ー
突然、自分の中にもう1人の自分が現れた。
真っ暗な中、『彼女』の目を通して世界を見る。
『彼女』の思考も私の中に流れ込んできた。シオン兄様が、私を断罪して処刑する?そんな・・・
『彼女』の言う『げえむ』というのが何なのかわからなかったけど、『こうりゃくたいしょう』というのがシオン兄様たちで、『あくやくれいじょう』というのが私のことだというのは分かった。
そして、『こうりゃくたいしょう』というのは、『ひろいん』と結ばれるということ。『あくやくれいじょう』は断罪され処刑されるということ。
最初は、あまりにショックで、もうこのまま死んでしまいたいと思った。
だけど、『彼女』がシオン兄様を避けるように行動すると、何故かシオン兄様が追いかけて来るようになった。
そして、まるで子供の頃のように、優しく甘やかしてくれる日々。
嬉しかった。ずっと、ずっと望んでた時間を手に入れた。
私とシオン兄様は血が繋がっているから、婚姻することはできない。そんなことは初めからわかってた。
わかってたけど、私はシオン兄様しか見えなかった。
でも『彼女』は、ソルという護衛に恋をしたみたいだった。
最初は、『こうりゃくたいしょう』であるその護衛を避けていたけど、『彼女』の気持ちが傾いていくのは、私には手にとるように分かった。
その頃には、私がいるのはリアナの心の中ということ、それから、その中に黒い塊があるということに気付いていた。
その黒い塊は、闇の聖女という力だと、聖の聖女であるフローラという人が言っていた。
シオン兄様の婚約者になった人。
不思議と怒りがわかなかった。
きっと、シオン兄様が彼女を特別な好きでないということ。また彼女も兄様を特別な好きでないことに気づいたから。
思考の中にいると、色んな人の気持ちがよくわかった。
シオン兄様もフローラという聖女も、ソルという護衛も、みんな『彼女』が特別。
その『彼女』は、29歳だというけれど、とにかく恋愛に関しては、はっきり言って私以下だと思う。
みんなの気持ちにまるっきり気づかないし、勝手に勘違いして落ち込んだりする。
だけど。
ずっと『彼女』を見て来たから、私にとっても『彼女』は特別になった。
『彼女』が傷ついたり苦しんだりすると、黒い塊は大きくなる。
思考の中にいる私は、この塊が危険な物だと理解できた。
思考の中に沈んできた『彼女』とも話せたし、最後に1つくらい良いことをして消えるのもいいかもしれない。
この塊を、私が呑み込んで消えたら、リアナの中から闇の聖女とやらは消せる。
私は眠ると言ったから、『彼女』は私が消えても気付かずに済むだろう。29歳というわりに泣き虫だから。
私はー
とても清々しい気持ちで黒い塊を呑み込んだ。
今度、生まれてくるときは、『彼女』みたいに愛される存在になりたい。そう思いながら・・・
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