13 / 95
エレインの友人
しおりを挟む
この学園では、定期的に学力が身に付いているかを確かめる為のテストが行われている。
エレインが入学してから、初めてのテストが間近に迫っていた。
いつもの様に昼食を摂った三人は、真っすぐに図書室へと向かった。
学園の図書室は王宮の図書館に負けず劣らず広大で、国中の書籍が集められている。
テストが近い事もあって図書室に来る生徒の数も増えており殆どの席が埋まっていたが、いつも座っていた一番奥の窓際席が、三人の指定席であるかの様に空いていた。
ルーカスとエレインが並んで座り、ルーカスの向かいにアルフレッドが座るのも、何時もの事である。
アルフレッドはエレインに好意を寄せてはいるが、マルゲリーターとの婚約が破棄になったわけではないので、一応の体裁は保っているのだ。
あくまでもルーカスと一緒に行動をしているだけ…と、本人は思っているが、周りの目は違う。
この頃にはマルゲリーターが補欠入学をした事が周知されており、アルフレッドへ同情する者や、エレインに心変わりしても仕方がないと思う者も増えていた。
何よりもエレインは首席で入学しただけあって勉強に意欲的であり、所作やマナーは当然の事だが全てにおいて完璧過ぎる事から、近寄りがたい存在となっていた。
「エリー。テストの出題傾向を分析して、僕が模擬テストを作って来たから、今日はこれを解いてみようか」
「ありがとうございます、お兄様」
ルーカスは、妹とこうして机を並べ、勉強を教えてあげるのを夢見ていた。
マルゲリーターにも何度か一緒に勉強をしようと誘った事もあったのだが、余計なお喋りばかりで全く覚える気が無かったのだ。
それに比べてエレインは、教えた事を直ぐに理解し、分からない事は理解出来るまで聞いて来る。
ルーカスは、エレインに勉強を教えるのが楽しくて仕方が無かった。
優秀な妹に、尊敬される兄でいたいと、己の勉強にも熱心に取り組んでいる。
アルフレッドも同じくエレインに感化され、負けじと勉学に励む姿は、自然と周りの生徒たちの視線を集めていた。
目の前でスラスラと答案用紙に答えを記入していくエレインを、アルフレッドとルーカスは微笑ましそうに見つめている。
「出来ましたわ。少し自信の無い所もあるのですけれど…」
「ここだね、フルール嬢。ペンが止まっていたから、悩んでいると直ぐに分かったよ。私もよく引っ掛かるから、要注意箇所だ」
アルフレッドは、見事にエレインの苦手個所を言い当てた。
「凄いですわ、殿下、要注意箇所なのですね。当日、引っ掛からない様に気を付けますわ」
定期的に行われる各学年の成績優秀者上位三名には、学園長自ら顧問を務めるクラブへのお誘いが来る。
そのクラブがどの様な活動をしているのかは、入った者にしか分からない。
活動内容は、絶対に口外してはいけないという決まりがあるからだ。
テストで上位三名の中に入る事が出来た、成績優秀者だけが知る事の出来る特権でもあった。
テストを頑張れば誰でも入会資格が出来る為、クラブに興味のある生徒は切磋琢磨しながらテストに挑むのだが、三学年の枠は厳しかった。
なぜなら、ルーカスとアルフレッドが上位二名を独占しており、一度も外れた事がないのである。
三学年の生徒は、最後の一席を巡る激戦区なのだ。
テストが終わった週末明け、学園に来ると玄関ホールの大きな壁面に、先週受けたテストの結果が各学年ごとに張り出されていた。
一位から最下位まで張り出されるのだが、元が成績優秀者しかいない学舎なので、最下位になったとしても決して恥ずかしがるような点数ではないのだ。
最下位が同じ点数だった場合は、アルファベット順に名前が並ぶ為、どこからが最下位なのか探すのも難しい。
皆己の順位を確かめるべく成績表の周りに集まっていたが、エレインの名は遠目からでもすぐに見つかった。
「エリー。一位だ、おめでとう。僕は優秀な妹で、鼻が高い」
「フルール嬢、一位おめでとう。そして、ようこそ我が怪しいクラブへ」
「アルフレッド、怪しいクラブでは無いだろう。いくら第一王子だからと言っても、理事長に聞かれたら、叱られるぞ」
「固い事は気にするな、我が友よ」
そんな二人の戯れ合いも、エレインにとって見慣れた光景になっている。
「ありがとうございます、嬉しいですわ。お兄様と殿下は、ご自分の順位を確認なさらないのですか?」
「全問正解で、一位に決まっているからな。見る必要はない」
「嫌味な奴だな。お前の所為で私は万年二位だと言うのに、少しは遠慮をしたらどうなのだ」
「僕が手を抜いて一位になったとしても、アルフレッドは嬉しくないだろう。それに、側近として殿下を守る立場なのに、学園の成績で躓いてなどいられる訳が無い」
「殿下と言わないでくれ。寂しくなるだろう」
アルフレッドにとってルーカスは、側近という肩書など関係無く、心から気の置ける友人なのである。
そんな二人のやり取りを楽しげに聞きながら教室までエスコートをされて来たエレインは、名残惜しそうにしているルーカスの腕から手を放し、教室に入って行った。
何時公爵家が爵位を剥奪され、処罰を受けるか分からない状態にある為、本当なら学園に通う事なくエレインとの思い出作りをしたいのだ。
しかし普通の令嬢として学園生活を楽しんでいるエレインの姿を見ていると、我儘に付き合わせる事も憚られた。
ルーカスが学園を去った後でも、困らない様にしてあげる事が、彼なりに考えだした愛情表現だと考えたのだ。
そんな彼の考えなど微塵も理解していないエレインは、自分に似ているルーカスを慕っており、学園を卒業したら付き合いは無くなるのだろうと寂しく思っていた。
もともと爵位も高く、付き合えるレベルの相手ではない事もあり、自分からは必要以上に関わる事をしない様にと考えている。
血の繋がった兄妹であると言うのに、悲しいすれ違いをしているのだった。
「ごきげんよう、エレイン様。一位おめでとうございます。羨ましいですわ、理事長が顧問をされているクラブに入れるなんて。私も頑張ったのですけれど、残念ながら十位でしたの」
「ごきげんよう、パトリシア様。ありがとうございます。一位を取れたのは、私だけの力ではありませんのよ。クラブの感想をお伝え出来ないのは残念ですが、楽しんで来ようと思っています」
声を掛けて来たのは、パトリシア・アンバタサー伯爵令嬢だ。
気さくで面倒見の良い彼女は、エレインの事を一人のクラスメイトとして接してくれる、唯一の友人になった令嬢でもある。
性格は正反対なのだが、何となく気が合う二人であった。
彼女のおかげで、ルーカスと離れた後でも、楽しい学園生活を送る事が出来るのだった。
エレインが入学してから、初めてのテストが間近に迫っていた。
いつもの様に昼食を摂った三人は、真っすぐに図書室へと向かった。
学園の図書室は王宮の図書館に負けず劣らず広大で、国中の書籍が集められている。
テストが近い事もあって図書室に来る生徒の数も増えており殆どの席が埋まっていたが、いつも座っていた一番奥の窓際席が、三人の指定席であるかの様に空いていた。
ルーカスとエレインが並んで座り、ルーカスの向かいにアルフレッドが座るのも、何時もの事である。
アルフレッドはエレインに好意を寄せてはいるが、マルゲリーターとの婚約が破棄になったわけではないので、一応の体裁は保っているのだ。
あくまでもルーカスと一緒に行動をしているだけ…と、本人は思っているが、周りの目は違う。
この頃にはマルゲリーターが補欠入学をした事が周知されており、アルフレッドへ同情する者や、エレインに心変わりしても仕方がないと思う者も増えていた。
何よりもエレインは首席で入学しただけあって勉強に意欲的であり、所作やマナーは当然の事だが全てにおいて完璧過ぎる事から、近寄りがたい存在となっていた。
「エリー。テストの出題傾向を分析して、僕が模擬テストを作って来たから、今日はこれを解いてみようか」
「ありがとうございます、お兄様」
ルーカスは、妹とこうして机を並べ、勉強を教えてあげるのを夢見ていた。
マルゲリーターにも何度か一緒に勉強をしようと誘った事もあったのだが、余計なお喋りばかりで全く覚える気が無かったのだ。
それに比べてエレインは、教えた事を直ぐに理解し、分からない事は理解出来るまで聞いて来る。
ルーカスは、エレインに勉強を教えるのが楽しくて仕方が無かった。
優秀な妹に、尊敬される兄でいたいと、己の勉強にも熱心に取り組んでいる。
アルフレッドも同じくエレインに感化され、負けじと勉学に励む姿は、自然と周りの生徒たちの視線を集めていた。
目の前でスラスラと答案用紙に答えを記入していくエレインを、アルフレッドとルーカスは微笑ましそうに見つめている。
「出来ましたわ。少し自信の無い所もあるのですけれど…」
「ここだね、フルール嬢。ペンが止まっていたから、悩んでいると直ぐに分かったよ。私もよく引っ掛かるから、要注意箇所だ」
アルフレッドは、見事にエレインの苦手個所を言い当てた。
「凄いですわ、殿下、要注意箇所なのですね。当日、引っ掛からない様に気を付けますわ」
定期的に行われる各学年の成績優秀者上位三名には、学園長自ら顧問を務めるクラブへのお誘いが来る。
そのクラブがどの様な活動をしているのかは、入った者にしか分からない。
活動内容は、絶対に口外してはいけないという決まりがあるからだ。
テストで上位三名の中に入る事が出来た、成績優秀者だけが知る事の出来る特権でもあった。
テストを頑張れば誰でも入会資格が出来る為、クラブに興味のある生徒は切磋琢磨しながらテストに挑むのだが、三学年の枠は厳しかった。
なぜなら、ルーカスとアルフレッドが上位二名を独占しており、一度も外れた事がないのである。
三学年の生徒は、最後の一席を巡る激戦区なのだ。
テストが終わった週末明け、学園に来ると玄関ホールの大きな壁面に、先週受けたテストの結果が各学年ごとに張り出されていた。
一位から最下位まで張り出されるのだが、元が成績優秀者しかいない学舎なので、最下位になったとしても決して恥ずかしがるような点数ではないのだ。
最下位が同じ点数だった場合は、アルファベット順に名前が並ぶ為、どこからが最下位なのか探すのも難しい。
皆己の順位を確かめるべく成績表の周りに集まっていたが、エレインの名は遠目からでもすぐに見つかった。
「エリー。一位だ、おめでとう。僕は優秀な妹で、鼻が高い」
「フルール嬢、一位おめでとう。そして、ようこそ我が怪しいクラブへ」
「アルフレッド、怪しいクラブでは無いだろう。いくら第一王子だからと言っても、理事長に聞かれたら、叱られるぞ」
「固い事は気にするな、我が友よ」
そんな二人の戯れ合いも、エレインにとって見慣れた光景になっている。
「ありがとうございます、嬉しいですわ。お兄様と殿下は、ご自分の順位を確認なさらないのですか?」
「全問正解で、一位に決まっているからな。見る必要はない」
「嫌味な奴だな。お前の所為で私は万年二位だと言うのに、少しは遠慮をしたらどうなのだ」
「僕が手を抜いて一位になったとしても、アルフレッドは嬉しくないだろう。それに、側近として殿下を守る立場なのに、学園の成績で躓いてなどいられる訳が無い」
「殿下と言わないでくれ。寂しくなるだろう」
アルフレッドにとってルーカスは、側近という肩書など関係無く、心から気の置ける友人なのである。
そんな二人のやり取りを楽しげに聞きながら教室までエスコートをされて来たエレインは、名残惜しそうにしているルーカスの腕から手を放し、教室に入って行った。
何時公爵家が爵位を剥奪され、処罰を受けるか分からない状態にある為、本当なら学園に通う事なくエレインとの思い出作りをしたいのだ。
しかし普通の令嬢として学園生活を楽しんでいるエレインの姿を見ていると、我儘に付き合わせる事も憚られた。
ルーカスが学園を去った後でも、困らない様にしてあげる事が、彼なりに考えだした愛情表現だと考えたのだ。
そんな彼の考えなど微塵も理解していないエレインは、自分に似ているルーカスを慕っており、学園を卒業したら付き合いは無くなるのだろうと寂しく思っていた。
もともと爵位も高く、付き合えるレベルの相手ではない事もあり、自分からは必要以上に関わる事をしない様にと考えている。
血の繋がった兄妹であると言うのに、悲しいすれ違いをしているのだった。
「ごきげんよう、エレイン様。一位おめでとうございます。羨ましいですわ、理事長が顧問をされているクラブに入れるなんて。私も頑張ったのですけれど、残念ながら十位でしたの」
「ごきげんよう、パトリシア様。ありがとうございます。一位を取れたのは、私だけの力ではありませんのよ。クラブの感想をお伝え出来ないのは残念ですが、楽しんで来ようと思っています」
声を掛けて来たのは、パトリシア・アンバタサー伯爵令嬢だ。
気さくで面倒見の良い彼女は、エレインの事を一人のクラスメイトとして接してくれる、唯一の友人になった令嬢でもある。
性格は正反対なのだが、何となく気が合う二人であった。
彼女のおかげで、ルーカスと離れた後でも、楽しい学園生活を送る事が出来るのだった。
1,433
あなたにおすすめの小説
【完結】偽物と呼ばれた公爵令嬢は正真正銘の本物でした~私は不要とのことなのでこの国から出ていきます~
Na20
恋愛
私は孤児院からノスタルク公爵家に引き取られ養子となったが家族と認められることはなかった。
婚約者である王太子殿下からも蔑ろにされておりただただ良いように使われるだけの毎日。
そんな日々でも唯一の希望があった。
「必ず迎えに行く!」
大好きだった友達との約束だけが私の心の支えだった。だけどそれも八年も前の約束。
私はこれからも変わらない日々を送っていくのだろうと諦め始めていた。
そんな時にやってきた留学生が大好きだった友達に似ていて…
※設定はゆるいです
※小説家になろう様にも掲載しています
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
婚約が白紙になりました。あとは自由に生きていきます~攻略対象たちの様子が何やらおかしいですが、悪役令嬢には無関係です~
Na20
恋愛
乙女ゲーム"この花束を君に"、通称『ハナキミ』の世界に転生してしまった。
しかも悪役令嬢に。
シナリオどおりヒロインをいじめて、断罪からのラスボス化なんてお断り!
私は自由に生きていきます。
※この作品は以前投稿した『空気にされた青の令嬢は、自由を志す』を加筆・修正したものになります。以前の作品は投稿始め次第、取り下げ予定です。
※改稿でき次第投稿するので、不定期更新になります。
【完結】この運命を受け入れましょうか
なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」
自らの夫であるルーク陛下の言葉。
それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。
「承知しました。受け入れましょう」
ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。
彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。
みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。
だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。
そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。
あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。
これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。
前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。
ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。
◇◇◇◇◇
設定は甘め。
不安のない、さっくり読める物語を目指してます。
良ければ読んでくだされば、嬉しいです。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる